ボアスコープとは?構造や価格についてファイバースコープとの違いも
部品の細かな部分や細いパイプの中など、人が直接目で確認できない箇所を確認するために使用される工業内視鏡ですが、製品の特徴によって様々な種類があります。
工業用内視鏡のうちの1つである、ボアスコープの製品構造や特徴についてご存知でしょうか。
本記事ではボアスコープの構造や特徴に加え、ファイバースコープとの違い、価格差のあるポイントについて解説していきます。
貴社で工業用内視鏡としてボアスコープを選ぶ際の参考にしてみてください。
目次
ボアスコープとは
ボアスコープとは、先端が硬質な金属チューブになっており、中にある光学レンズへ光を当てることで細部の確認が可能な工業用内視鏡です。
硬質な金属チューブを使用しているため、硬く曲がらないという特徴を持つことから日本語では硬性鏡と呼ばれています。
具体的には、金属チューブ内の光学レンズが2つの役割を担います。
- 映像を伝達するためのリレーレンズとしての役割
- 光を届けるためのライトガイドとしての役割
光学レンズに光を当てることで先端からの映像が得られるため、別途、光源装置を用意しなければなりません。
光源装置から光学レンズへ光を届けるための道としてライトガイドケーブルが必要な点も覚えておきましょう。
また、防水性能や耐油性能を持ち、先端径や視野の方向などの違いもあるため、使用したい環境に合わせてカスタマイズが可能な点も特徴になります。
ボアスコープとファイバースコープの違い
ボアスコープとファイバースコープの違いは、先端部分が曲がるかどうかです。
ボアスコープは先端が硬質な金属チューブであり、硬く曲がらないのに対し、ファイバースコープは管が細く柔らかい光ファイバーを束ねており、先端を曲げての使用ができます。
そのため、曲がりなどがない単純な配管部や空間が広く取れている箇所にはボアスコープを使用し、曲がりがあり複雑な配管部や狭い箇所にはファイバースコープを使用するといった使い分けが可能でしょう。
また、解像度にも違いがあり、先端が細径になればなるほど違いは顕著に現れます。
先端の光学レンズを介して映像を得るボアスコープでは、どのサイズでも一定の解像度を持った映像が得られる一方で、光ファイバーを介して映像を得るファイバースコープでは、細径にすると束ねられる光ファイバーが少なくなってしまうため解像度が落ちてしまうのです。
このようにボアスコープとファイバースコープでは、一長一短のような違いが存在するため、あらかじめ貴社で使用する場面を想定し、違いを理解した上で製品の選択をしてください。
ボアスコープの使用用途
ボアスコープの使用用途は多岐に渡っていますが、主な使用分野として2つ挙げられます。
- 工業分野
- 医療分野
硬く曲がらないボアスコープですので、一般的には工業製品の品質検査や配管工事などの工業分野で使用を想像されるかもしれませんが、実際には医療分野での使用もされているのです。
そこで、それぞれの分野でボアスコープがどのような用途で使用されているのか解説していきます。
工業分野
工業分野でのボアスコープの主な使用用途は、製品の品質検査や人が直接目にすることができない設備の保守検査などがメインです。
製品の品質検査や設備の保守検査は顧客の安全性や信頼性に関わる重要な項目であることから、工業分野でボアスコープが使用されています。
工業分野と言っても業種は非常に数多くに渡っており、電気や電子など細かな部品検査から、原子力や火力発電所でのタービン保守点検など様々です。
そのため、ボアスコープは工業分野において企業が顧客に安心・安全を提供する上で、非常に重要な役割を担っていると言えるでしょう。
医療分野
医療分野でのボアスコープの使用用途は、主に患者の負担を少なくするための手術です。
通常、手術は患者の体を切開して行いますが、切開する面積が広くなればなるほど、患者の負担は増大します。
しかし、ボアスコープを使用することで小さな穴から体内の手術行為が実施できるようになり、患者の負担は少なくなりました。
ボアスコープは硬く曲がらない性質を持つため、手術に使用可能な種類は限られますが、患者の負担を少なくするために医療分野でも重要な役割を担っています。
ボアスコープの構造と特徴
ボアスコープの構造は先端に配置された光学レンズに光を当てることで映像が得られますが、その他にも様々な構造上の違いや特徴があります。
- 先端径
- 有効長
- 視野角
- 解像度
使用したい環境や使用用途によって、ボアスコープの構造や特徴を把握しておくことは非常に重要なポイントです。
それぞれについて解説していくので、貴社でのボアスコープ選びの参考にしてください。
先端径
ボアスコープにおける構造上の違いの1つ目は先端径です。
先端径は太いか細いかが基準になります。
これは観察箇所までボアスコープを挿入できるかどうかに関わるポイントです。
観察したい箇所に広さがある場合は先端径が太いものでも問題なく挿入できますが、狭い場合には先端径が細いものを選択しなければなりません。
例えば、通常の配管内部のみを検査する場合は先端径が太くても問題ありませんが、配管内部のネジ穴を確認する場合は先端径が細いものを選択する必要があります。
