3Rスリーアールソリューション株式会社
TEL:092-260-3030 平日 9:00~18:00
メニュー

非破壊検査のutとは?仕組みや受講が必要な講習についても解説!

輸送機器や構造物の品質を担保するために欠かせない非破壊検査ですが、様々な種類の検査方法があります。

そのため、単体ではどのような試験なのかと悩んでしまうこともあるのではないでしょうか。

本記事では非破壊検査の1つである、超音波探傷試験(ut)について解説していきます。

超音波探傷試験(ut)の仕組みや特徴、試験を実施する方向けの講習についても解説しているので、貴社で非破壊検査を実施する際の参考にしてください。

内視鏡資料請求 非破壊検査導入ガイドブック

非破壊検査 超音波探傷試験(ut)とは

非破壊検査の1つである超音波探傷試験(ut)とは、超音波を使用して試験対象の内部のきずの有無や位置、大きさを確認する試験です。

超音波は物質に対して反射や屈曲する性質を持っており、この性質を利用して試験対象の内部を観察しています。

例えば、試験対象の内部にきずが存在していなければ、発信された超音波は底面で反射し、再び発信源に戻ってきます。

しかし、試験対象の内部にきずが存在していると、発信された超音波はきずの部分で反射し、発信源に返ってくるのです。

超音波の反射が底面でされるのか、きずでされるのかの仕組みを利用して行うのが超音波探傷試験(ut)です。

非破壊検査 超音波探傷試験(ut)に使用する機器

非破壊検査では、試験の種類によって使用する機器が違います。

超音波探傷試験(ut)では、超音波を利用するため、発信源や受信装置など様々な機器が必要です。

超音波探傷器を構成する機器は4つあります。

  • パルス発信器
  • 探触子
  • 受信機
  • 表示部

4つの機器が組み合わされることで超音波探傷試験(ut)が実施可能になるので、それぞれ解説していきます。

パルス発信器

パルス発信器は、超音波の源となる電気信号を発生させる機器です。

超音波探傷試験(ut)では超音波の性質を利用して試験対象の内部のきずを確認しますが、超音波を発信する源になる機器がなければ試験ができません。

超音波とは人間の耳では聞くことが不可能な高い音を指しており、逆を返せば人間には発せない音であると言えます。

そのため、パルス発信器は超音波探傷試験(ut)において、超音波を発信するために必要な機器です。

探触子

探触子は、試験対象へ超音波を送受させるセンサーの役割を持った機器です。

パルス発信器から発せられた電気信号は探触子にて超音波へ変換されます。

変換された超音波は試験対象へ発信され、内部を伝搬した後に再び探触子へ戻ってきますが、戻ってきた超音波を正確に測定しなければなりません。

実際に試験対象へ接触させ、超音波の送受信を行う重要な役割を担っているのが探触子です。

受信機

受信機は、探触子が受信した超音波を再び電気信号へ変換する機器です。

超音波は音の信号であり反射を繰り返すため、正確な可視化ができません。

そこで、可視化をするために使用された超音波を再び電気信号にする必要があるのです。

超音波のグラフを測定してしまうと、反射を繰り返すことにより波形が波打ってしまいますが、電気信号であればoか1の波形が出るのできずの位置や大きさが測定できます。

そのため、探触子で送受信した超音波を電気信号へ変換し、正確な試験結果を表示するために必要になるのが受信機です。

表示部

表示部は、受信機で変換された電気信号が波形として出力される機器です。

超音波や電気信号は、人の目で確認ができません。

確認するには人の目に見える形で、モニターなどに表示する必要があります。

例えば、超音波が山びこと同じ性質を持っていることを考えたときに、山で人間が発した声はこだまとして聞こえますが、目での確認はできません。

超音波も電気信号も同様に、目での確認はできないため波形として確認する表示部が必要になるのです。

非破壊検査 超音波探傷試験(ut)の検査方法

非破壊検査の1つである超音波探傷試験(ut)には4つの検査方法はあります。

  • 垂直探傷
  • 斜角探傷
  • リニアスキャン
  • セクタースキャン

