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超音波を使った非破壊検査とは?原理や用途、メリット・デメリットを徹底解説

※本記事は一般的な内容を元に作成しております、詳しくはご利用のメーカー等にご確認ください

非破壊検査には

  • ・磁気を利用した磁粉探傷試験
  • ・放射線を利用した放射線透過試験
  • ・赤外線を利用した赤外線検査

など、その他さまざまな原理を利用した検査がありますが、本記事では超音波を利用した非破壊検査について解説します。

超音波を使った非破壊検査は、材料や構造物の欠陥を検出する技術として幅広く利用されています。

この技術は、検査対象物に直接触れずに内部の欠陥を検出でき、破壊的な検査に比べて効率的であり安全性が高いと言われているためです。

しかし、超音波を使った非破壊検査は、検査方法や機器の選択、検査結果の評価に専門的な知識と経験が必要になります。

初めて検査を行う人にとっては難しい面があるかもしれません。

そこで今回は、超音波を使った非破壊検査の原理や用途、メリット・デメリットなど紹介していきます。

これから超音波を使用した非破壊検査をする方は、ぜひ参考にしてみてください。

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超音波を使った非破壊検査の原理

超音波を使った非破壊検査の原理は、音波を物質内部に伝え、反射や散乱を検出することで欠陥を評価していく原理です。

この原理を理解するためにはまず超音波の特性を把握しておきましょう。

超音波は高周波の振動であり、物質内部を伝わる速度が音速よりも速いという特徴があります。

音波の反射や散乱を利用して、非破壊的に欠陥を評価できます。

超音波を使った検査の流れはまず検査対象を選定し、適切な周波数や波長を選定し、プローブで物質内部に超音波を送信させます。

そして、受信器で反射波や散乱波を信号処理器で評価するというのが一般的な流れです。

検査途中で欠陥がある場合には、その形状や大きさを評価し、必要に応じて修理や交換を行っていきます。

超音波の特性

超音波の特性はさまざまありますが、「振動数」「波長」「伝播速度」などの項目が関わってきます。

振動数は1秒あたりに繰り返される振動の回数で周波数とも呼ばれています。

超音波は一般的に20kHz以上の高周波数で発生されるため、人間の耳では聞こえません。

波長は、振動数と伝播速度によって決まり、振動数が一定であれば伝播速度が速いほど波長は短くなります。

超音波は波長が短いほど物質内部に深く侵入し、小さな欠陥や微細な損傷などの検出も可能と言われています。

伝播速度は、音波が物質内部を伝わる速度のことです。

物質によって異なり、一般的には金属やセラミックスなどの固体に対し伝播速度が速くなる特性があります。

これらの特性を正しく理解し、超音波検査の設定や操作を適切に行うことが正確な検査結果を得るために大切です。

超音波検査装置の構成

正確な被破壊検査を実現させるために、超音波検査装置の構成を知っておくことが大切です。

超音波検査装置は、一般的に「発振器」「プローブ」「反射板」「受信器」などの要素から構成されています。

発振器は超音波を発生させる部品です。

電気信号を超音波信号に変換させる役割があります。

プローブは、物質内部に送り込むための部品です。

発振器によって発生された超音波をブローブを通じて物質に伝える役割があります。

プローブから発せられた超音波は、物質内部に反射します。

この反射された超音波を受け取るための部品が反射板です。

反射板は、超音波が物質内部を伝わる際に反射される、欠陥や損傷部分から反射された超音波を受信するために使用されています。

そして、反射板からの超音波を受信する部品が受信機です。

受信機は、超音波信号を電気信号に変換します。

受信された電気信号は、表示装置によってその波形や信号の強さなどを解析します。

受信機は物質内部の欠陥や損傷部分を特定するために必要です。

正確な検査結果を得るために、超音波検査装置の構成を理解しておきましょう。

超音波を使った検査の流れ

超音波を使った検査の流れは、以下のような流れです。

  1. 1.検査の前処理:検査する対象物の表面をクリーニングして、汚れや油膜を取り除く。
  2. 2.超音波の発振と伝播:発振器から超音波を発生させ、プローブを通じて対象物に伝播させる。
  3. 3.反射波の受信:超音波が対象物内部で反射し、その反射波を受信器が検知する。
  4. 4.解析:受信した反射波を解析し、対象物内部の欠陥や異常を検出する。

しかし、この流れには検査対象物によって異なる点があります。

例えば、検査の前処理で使用する洗浄剤やクリーニング方法は、対象物の種類や形状によって変わる場合があります。

超音波の伝播には、対象物の材質や厚みや形状によって影響を受けるため、適切なプローブの選択が必要です。

また、解析には特定のアルゴリズムが使用され、検査対象物によってアルゴリズムを変更する必要がある場合もあります。

検査対象物の種類や形状によって適切な測定機器や検査方法の選択が大切です。

その他の非破壊検査について知りたい場合には、以下の記事を参考にしてください。

非破壊検査とは? 装置の種類や特徴を解説!

