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牛乳の正常なpH基準や酸度について|過去のトラブル・苦情例についても

学校の給食などでは毎日出てくる牛乳ですが、品質管理が疎かになれば健康への害をもたらすトラブルになりかねません。

過去には学校で出したヨーグルトや牛乳の品質状態が悪く、体調を崩す生徒が多く発生した事件もありました。

牛乳や乳製品を製造する現場では、pH測定による品質管理が大切です。

そこで本記事では、牛乳とpHの関連性について解説してきます。

「牛乳の正常なpH値はいくつなのか」「pHを測定することで何がわかるのか」など、牛乳とpHに関する疑問点について解説していきます。

牛乳の品質管理の関係者や牛乳とpHの関係について知りたい人は、ぜひ参考にしてください。

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牛乳の正常なpH基準や酸度について

牛乳のpHは、6.4~6.8の範囲のほぼ中性の弱酸性が正常のpHです。

また、搾りたての牛乳は6.5~6.7のpH値が正常の範囲になります。

牛乳から作られるヨーグルトやチーズなどのpH値は、以下のとおりです。

  • ・チーズ pH6.0~7.0
  • ・ヨーグルト pH4.0~pH4.5
  • ・調整豆乳 pH7.0~7.5
  • ・パン pH5.0~7.0

牛乳を使用した多くの食品や乳製品は、酸性食品の扱いになります。

そして牛乳には、pHのほかに酸っぱさに関係する酸度があります。この酸度の数値は、pHの値とも関係性があります。

例えば、賞味期限の切れた牛乳が凝固しはじめて、ヨーグルトのようにドロドロになっていた…という経験はありませんか?

これは、牛乳のpH値が低くなり酸の成分が正常より多くなったことが原因です。

味も酸度が高くなり従来の牛乳に比べ、酸っぱさが増加する特徴があります。

※ヨーグルトとは製造方法が異なるため絶対に体内に入れないでください。

このようにpHと酸度は深く関係しています。

牛乳の酸度の正常値とは

牛乳の酸度は、生乳からとれた新鮮時での酸度は、約0.13~0.14%です。酸度は、牛乳の鮮度を表すための指標になります。

牛乳の生乳時点での酸度は0.13~0.14% ですが、古くなり乳酸が生成されると上昇していきます。

酸度が高くなると体に害を及ぼす影響を与える恐れがあるため、品質管理に注意が必要です。

そのため「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令」では、成分調整牛乳や低脂肪牛乳、無脂肪牛乳の酸度を0.17%以下から0.21%以下とするように規格基準が定められている

各種牛乳の酸度の規格基準
品種 ジャージー種以外を原料とする牛乳の酸度  ジャージー種を原料とする牛乳の酸度
生乳 0.18%以下 0.20%以下
特別牛乳 0.17%以下 0.19%以下
成分調整牛乳 0.21%以下 0.21%以下
低脂肪牛乳 0.21%以下  0.21%以下
無脂肪牛乳 0.21%以下 0.21%以下

参考:乳等省『乳及び乳製品の成分規格等に関する省令における 成分規格の見直しについて』 

このように酸度が規格が定めれています。品質管理をしていくうえでの参考にしてください。

牛乳のpHに関する不思議

牛乳のpHは、6.4~6.8と中性よりの弱酸性です。しかし、牛乳のpHには不思議な話があります。

「胃の中ではpHがさらに変化する」「弱酸性であるのにアルカリ性食品になっている」という点です。

以降では、そんな牛乳のpHの疑問について解説していきます。

牛乳は飲むと胃の中のpHが変化する

牛乳を飲む前の胃の中のpHはほぼ中性の状態ですが、牛乳を飲んだ後、胃内のpHが変化するという不思議があります。

日本消化器病学会雑誌による調査結果によると、180mlの牛乳を飲んだ場合、数秒後には胃内のpHが上昇し、さらに19分~73分の間にはpHが3まで下降したという調査結果があります。