超音波探傷試験(ut)が行われる対象物は多岐に渡り、複雑な形状の物もあることから1つの検査方法のみでは、正確な試験が実施できません。

そのため、検査方法を変えることで対応していきます。

以下にて、それぞれの検査方法について解説していきます。

垂直探傷

垂直探傷は、試験対象に接着させた探触子から垂直に超音波を入射する検査方法です。

超音波が垂直に入射されることから、きずの位置が探触子の下に位置すると想定される場合に多く使用されます。

試験対象の内部にきずがなければ底面で反射した超音波が確認できますが、きずがある場合はきずで反射した超音波を確認できます。

また、垂直に超音波を入射しているのできずまでの距離なども確認がしやすいです。

具体的に使用される対象物としては、単純な構造をしている鋼板などが挙げられるでしょう。

斜角探傷

斜角探傷は、試験対象に接着させた探触子から斜めに超音波を入射させる検査方法です。

溶接部や鋼管内など、きずの他に超音波が反射してしまう物質がある可能性が高い場面で用いられます。

きずがない場合、底面で反射した超音波が必ず確認できる垂直探傷とは違い、斜角探傷では発信された超音波が確認できません。

そのため、超音波の反射が確認できる場合、きずがある可能性が高いことから、探触子を前後に動かすことで広範囲の検査が実施できます。

また、超音波を入射する角度の調整も可能であり、反射してきた超音波の角度と照らし合わせることで、きずの性状の推察も可能な検査方法が斜角探傷です。

リニアスキャン

リニアスキャンは、超音波を複数発信できるフェイズドアレイ用の探触子を用いて垂直に超音波を入射する検査方法です。

通常の垂直探傷と比較すると、一度に複数の超音波が送受信されるので、きずの位置や大きさに加え、凹凸の確認もできます。

例えば、あらかじめ様々な深さの穴をつけた鋼板に対してリニアスキャンで検査を行うと、穴ごとの深さまで測定可能です。

複数の超音波が発信できる点以外は垂直探傷と変わりない検査方法なので、鋼板などの検査に向いています。

セクタースキャン

セクタースキャンはリニアスキャン同様、フェイズドアレイ用の探触子を用いて斜めに超音波を入射する検査方法です。

一度に発信される超音波は複数でありながら、超音波ごとに斜角を調整できるので、通常の斜角探傷よりも広範囲かつ正確な検査が可能になります。

また、1回ごとに超音波の斜角を調整して入射する工程が省けるので、検査に伴う煩雑さも低減できるのではないでしょうか。

斜角探傷と同様に溶接部や鋼管内などに適した検査方法です。

非破壊検査 超音波探傷試験(ut)の特徴

非破壊検査の超音波探傷試験(ut)には3つの特徴があります。

  • 対象物を破壊せずに内部欠陥の調査が可能
  • 検出しやすい欠陥の状態に違いがある
  • 調査可能な対象物の素材が決まっている

上記の特徴により、貴社で想定している試験対象が超音波探傷試験(ut)に向いているかどうかの参考にしてください。

それぞれについて解説していきます。

対象物を破壊せず内部欠陥の調査が可能

非破壊検査は対象物を破壊せずに行う検査ですが、超音波探傷試験(ut)は試験対象の内部欠陥の調査が可能です。

なぜなら、超音波を使用して試験対象の内部のきずの有無や位置、大きさを確認する試験だからです。

試験対象の内部を確認するには、表面を破壊して内部を確認すれば容易に検査を実施できますが、それでは非破壊検査の意味を成しません。

だからこそ、試験対象を破壊せず内部の欠陥を調査可能なことが、超音波探傷試験(ut)の特徴なのです。

検出しやすい欠陥の状態に違いがある

超音波探傷試験(ut)では検出しやすい欠陥の状態に違いがあります。

試験に超音波が反射する性質を利用している以上、検出しやすい欠陥の状態に違いがあるのは仕方ありません。

例えば、超音波が入射した角度に対して垂直に反射する面状の欠陥は検出しやすい一方、反射する際に角度がついてしまう球状の欠陥は検出しにくくなってしまいます。

球状の欠陥も検出できないことはないかもしれませんが、入射する超音波の角度に気を使わなければならないため、想定される欠陥がどのような状態かを想定しておくことも大切でしょう。