スリーアール社のボアスコープは先端径が直径で0.83mmの極細タイプから8.0mmまで幅広く用意しているので、ぜひ参考にしてください。
有効長
ボアスコープにおける構造上の違いの2つ目は有効長です。
有効長は長いか短いかが基準になります。
これは観察箇所までの距離がどのくらいあるかどうかに関わるポイントです。
観察箇所まで距離が長い場合、先端が観察箇所まで届かなければ観察ができません。
一方で、観察箇所までの距離が短い場合、手元で距離を調整する手間に加え、身体や目への負担がかかってしまう可能性があります。
例えば、顔が近づけにくいエンジン機器の奥の方では有効長が長いものを選択し、観察箇所と目の距離が近くなる小さな部品では有効長が短いものを選択すると良いでしょう。
スリーアール社のボアスコープは、有効長が40mmの短いものから180mmの長いものまで各種サイズを用意しているので、ぜひ参考にしてください。
視野角
ボアスコープにおける構造上の違い3つ目は視野角です。
視野角は先端からどの角度で映像が得られるかどうかに関わる重要なポイントになります。
観察可能な範囲は先端径に依存しますが、先端から観察可能な方向は視野角に依存するのです。
例えば、観察したい箇所が正面にある場合は先端を挿入するだけで観察可能ですが、観察したい箇所が側面などにある場合は、観察ができません。
そのため、ボアスコープの視野角には種類を設けており、側面でも観察ができるようにしています。
一般的なボアスコープの視野角は50°とされていますが、スリーアール社では0°から90°まで、4種類を用意しているので、ぜひ参考にしてください。
解像度
ボアスコープにおける構造上の違い4つ目は解像度です。
解像度は得られる映像が鮮明か粗いかが基準です。
ボアスコープでは光学レンズが用いられるため、製品によって解像度が大きく異なることはほとんどありませんが、各社が採用している光学レンズの種類の違いから解像度が異なる可能性もあります。
その他にも使用している光源や、光の量などによって見え方に違いがあることを覚えておきましょう。
ボアスコープの価格差のポイント
ボアスコープには価格差のあるポイントが存在します。
構造や種類によって価格差があるのはもちろんですが、大きな部分は追加で機能を利用するために、別途、用意をしなければなりません。
以下にて解説していくので、貴社での使用環境を想像しながら参考にしてみてください。
光源に互換性があるか
1点目は光源に互換性があるかどうかです。
ボアスコープを使用するためには光源が必要であり、基本的にはボアスコープの台数分だけ光源も必要になります。
さらには、有効長や視野角など各社のラインナップが違うことを考えると、違うメーカーのボアスコープを社内で使用する場合もあるでしょう。
その場合、メーカーごとでボアスコープの光源を用意していたら、購入費用が膨らんでしまいます。
一方で、光源に互換性があるのであればボアスコープのメーカーが違ったとしても、問題なく使用が可能でしょう。
全体的な購入費用を考えると、使用する光源に互換性があるかどうかは重要なポイントです。
カメラの使用有無
2点目はカメラの使用有無です。
ボアスコープは、基本的に肉眼で覗くことで観察を行いますが、カメラを接続して使用する場合もあります。
カメラを接続して使用する場合には、別途、メーカーごとで用意しているカメラを購入しなければなりません。
その際、カメラ自体にも様々な種類があるだけでなく、専用のアダプターも必要になるため、別途で用意するための費用がかかってきます。
種類によっては、感度が高く、より広い範囲を観察できるような高性能のカメラもあることから、ボアスコープ一式のシステムを鑑みるとカメラ自体が高額になることもあるでしょう。
カメラを別途購入した場合、購入費用が通常よりも高くなることを覚えておきましょう。
モニタへの出力方法について
3点目はモニタへの出力方法によって価格差が生じます。
カメラを使用した場合、得られた映像はモニタへ出力されますが、モニタを用意しなければならないのはもちろん、出力の方法にも違いがあるのです。
例えば、カメラからケーブルをモニタへ接続したり、USBを通じてPCへ出力したりなど、ボアスコープのシステムを組むための費用に関わってきます。
また、スリーアール社ではWIFIを使用し、無線で接続可能なカメラを用意していますが、モニタのみでなくスマートフォンやタブレットなど、様々な形で出力が可能です。
そのため、モニタへの出力方法はカメラとの接続の際に必要な部品に違いも出てくるため、あらかじめ使用場面を想定して購入費用の見積もりを行いましょう。
まとめ:ボアスコープは目的と用途に合わせた選択をしましょう
ボアスコープは硬性鏡とも呼ばれており、先端が硬く、曲がらないといった特徴を持つため、使用に適した場面の想定がしやすいです。
そのため、貴社での使用目的と用途に合わせた選択をしなければなりません。
ボアスコープを選ぶ際は、先述した構造にも注目しながら、最適な種類を選択しましょう。
きっと貴社での使用に適したボアスコープが見つかるはずです。
スリーアール社でも幅広い種類のボアスコープを用意しているので、ぜひ参考にしてください。
ボアスコープでお困りのことがあれば、お気軽にお問合せください。