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アルコールチェッカーの使用が義務化!道交法施行規則について解説

2022年4月からは目視でのアルコールチェック、そして2022年10月からはアルコールチェッカーでの確認が義務になりました(※)
10月以降の義務化の予定が当分延期となりました(2022年7月14日警察庁発表)。

これまでは緑ナンバー(運送・輸送事業者の自動車)にのみアルコールチェックが適用されていましたが、今回の改正により、白ナンバーを利用する自動車にも適用されることとなります。

では、なぜアルコールチェッカーの使用が義務になるよう法律が改正されたのでしょうか。今回の記事では、道交法施行規則について、安全運転管理者の義務内容、法改正後の義務違反の罰則など、法改正後に対応すべきことをまとめて解説します。

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アルコールチェッカーの使用が義務になった背景

2021年6月28日、千葉県八街市内にて、下校途中の小学生の列にトラックが突っ込み、5名が死傷する事故が発生しました。原因は、飲酒運転です。

この悲惨な事故を受け、「通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策」が決定しました。緊急対策では、乗車前後のアルコール検知器によるアルコールチェックが義務づけられました

参考:内閣府「通学路等における交通安全の確保及び飲酒運転の根絶に係る緊急対策」の決定について

また、警察庁によると、2021年の飲酒運転による交通事故は2,198件。その中でも死亡事故は152件にもなります。減少傾向ではあるものの、1年で2,000以上の事故が起きており、飲酒運転の根絶には程遠い数となっています。

参考:警察庁「飲酒運転による死亡事故件数の推移」

アルコールチェック方法について法律はどう変わった?

アルコールチェック方法について、2022年4月と同年10月に、それぞれ道路交通法施行規則がどう変わったか見ていきましょう。

道路交通法施行規則:2022年4月以降

  • 運転前後の運転者の状態を目視等で確認し、運転者の酒気帯びの有無を確認する
  • 確認した内容を記録し、記録を1年間保管する

改正のポイントは、自動車を運転する者が、運転前や運転中に飲酒をしていないかチェックすることです。運転を行う者の顔色や声の調子、呼気のにおいで飲酒していないかを確認する決まりとなりました。

この時点ではまだアルコールチェッカーの使用は義務づけられていません。

道路交通法施行規則:2022年10月以降(※)

  • 国家公安委員会が定めるアルコールチェッカーを用いて酒気帯びの有無を確認する
  • アルコールチェッカーを常時有効に保持する

改正のポイントは、目視ではなくアルコールチェッカーを使用して飲酒の有無を確認することです。機器の故障がなく、常時、正しく飲酒状態をチェックできる状態に保つ必要があります。アルコールチェッカーのメンテナンス方法に関しては後程解説します。

10月以降の義務化の予定が当分延期となりました(2022年7月14日警察庁発表)。

アルコールチェッカー使用義務の対象企業

アルコールチェッカーの使用義務が適用される企業は、以下の通りです。

  • 安全運転管理者等の選任を必要とする自動車5台以上を保有する事業所
  • 乗車定員が11人以上の自動車1台を以上保有する事業所

※自動二輪車(原動機付自転車を除く)は1台を0.5台として計算する。

参考:道路交通法74条の3第1項および、道路交通法施行規則9条の8第1項

アルコールチェッカー使用後の記録方法

記録方法は法律で定められた形式はありませんが、以下の内容を記録する必要があります。

  • 確認者の氏名
  • 運転者の氏名
  • 自動車登録番号又は識別できる記号、番号等
  • 確認の日時
  • 確認の方法 
    ①アルコール検知器の使用の有無(令和4年10月1日からの義務)
    ②対面でない場合は具体的方法
  • 酒気帯びの有無
  • 指示事項
  • その他必要な事項

自身で制作することもできますが、各都道府県の安全運転管理協会などに記録様式が掲載されていますので、ぜひ活用してみてください。

法改正で追加された安全運転管理者の義務内容

定員11人以上の自動車を1台以上使用している事業所、その他の自動車を5台以上使用している事業所は、安全運転管理者を選任する必要があります。では、安全運転管理者にはどのような義務があるか、以下参考にしてください