調査可能な対象物の素材が決まっている

超音波の性質上、調査可能な対象物の素材が決まっています。

対象物に対して超音波を伝搬させることで試験を実施するので、対象物の内部を超音波が伝搬できない素材では超音波探傷試験(ut)が実施できません。

これは超音波の伝わる速度である音速の影響が挙げられますが、特にオーステナイト系網や鋳造品などの粗粒剤や鉛は超音波が伝わりにくいことから、調査が実施できないのです。

そのため、超音波探傷試験(ut)を実施する際は、試験対象の素材を確認しておきましょう。

非破壊検査 超音波探傷試験(ut)の講習

超音波探傷試験(ut)に限らず、非破壊検査の精度は検査を担当する人間の技量に大きく左右されます。

そのため、日本では一般社団法人 日本非破壊検査協会によりJIS Z 2305に基づいた非破壊試験技術者の資格試験や講習を実施しており、非破壊検査を担当する人間は認証を受けなければなりません。

いくつか種類のある非破壊検査のため、求められる技量は検査の種類によっても違っていることから、ここでは超音波探傷試験(ut)にフォーカスを当てて解説していきます。

非破壊試験技術者

非破壊試験技術者は、超音波探傷試験(ut)に限らず、非破壊検査を実施する人間は受けなければならない認証です。

どの種類の試験でも認定を受ける際の受験資格が定められていますが、すべてに共通している受験資格として2つが挙げられています。

  • 視力検査において近視や色覚異常がないこと
  • 定められた最小限の訓練時間かつ経験年数を満たしていること

超音波探傷試験(ut)の必要な訓練時間は40時間、経験年数は3ヶ月です。

さらに、非破壊試験技術者には技量に応じたレベルが1~3まで用意されており、レベルごとに必要な訓練時間と経験年数が定められています。

UT試験の
要求される時間
レベル1 レベル2 レベル3
訓練時間 40時間 80時間 32時間+8時間(※1)
経験年数 3ヶ月 9ヶ月 -

※1 各試験共通の基礎コース8時間を受講する必要あり

実際の試験では、1次試験として筆記試験があり、2次試験として実技試験があります。

詳細は日本非破壊検査協会のホームページを参照ください。

技術講習会

試験を受講するために必要な訓練時間を満たすため、日本非破壊検査協会にて講習が実施されています。

技術講習会は新規で非破壊試験技術者を受講する人に向け、講義と実技のプログラムが組まれた講習です。

講習を受講すれば、非破壊試験技術者の受験資格である訓練時間が満たされるプログラムになっています。

これから超音波探傷試験(ut)の実施を検討されている場合は、ぜひ受講を検討してみてください。

実技講習会

実技講習会は受講対象者が1次試験合格者、2次試験受験者、再認証試験受験者に限定された講習です。

講習の内容は実技のみのプログラムであることから、探傷試験の反復練習や技術の習熟が目的とされています。

現時点で貴社に満足できる設備がない場合や、探傷技術に不安を抱える場合は受講を検討してみてください。

まとめ:非破壊検査である超音波探傷試験(ut)の実施は仕組みの理解と講習の受講が必要

非破壊検査である超音波探傷試験(ut)を実施する際は、仕組みを理解した上で講習の受講が必要です。

超音波探傷試験(ut)は超音波の性質を利用して試験対象の内部のきずの有無や位置が確認できます。

しかし、対象物の素材によっては向き不向きがあることも覚えておきましょう。

試験を実施する際は一定の技術が必要になるため、日本非破壊検査協会が実施している講習を受講の上、非破壊試験技術者の認証を受けるようにしてください。

内視鏡資料請求 非破壊検査導入ガイドブック
オススメ製品
  • 先端可動式工業用内視鏡 IFIBER
    様々な用途に選ばれる内視鏡の最新版
    製品を見る
  • 工業用内視鏡 VFIBER
    エンジンや配管など目視での確認が困難な場所の点検に
    製品を見る
  • Φ6mm管内カメラ 3R-FXS07
    配管等の奥の確認作業に
    製品を見る
pagetop