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水質検査の方法とは?用途や種類別の特徴を把握しよう

世界では深刻な水不足問題が騒がれています。

日本は国土の約70%が森林に覆われており、水資源も豊富で1年を通じて四季を感じとれることから、水不足に感じる場面は極めて少ないです。

しかし高度経済成長期に急速な成長を見せた、高速道路建設や水道工事などのインフラが徐々に寿命を迎えはじめ、全国的に大規模改修が必要な期間に突入。

小さな自治体などでは、水道水の水質が問題視される状況も発生しています。

生活に欠かせない貴重な水の品質を正確に検査して、災害時などに備えたり日々の生活を守ったり、水質検査のやり方について詳しく知りたい方もいるのではないでしょうか。

今回は日々の生活に欠かせない生活用水や、災害時に問題視される水質を把握するための検査方法について解説します。

水質検査のやり方を正しく理解して、ぜひ安心できる日常生活を守るほか、各事業所での業務にも役立ててください。

水質検査とは

水質検査とは

水質検査とは水道や用水路などの、日常の生活に欠かせない水が「規定の水準」を満たしているのかを検査するためのものです。

水にはそれぞれ細菌、微生物、色、ニオイ、などの含まれる化学物質が異なります。

そのほか水質検査を行う場所や各水の用途、水の種類によってもさまざまな基準が設けられており、それらの数値を満たしていなければいけません。

農業用水路から検出される化学物質の量が多ければ、野菜のみならず、最終的に農作物を消費する人体へも大きな影響が及んでしまいます。

水道水でも同じ状況が想定されるため、水質検査は私たちが安全な生活を送るうえで、非常に重要な検査なのです。

水質検査の方法

水質検査のやり方

水質検査を実施するうえでの基本的な数値目安には、COD(化学的酸素消費量)やBOD(生物化学的酸素要求量)、酸性雨、pHなどが挙げられるほか、簡易的なパックテストが可能です。

水道や排水路・用水路などの日常生活における安全面に直結する場所での検査の場合、高度な検査結果が期待できるJIS規格の検査機器で水質検査を行います。

おおよその数値などを把握したい場合は、市販の水質検査キットなどでも問題ありません。

しかし水は生活に欠かせない存在であり、高精度な検査結果を求められることが一般的なため、水質検査は基本的に専門の業者が実施します。

厚生労働省で定められている「水道法_水質検査第20条」の内容のとおり、水道事業者は定期的または臨時的に水質検査が義務付けられているので、精度の高い検査機器が必要です。

厚生労働省:水道法「法第20条関係」

なお、精密な水質検査には高価な機器や専門性の高い試験薬なども必要ですが、簡易的に調査したい場合にはCODキットやCODパックテストなどを選ぶようにしましょう。

水質検査の用途と種類

水質検査の用途と種類

水質検査は、水の用途によって検査水準や検査方法が異なるため「どこの水を検査するのか」を明確に把握しておくことが重要です。

なお水質検査を行う対象の水は、一般的に以下の4種類に分類されます。

  • ・水道水
  • ・生活衛生水
  • ・雑用水
  • ・飲用井戸水

水道法水を対象とした水質検査

水道水は水道法に基づく水質検査によって上水道、簡易水道、専用水道を対象に行われます。

多いもので検査項目は51個に分けられており、厳しい検査基準が設けられていることが一般的です。

安心して使用できる水道水として、定められた基準に適合しているかを検査したり、水道法第4条により検査義務が定められたり、専門知識を備えていなければいけません。

具体的な検査名としては、定期水質検査が有名です。

定期水質検査では残留塩素や水の色味、一般細菌、有機物、塩化物イオン、pH値、などの項目を検査して確認します。

生活衛生水を対象とした水質検査

生活衛生水に関する水質検査は、市民プールや浴槽水をはじめとした飲料水以外の場面で使われる水を対象に行われます。

普段から私たちが使用する水の中に、大腸菌やそのほかの一般的な細菌が混入していた場合、集団食中毒などの大きな事件に発展し兼ねません。

水質検査のなかには、生活衛生水を使用する人々が安心して暮らせるように「公衆浴場における水質基準等に関する指針」という規定なども設けられています。

特に日頃から頻繁に活用されているのが浴水槽。

浴水槽の水を対象とした水質検査では、上がり用水、原水、原湯を重点的に検査します。

そのほかでは、以下の箇所の検査項目が一般的です。

  • 毎日完全換水型の浴槽水
  • 連日使用型の循環浴槽水
  • 循環濾過装置を使用していない浴槽水
  • 連日使用型の循環浴槽水で消毒が塩素消毒されていない浴槽水