超音波を使った非破壊検査の用途

水質検査の用途と種類

超音波を使った非破壊検査はさまざまな用途があります。

どのような場面において超音波を使った非破壊検査が活躍しているのか、紹介していきます。

自動車や航空機の検査

超音波を使った非破壊検査は自動車や航空機の検査で広く使われています

超音波を用いることで、部品の欠陥を検出をはじめ、材料の種類判別、厚みの測定などが可能です。

例えば自動車の場合では、エンジンやトランスミッション、駆動系の部品などの欠陥検査に非破壊検査が使用されます。

航空機では、主翼やフレーム、エンジン部品などの検査として役立っています。

特に航空機の場合、安全性を確保するために定期的に検査を行うことが大切です。

超音波を用いた非破壊検査は、自動者や航空機など品質検査の場面で欠かせない技術となっています。

鋼構造物や建築物の検査

鋼構造物や建築物の検査においても、超音波を使った非破壊検査が広く行われています

鋼材の欠陥検出には、超音波の伝播速度が異なる欠陥部分において、反射波を計測して検査します。

接合部の品質評価においては、超音波の伝播状態から接合部の欠陥や不具合も検出可能です。

さらに、コンクリートの内部損傷検出においては、超音波の反射波の波形から内部の欠陥部分が検出できます。

建築物や構造物の耐久性や安全性の確保するため、超音波を使用した非破壊検査が活躍しています。

医療分野での検査

医療分野でも超音波を利用した非破壊検査が行われています

たとえば、血管内視鏡による手術では、超音波プローブを用いて患者の内部を観察し、手術中に異常を検出するため使用されています。

さらに心臓超音波検査では、超音波を用いて心臓の機能を評価し、心臓病の診断や治療に役立っています。

医療分野での超音波検査は非侵襲性が高く痛みも少ないため、多くの患者にとって負担が少ない検査方法として広く利用されています。

(非侵襲性…生体を傷つけない、または直接触れないこと)

超音波を使った非破壊検査のメリット・デメリット

超音波を使った非破壊検査には、以下のようなメリットがあります。

  1. 1.非破壊検査であること
  • ・非破壊検査であるため、検査対象の物体を破壊することなく検査が可能
  • ・検査対象の物体を破壊することなく検査ができるため、検査後の修理や補修の費用や時間を削減
  1. 2.高い精度
  • ・超音波検査は、音波が物体内部を伝播する際に物理的な変化によって反射波が生じることを利用して、物体内部の異常や欠陥を検出
  • ・物体内部の異常や欠陥を高い精度で検出することができるため、品質管理や安全管理に適した検査方法
  1. 3.迅速性
  • ・超音波検査は、測定が容易で迅速に行える
  • ・現在では自動化された装置が普及しており、より迅速に検査を行うことができる
  1. 4.適用範囲の広さ
  • ・超音波検査は、鋼構造物や航空機、自動車、医療分野など、多岐にわたる分野で利用できる
  • ・検査対象の物体に制限がなく、多様な用途に適用可能な検査方法であること

デメリット

超音波を使った非破壊検査には、以下のようなデメリットがあります。

  • ・検査対象に応じた適切な超音波の設定や解析方法を選定するためには、専門的な知識が必要になること
  • ・高精度かつ信頼性の高い検査を行うためには、検査装置のコストが高くなる場合があるということ
  • ・超音波の伝播や反射による情報を得ることができる材料には限界があり、非破壊検査ができない材料もあるということ。

    ※例えば、多孔質材料や非金属材料に対しては、浸透深傷試験(PT)や3次元X線イメージングなど他の非破壊検査法が必要なる場合があります。

 

これらのデメリットを克服するためには、検査対象に応じた正確な設定や、最新の技術や知識を持つ専門家の手による検査が必要です。

非破壊検査のより詳しいメリット・デメリットについては、以下の記事で紹介しています。

非破壊検査のメリット・デメリット 検査方法についても解説!

超音波を使用した非破壊検査を行うための計測機器

ここからは、超音波を使用した非破壊検査を行うための計測機器について紹介します。

正確に計測するためには、それぞれの目的に合わせた計測機器を使用することが大切です。

超音波探傷器

超音波探傷器は、物質中を伝わる超音波の反射波を検出して、物質内部の欠陥や異常部位を検出するための計測機器です。

超音波探傷器は、対象物に超音波を送り、戻ってくる反射音波を検出して欠陥の位置とサイズを特定します。

鋳鋼品、溶接部、接着・剥離部など、さまざまな材料や部品の検査に活躍する超音波探傷法を採用した非破壊検査の一種です。

ポータブルタイプや据え置きタイプなどがあります。

探傷器を使用するには、専門的な知識や訓練が必要であり、検査装置のコストが高いため設備投資に関する検討が必要です。

超音波探傷器を使用した超音波探傷試験について知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。

非破壊検査のutとは?仕組みや受講が必要な講習についても解説!

