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放射線測定器の仕組み・原理とは?測定方法も解説!

※本記事は一般的な内容を元に作成しております、詳しくはご利用のメーカー等にご確認ください

東日本大震災の福島第一原発事故により、あらためて放射線の危険性が露わになりましたよね。

人体に影響を与える可能性のある放射線の測定器の使用を考えている方は、放射線や測定器の仕組み、取り扱い時の注意点を正しく理解する必要があります。

この記事では、放射線について、放射線測定器の仕組みや原理について解説するほか、取り扱い時の注意点も解説します。

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放射線とは

放射線とは、カリウム、セシウム、ヨウ素などの放射能物質から放出される粒子・電磁波のことです。

そもそも、世界は原子で形成されています。

原子は中心にある原子核とその周りにある電子から成り立っているのはご存じでしょうか。

原子核の中には、放射線を放出して別の原子核に変わっていくものがあります。

別の原子核に変わることを崩壊と呼び、崩壊時に放出される粒子と電磁波が放射線と呼ばれています。

放射線には5種類ある

放射線には、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、エックス線、中性子線など、さまざまな種類があります。

①アルファ線

アルファ線は、原子核から放出される粒子(陽子2個・中性子2個のヘリウムの原子核)のことを言います。

アルファ粒子と呼ばれることもあります。

アルファ線は紙1枚で遮ることが可能です。

②ベータ線

ベータ線とは、原子核から放出される電子のことで、ベータ粒子とも呼ばれます。

アルミニウムなど薄い金属板で遮ることができます。

③ガンマ線

ガンマ線とは、不安定な状態にある原子核が、より安定な状態に移る時に発生する電磁波のことです。

アルファ線やベータ線は粒子ですが、ガンマ線は電磁波であることを覚えておきましょう。

鉛や鉄など厚い板で遮ることができます。

④エックス線

エックス線は、原子から発生する電磁波のことを言います。

ガンマ線と同じ電磁波で、鉛や鉄などの厚い板で遮ることが可能です。

⑤中性子線

中性子は原子核を構成する粒子のひとつ。

中性子線は中性子の流れのことです。

水やコンクリートで遮ることができます。

放射線の単位2種

放射線の単位は、「ベクレル」と「シーベルト」の2種類です。

①ベクレル(Bq)

ベクレルは、放射線を放出する側に注目した単位です。

土や食品、水道水などに含まれる放射性物質の量を表すときに使用します。

1秒間に1つの原子核が崩壊することを、1ベクレルと定義されており、ベクレルの数値が大きいほど放射能が出ていることを表し、低いほど放射能が少ないことを表します。

②シーベルト(Sv)

シーベルトは放射線を人が受ける被ばく線量の単位です。

ベクレルは物質が対象ですが、シーベルトは人体が対象です。

シーベルトで表した数値が大きいほど、人体が受ける放射線の影響が大きいことを意味します。

放射線の人体への影響

放射線は人体に悪影響を与える場合があります。

人体に悪影響を与える人工放射性物質と言われているのが、「放射性セシウム137」。

原子核が別の原子核に変化する崩壊時にベータ線・ガンマ線を放出して放射性セシウム137に変化していくのです。

放射線は細胞を傷つけてしまう要素を持ち、生体分子を傷つける可能性があり注意が必要です。

放射線測定器の仕組み・原理

放射線は目に見えないため、測定器を用いて測る必要がありますよね。

放射線測定器は、アルファ線、ベータ線、ガンマ線、エックス線、中性子線などの放射線が物質の中を通過する時に起きる相互作用を利用して測定します。

放射線測定器には、電離箱、GM計数管(ガイガー・ミュラーカウンタ)、シンチレーション式の3種類があります。順にみていきましょう。

電離箱

電離箱では、放射線と気体の間の電離作用を用いて測定します。

電離箱の中にはガスが充填しているため、検出器の中を放射線が通過することで電離作用が起きるのです。

また、電離量が測定原理であるため、エネルギー特性があり、エックス線の測定に適しているといわれています。

電離箱の気密性が低いと、気温や気圧の影響を受けやすくなったり、湿度の影響を受けやすくなったりする弱点を持ちます。

GM計数管(ガイガー・ミュラーカウンタ)

GM計数管(ガイガー・ミュラーカウンタ)は電離箱の測定方法を応用して測定を行います。

GM管に高電圧をかけると、放射線の数を測定することが可能です。

エネルギーに関係なく出力できるため、高感度の測定器を作りやすい特長を持ちます。

シンチレーション式

シンチレーション式は、放射線の蛍光作用を活用して測定します。

そもそもシンチレータとは、放射線が入射して光を発生する物質のこと。

シンチレータから発せられる微弱な光を光電子増倍管で増幅し、電気信号に変換することで測ることが可能です。

感度が高いことが特長です。

放射線の測定方法3種

放射線測定器は3種類あり、それぞれ測定方法が異なります。

共通するのは、測定値が安定するまで測定し、最大値と最小値を記録することです。

使用する測定器仕様の時定数の約3倍以上の時間で測定するようにしましょう。

では、3種類の測定方法を順にみていきましょう。

電離箱

電離箱の測定方法は以下の通りです。

①測定器の電源を入れる

②地面から約1mの高さで測定器を水平に保つ

③時定数を短めに設定する

④放射線量が多い場所が見つかれば、長めの時定数に設定する

⑤針を安定させて測定する

GM計数管(ガイガー・ミュラーカウンタ)