遊泳用プールと同様に通年での利用者が多いため、水質検査も年間で複数回、実施する必要があります。

雑用水を対象とした水質検査

雑用水を対象とした水質検査は、ビル管理法に基づいて実施される内容です。

「建築物における衛生的環境確保に関する法律」という正式名称であり、通称では建築物衛生法と呼ばれることもあります。

ビル管理法に基づく水質検査で対象となる水は、以下の2種類が一般的です。

  • 中水雑用水検査
  • 飲料水質検査

中水雑用水の水質検査は、雨水、排水の再生水、工業用水などを散水・修景・清掃・水洗トイレ用として使用する水質を検査します。

飲料水とは異なり、体内に取り入れる水ではありませんが、雑用水でも衛生上で必要な措置を行わなければいけません。

飲料水質検査は、一定以上の延床面積を有する店舗などの商業施設、学校、オフィスで使用する飲料水を対象とした検査です。

10種類以上の項目を約半年に1度、水質検査を実施して安全性に問題がないかを判断しています。

そのほかビル管理法に基づく水質検査の内容では、貯水槽清掃や害虫駆除などの検査作業が含まれているのも特徴の1つです。

飲用井戸水を対象とした水質検査

飲用井戸水の水質検査は、水道法による法的な実施規定がありません。

しかし「飲用井戸等衛生対策要領」と呼ばれる厚生労働省が定める、年に1回の水質検査は実施する必要があります。

検査項目は11項目あるほか、各都道府県ごとや政令指定都市の街ごとに独自の条例・規則が設けられている場合があります。

詳細な検査項目などが気になる際には、以下の厚生労働省のサイトをご参照ください。

厚生労働省「飲用井戸等衛生対策要領の実施について」

水質検査の選び方

水質検査の選び方

水質検査を選ぶ際は、以下の項目ごとにカテゴリーを分けて確認しながら、用途に応じたタイプの検査キットを選びましょう。

  • ・「井戸水」や「水道水」などの検査する水の種類
  • ・飲用水、非飲用水なのかを明確にしておく
  • ・本格的な行政指導の準拠に適したタイプ
  • ・残留塩素、pH、濁度、色度などが測定できるタイプ

測定する水が飲用の水道水、井戸水、非飲用水、下水道、温泉施設などによっても測定すべき検査項目が異なるため、あらかじめ用途を確認しておくと安心です。

水質検査には誰でも気軽に実施できる浄水試験法や、JIS法などの公定法に基づいて作成された簡易測定型の検査キット、さらに専門業者向けの高性能なタイプがあります。

なお水質検査を使用する専門的な事業者は以下のとおりです。

検査する水の種類 使用事業者 検査対象の水
飲料水・井戸水 製薬会社、食品製造業者、ビルメンテナンス会社、受水槽清掃業者など 井戸水、水道水、清掃後の受水槽、ビル管の対象施設など
工場排水・冷却水 製造事業者、畜産業、排水処理施設の管理業者、食品製造業者など 工程水、原水、下水道法流水、河川放流水、各種放流水など
浴槽・プール 各種温泉施設、フィットネスクラブ、ホテル・旅館、介護福祉施設・老人ホームなど 浴槽水、上がり用湯、上がり用水、ジャグジー、プールなど
食品製造用水・ミネラルウォーター 食品製造業者、清涼飲料水製造業者、ミネラルウォーター製造業者など 各種ミネラルウォーター・清涼飲料水など

水質検査を行う際の注意点

水質検査の対象となる水(場所)によっては、10個〜50個以上もの検査項目に細分化されているので、用途を明確に把握しておかなければ詳しい数値を測定できない可能性もあります。

検査する水の用途を把握する以外にも、以下で解説する水質検査における注意点を把握して、ぜひ正しい検査を行う際の参考にしてください。

水質検査ができるのは専門業者のみ

店舗をはじめとした商業施設やビル内、工業用排水、そのほかプールや温泉施設などの不特定多数の人々が使用する水の検査を行えるのは、専門業者やビル管理士に限定されています。

特にビル管理における水質検査は、専門業者として従事しているだけでは検査できません。

建築物環境衛生管理技術者(ビル管理士)と呼ばれる資格を所有している必要があるため、場合によっては専門業者でも検査できない対象の水もあります。

なお引越しなどで、簡易的に水道水の水質検査を行いたい場合は、個人向けの検査キットもあるほか、専門業者などに依頼することで水質の状態を把握できます。

検査結果の保管期限は5年間

水質検査を行った後は検査結果の報告書を、各都道府県が管轄している保健所に提出する義務があります。

水質検査による報告書を提出した後も、ビル管理者や専門業者は検査結果を5年間保管保有しなければいけません。

提出した書類を5年間保管していなかったことが発覚したり、虚偽の内容を記載して提出したり、不正が発覚した場合にも罰金をはじめとした罰則が課せられる可能性があります。

水質検査は種類や用途などで最適な方法が異なる

水質検査はやり方や用途などで最適な種類が異なる

水質検査は、どのような用途の水なのかによって検査項目や、検出したい物質、使用する検査キットなどが異なります

飲用水や非飲用水の違いによっても、水道法を適用させた行政が介入するような厳格な検査が必要です。

また商業施設や学校、図書館などの不特定多数の人が利用する水を検査する場合は、専門業者やビル管理士に依頼しなければ検査はできません。

個人で簡易的に検査できるキットも市販で入手できますが、事業規模で活動している場合は高精度な検査機器を購入して、残留塩素やCOD、pHなどを詳細に測定できるタイプを選びましょう。

規定に沿った水質検査を行っていない場合、罰則を受ける可能性もあるため、ぜひ今回の内容を参考に正しい検査を行ってください。

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