超音波厚さ計

超音波厚さ計は、物質の厚さを測定するための計測機器です。

超音波厚さ計は、トランスデューサーと呼ばれるセンサーから発信した超音波が、測定物の反対面で反射し、再度トランスデューサーに戻ってくるまでの時間(伝播時間)を測定して厚さを算出します。

超音波厚さ計は、鉄鋼や金属などの材料の肉厚や腐食量などを測定するのに便利です。

そのため、さまざまな製品の製造工程における欠陥を検出するための非破壊検査装置として広く使用されています。

超音波流量計

超音波流量計とは、液体や気体の流量を非接触で測定するための計測機器です。

超音波を流体中に送り、反射波の時間差から流速を計測します。

超音波流量計は、流体の種類に依存せず、正確な計測が可能です。

測定において流体に対して圧力損失を与えず、非接触で測定できるため、メンテナンスが容易で計測中の流体に対する汚染の心配がありません。

水道管や石油パイプラインなど、さまざまな流体を測定する場で使用されています。

しかし、超音波流量計にはいくつかの制限があります。

例えば流れが乱れるような状況や、流れがゆっくりしているような状況では正確な計測ができないことです。

流体の密度や粘度、温度、圧力などの変化によって、計測値に影響を受けることもあります。

以上の制限を踏まえたうえで、超音波流量計を使用しましょう。

超音波顕微鏡

超音波顕微鏡は、超音波を使って物質の表面や内部構造を観察する顕微鏡の一種です。

超音波を物質に照射することで、物質の密度や弾性定数、音速などの物理的な性質に基づいて画像を生成します。

材料の非破壊検査、微細構造の解析、表面形状の観察などの多くの分野で利用さています。

特に医療分野では、超音波を使った医療画像診断に欠かせない機器としても広く用いられています。

超音波による非破壊検査での注意点

超音波による非破壊検査においては、正しい計測機器の使用方法を理解することが重要です。

検査対象物の特性を考慮し、最適な検査方法を選択する必要があります。

そこでここからは、超音波における非破壊検査での注意点について紹介します。

計測機器の正しい使用方法を理解すること

超音波による非破壊検査を行う際には、計測機器の正しい使用方法を理解することが重要です。

計測機器を適切に使用しないと正確な検査結果を得られない可能性があるためです。

例えば超音波を正しく発生させるためのプローブの角度や位置が適切でない場合、反射波を正しく検出することができず、欠陥や異常部位を見落とすことがあります。

測定対象の材料の特性に合わせた適切な超音波の周波数やエネルギーなどの設定が必要です。

これらを誤ると検査結果に影響が出ることがあります。

計測機器の取扱説明書をしっかり読み、操作方法や設定方法、注意事項などを把握することが大切です。

操作方法や設定方法が不明な場合には、必ず専門家に相談するようにしましょう。

検査対象物の特性を考慮すること

超音波による非破壊検査を行う場合、検査対象物の特性を考慮することが重要です。

以下のような点に注意してください。

  • ・厚さの測定を行う場合、測定対象物の材質によって使用する超音波の周波数が異なってくる
  • ・壁の厚みが均一でない場合、反射波の解析が困難になるため、検査結果に支障が及ぶ可能性がある
  • ・検査対象物の形状や材質によっては、検査範囲や検査精度に限界がある場合がある

超音波による非破壊検査を行う際には、検査対象物の特性を正確に把握し、適切な検査方法を選択することが大切です。

検査結果の評価には専門知識が必要であること

超音波による非破壊検査では、超音波を物質中に送り、反射波を測定することで物質内部の欠陥や異常部位を検出できます。

しかし、検査結果の評価には専門的な知識と経験が必要です。

検査対象物の材質や形状、厚みなどにより検査方法や検査条件が異なるためです。

また、検査結果には偽陰性や偽陽性といった誤差が発生する場合があります。

正確な検査結果を得るためには、専門的な知識を持った人材が検査を行い、適切な評価を行うことが必要です。

まとめ:超音波を用いた非破壊検査を行う際は、専門的な知識や経験をもつ人を置くこと

超音波を使った非破壊検査は、様々な分野で利用されています。

たとえば、製造業における製品の品質管理や航空機や自動車産業における安全性の確保です。

建築業においては、建築物の耐久性の確保など幅広い分野で超音波による非破壊検査が活躍しています。

超音波を使った非破壊検査は、技術進歩が期待されている分野でもあるため、今後の展開にも注目されている分野です。

しかし非破壊検査は超音波の原理や用途、注意点などしっかり把握しておくことが大切です。

当記事を参考に、正しく安全な非破壊検査を実施してください。

 

スリーアールソリューションでは、様々な測定機器を販売しており、お客様のニーズに合わせたサポートも行っています

計測機器をお探しの場合には、お気軽にお問い合わせください。

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