GM計数管(ガイガー・ミュラーカウンタ)の測定方法は以下の通りです。

①測定器の電源を入れる

②バッテリー・電圧のチェックを行う

③時定数を短めに設定する

※時定数:変動する状態が平衡に達するまでにかかる時間

④測定を開始する

シンチレーション式

シンチレーション式の測定方法は以下の通りです。

①測定器の電源を入れる

②地面から約1mの高さで測定器を水平に保つ

③時定数を短めに設定する

④放射線量が多い場所が見つかれば、長めの時定数に設定する

⑤針を安定させて測定する

放射線測定器の取り扱い注意事項

放射線測定器を取り扱う際には、多くの注意事項を理解して使用する必要があります。

順に解説します。

壁から1m以上離れた場所で測定する

建物の壁や床からの影響を受けにくくするため、室内で測定する場合は、壁から1m以上離れた場所で測定するようにしましょう。

また、屋外で測定する場合も、建物から1m以上離れた空間で測定するようにしてください。

対象物が梱包されている場合は2か所以上測定する

測定対象物が段ボールやビニールなどの包装材で梱包されている場合には、表面を2か所以上測定します。

側面部2か所と上面部を測定することで、正しい数値を測定することが可能です。

また、側面部を測定する際には、床からの影響を受けないようにするため、床から1m程度離れた場所で測定するようにしてください。

もし測定対象物の高さが1.5m以上の場合や上面部が露出していない場合は1m離さなくても構いません。

測定器に電池を入れたままで保管しない

長期間、電池を放置すると高確率で電池が液漏れしてしまいます。

液漏れが発生した場合、内部回路基板に深刻なダメージが生まれますので、保管時には電池を抜きましょう。

-30度~+50度の範囲で使用する

気温が低すぎるまたは高すぎる場合には使用を中止してください。

特に真夏に車の中に測定器を放置すると、簡単に壊れてしまいます。

落下や水没などにも注意する

スマートフォンやパソコンを落下させたり水没させたりすると故障するのと同じように、機器である測定器の落下・水没は故障の原因となります。

電離箱の測定器の注意事項

電離箱の測定器を取り扱う際には、以下の点を注意してください。

  • 乾燥剤を入れた保管箱に収納する
  • 低線量率の測定は、積算線量測定モードを使用する
  • 使用前には、バッテリーの確認、時定数の確認、バックグランド値の測定を行い、異常のないことを確認する
  • エネルギー特性が良好であるため、管理区域境界の線量測定や漏えい線量の測定などに利用する

GM計数管(ガイガー・ミュラーカウンタ)の測定器の注意事項

GM計数管(ガイガー・ミュラーカウンタ)の測定器を取り扱う際には、以下の点を注意してください。

  • 不感時間と言う特徴があるため、高線量率領域の測定は行わない
  • 散乱線を多く含むような場所で測定は注意して行う

シンチレーション式の測定器の注意事項

シンチレーション式の測定器を取り扱う際には、以下の点を注意してください。

  • 低エネルギー領域では感度が極端に低くなるため、使用する目的に合わせて用いる
  • 散乱線を含む線量の正確な測定には使用しない

放射線測定器の点検方法

放射線測定器は、経年劣化や不具合などにより、正しい数値を測定できなくなる可能性があります。

そのため、バッテリーの確認、時定数の確認、バックグランド値の測定などの日常点検はもちろん、1年に1回程度の健全性確認と放射線校正を行う必要があります。

信頼できる校正は、国際又は国家計量標準につながる計量標準により実施されています。

経済産業省が認定した指定公正機関や公正事業者に依頼するようにしましょう。

また、放射線測定器の中でも、特にアルファ線やベータ線が何でも測れるような放射線測定器は、放射線入射窓が非常に薄いため、破損や機能劣化しやすい特徴を持つため、注意してください。

参考:経済産業省「放射能測定器及び放射線測定器等の校正

まとめ:放射線測定器を使用する際は仕組みを理解し、注意点への理解を深めること

放射線測定器を使用する際には、電離箱、GM計数管(ガイガー・ミュラーカウンタ)、シンチレーション式の3種類の仕組みを理解する必要があります。

また、測定場所や測定方法に注意するなど、取り扱う際の注意事項をチェックすることも必要なことがわかりました。

放射線測定器の性能や測定方法を十分理解すれば、より信頼できる測定結果を得ることができるでしょう。

さらに、信頼できる測定結果を得るのに、目的(放射線量(率)、表面汚染、放射能濃度など)によって、国家標準とトレーサビリティの取れた校正が行われていることも必要です。


福島第一原子力発電所の出来事で放射線の危険性が露わになったように、目に見えない放射線は人体に影響を与える可能性があります。

測定器を使用する際には慎重に、そして深く注意して測定を行うようにしてください。

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