牛乳を飲むとお腹の調子が悪くなる

牛乳を飲むとお腹の調子が悪くなる体質の人もいるのではないでしょうか。

これは胃の中で、牛乳中の糖質である「乳糖」を分解(乳糖分解酵素)する働きが弱い、もしくは胃の中で生成された酸によって腸が刺激されるからです。

後者の原因は、牛乳を飲むと中性から酸性へとpHが変化することに関連しています。

牛乳は弱酸性だがアルカリ性食品

牛乳は、弱酸性にもかかわらず「アルカリ性食品」に分類されているという不思議があります。

これは、カルシウムやナトリウム、カリウムなどの成分がアルカリ性の成分のためです。

牛乳には多くのカルシウムが含まれており、体内に入ると分解され、アルカリ性になると言われています。

牛乳のpHが活用される場面とは

牛乳のpHには、酸度や体への影響について関連があったことを先程紹介しました。

そんな牛乳のpHは、以下のような場所で活用されています。

  • ・乳製品加工業者
  • ・牛の飼育現場
  • ・研究所
  • ・家庭での品質検査など

主に牛乳の品質検査に関係する場でpHが活用されています。

たとえば、pH測定器を利用して牛乳のpHが5.0と酸性の状態であった場合、酸度が高まっている可能性が考えられます。

酸度が高い状態であれば、規格基準を満たしていない可能性があるということです。

このように体に害を及ぼす可能性がある品質の可能性があると品質の確認を取ることができます。

製造現場において牛乳のpH測定が重要な理由

pHを活用する場として、牛乳の飼育現場や乳製品の製造現場などがあると先程紹介しました。

では、なぜpHの測定が製造現場で行われているのかについて解説していこうと思います。

pHの測定の重要性を認識し、品質管理の場に役立てましょう。

製造現場での品質確認として

ヨーグルトやチーズなど牛乳を使用した乳製品を取り扱う製造現場では、品質確認としてpH測定が行われています。

たとえば、ヨーグルトのpHを計測した結果が3.0~3.5だった場合です。

通常のヨーグルトのpH値は、4.0~4.5の範囲だと言われています。

しかし、通常の基準値より低い場合には、以下のようなことが考えられます。

  • ・製造工程途中になんらかの異常
  • ・原料である牛乳に異常
  • ・添加物やその他原材料の分量の異常など

このようにpHを計測することで、品質異常を発見や確認することができます

pH値によって味や香りが変化するため

pH値が低ければ、酸味が増し酸っぱい味に。また高くなると苦味のある味などpH値の変化で味も変化します。

調理人のなかには、pHが±0.1の誤差が生じただけでも、味が変化すると言われているほどです。

また香りでは、牛乳のたんぱく質によって肉や魚など食品の臭いに吸着し、臭みを取る働きがあります。

これは、牛乳のなかに含まれるアルカリ性のたんぱく質が肉や魚の酸性臭を中和して無臭にしているためです。

このようにpHは、味や香りの品質確認のためにpHの計測が大切になります。

給食の牛乳から強アルカリ性が検出された事件も

2021年12月に、小中学校の給食で出された牛乳を飲んだ生徒が体調不良になった問題がありました。

原因は、牛乳を機械で紙パックに入れる工程で、牛乳の殺菌機を洗うための洗浄剤を混入させてしまったことが原因です。

問題となった牛乳を検査したところ、食中毒は検出されなかったものの、pHが強いアルカリ性を示していたそうです。

それにより、計27人の生徒が体調不良を訴える原因となりました。

またその件で約3千本のアルカリ性洗剤が混入した牛乳が流出していたそうです。

このような事件ひとつで、品質確認不足のより企業の信頼が損なわれる可能性があります。

製造現場の最終工程でpHを計測していれば、異常に気付き流出を防げたことでしょう。

いかにpH測定の重要さがわかる事件だったかと言えます。

参考:朝日新聞

牛乳のpHを測定するためには

牛乳のpHを測定する方法には、pH測定機器を使用するのがおすすめです。

pH試験紙でもある程度の測定は可能ですが、精度の高い測定値は見込めません。

pH測定機器を使用すれば、その場ですぐにpH値を測定することができるため、pH試験紙を使用するよりも効率的です。

牛乳のpHを測定する場合には、pH測定機器を使用してください。

牛乳の正確なpH値を測定することが現場の課題に

pH測定機器は、水質を計測するもの以外に、肉や魚を計測するものなど数多くの種類があります。

検体物のもつ特性とそれぞれに適したpH測定器があるため、食品の中でも専用pH計を使用することが大切です。

肉を計測するpH測定器では、固形物に対し直接電極先端部を突き通す必要があります。

そのため、その形状も球形ではなく、突き刺し型の測定機器を選ぶことが大切です。

牛乳であれば、水質を計測するために設計された形状が必要です。

また、たんぱく質や脂質成分を多く含む牛乳では、計測機器から流れでる電流が成分との電極に適さなければ正確な数値が計測できません。

牛乳のpHを計測したが「エラーになる」「数値に誤差が生じることが多い」など問題がある場合には、電極があっていない可能性があります。

牛乳専用のpH測定機器を使用してください。

まとめ:牛乳の品質維持や安全確認のためpH測定を徹底すること

牛乳に関する品質確認不足などの問題によって、一歩間違えれば会社が倒産に追い込まれるのはおろか、人の命に危険を与える可能性まであります。

当記事で紹介した事件では、製造工程で牛乳の中に洗剤が混入されていたことが原因で生徒が体調不良をうったえるという被害が出ました。

乳等省でもこれらの事件を受け、牛乳の規定基準を定めるなど対策を講じていますが、実際に品質管理を行うのは現場です。

牛乳に限らず、食品関係では消費者に安心した商品を提供するため、品質管理を徹底していかなければなりません

そのためには、pH測定を行い、品質管理を徹底していくことも大切です。

当記事では、牛乳の正常のpH値やpHと酸度の関係など、牛乳とpHの関連性のついて紹介し、品質の維持に役立つ解説をしてきました。

スリーアールソリューションでもさまざまな測定機器を販売しています。

測定機器でお悩みの担当者様は、ぜひご相談ください。

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