  • 運転者の状況を把握する

自動車の運転者の適性や技能、知識、道路交通法などの規定に基づく遵守状況を把握する必要があります。

  • 運行計画を作成する

最高速度違反行為や過積載、過労運転など、安全運転に確保に留意して運行計画を作成しましょう。

  • 交替するための運転者を配置する

運転者が長距離運転や夜間運転を行う場合、疲労により安全な運転ができない恐れがある場合は交替するための運転者を配置しなければなりません。

  • 異常気象・天災時への対応を行う

異常気象や天災が原因で安全な運転ができない場合は、運転者に指示を出したり、安全な運転の確保を図るための措置を講じる必要があります。

  • 点呼を行う

運転前に点呼を行い、自動車の点検や過労・病気を理由として正常な運転をすることができない恐れがないかを確認します。また、必要な指示を出す必要もあります。

  • 酒気帯びの有無の確認・記録を行う

運転前・運転後の運転者の酒気帯びがないかを確認し、記録しなければなりません。記録した内容は1年間保存します。

  • 運転者に日誌を記録させる

運転者の氏名、運転の開始・終了の日時、運転した距離、自動車の運転の状況を把握するため必要な事項を記録させる必要があります。

  • 運転者に指導を行う

自動車の運転に関係する技能、知識、その他必要な事項について指導します。

参考:道路交通法施行規則第9条の10

法改正後の義務違反の罰則について

アルコールチェックを怠った場合の直接的な罰則はありませんが、酒気帯び運転をしていた場合は道路交通法違反となります。

行政処分に関して

    基礎点数 免許
酒酔い運転   35点 免許取消し 欠格期間3年
酒気帯び運転
呼気中アルコール濃度
0.15mg/l 以上 0.25mg/l 未満
13点 免許停止 期間90日
呼気中アルコール濃度
0.25mg/l以上
25点
免許取消し 欠格期間2年

※酒酔い運転:正常な運転ができない状態

※欠格期間:運転免許が取り消された場合、運転免許を受けることができない期間

罰則に関して

    罰則
車両を運転した者
酒酔い運転をした場合
5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
酒気帯び運転をした場合
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
車両を提供した者
酒酔い運転をした場合
5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
酒気帯び運転をした場合
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
酒類を提供した者又は同乗した者 酒酔い運転をした場合
3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
  酒気帯び運転をした場合
2年以下の懲役又は30万円以下の罰金

運送事業者内で飲酒運転が発覚した場合

  罰則
運転者が飲酒運転を起こした場合
初違反:100日車
再違反:200日車
事業者が飲酒運転を容認した場合
14日間の事業停止
飲酒運転で重大事故を引き起こし、かつ事業者が飲酒運転に係る指導監督義務違反の場合
7日間の事業停止
事業者が飲酒運転に係る指導監督義務違反の場合
3日間の事業停止

参考:警察庁「みんなで守る「飲酒運転を絶対にしない、させない」および、全日本トラック協会「飲酒運転防止対策マニュアル」

アルコールチェッカー使用義務の対象事業者が取り組むべき内容

アルコールチェッカー使用義務の対象事業者は、

  • アルコールチェッカーの導入
  • アルコールチェッカーの管理・定期的なメンテナンス
  • アルコールチェッカーの正しい運用
  • 運転者や安全運転管理者に対する教育

の内容を取り組む必要があります。それでは、詳しく見ていきましょう。

アルコールチェッカーの導入

アルコールチェッカーは、国家公安委員会が定めるものでなくてはなりません。

国家公安委員会が定めるアルコールチェッカーとは、呼気中のアルコールを検知して、その有無または濃度を警告音、警告灯、数値等により示す機能を持つものです。

上記要件に加え、さらに様々な機能が付帯している製品もありますので、よくリサーチしてから購入するようにしましょう。

アルコールチェッカーの管理・定期的なメンテナンス

アルコールチェッカーは機器であるため、正しい管理と定期的なメンテナンスを行わなければ、正しく作動しなくなる可能性があります。電源が入り、損傷がないかを確認する日常点検は必ず行うようにしましょう。

また、酒気を帯びていない人がアルコールチェッカーを使用し、アルコールを検知しないかも確認します。さらに、取扱説明書に記載されているメンテナンス方法をよく読み、定期的に清掃を行いましょう。

アルコールチェッカーの正しい運用

アルコールチェッカーは、運転者の顔色や応答の声の調子、呼気のにおいを確認しながら使用する必要があります。天候の状況や距離によって、顔色などに変化が起きないよう、運転者の立ち位置を決めておくとよいでしょう。

運転者や安全運転管理者に対する教育

飲酒運転を防止するには、運転者が飲酒が運転に及ぼす影響をしっかり理解する必要があります。事業所が主となって指導・教育を行い、管理体制を充実させましょう。

事業所外でのアルコールチェック方法について

出張先でのアルコールチェック方法

出張や直行直帰など、対面でのアルコールチェックが難しい場合は、以下のように対応します。

① カメラ、モニター等によって、安全運転管理者が運転者の顔色、応答の声の調子等とともに、アルコール検知器による測定結果を確認する方法
② 電話等によって、安全運転管理者が運転者の応答の声の調子等を確認するとともに、アルコール検知器による測定結果を報告させる方法

引用:警察庁「「道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令案」等に対する御意見及びこれに対する警察庁の考え方について 」

所属事業所以外でアルコールチェックはできるのか

結論、可能です。ただし、他事業所の安全運転管理者がアルコールチェックを行い、測定結果を電話など直接対話できるツールで報告する必要があります。

安全運転管理者が不在の場合について

副安全運転管理者又は安全運転管理者の業務補助者が実施します。事前に副安全運転管理者又は安全運転管理者の業務補助者を選任する必要があります。

まとめ:法改正に対応し、アルコールチェッカーの導入を

飲酒運転は、正常時に比べて9倍以上死亡事故を起こす可能性があると言われています。重大な事故を起こさないためにも、法改正に対応し、安全運転管理者の選任や運転前後アルコールチェックを正しく行う必要があります。

「私の事業所は大丈夫?」「うちは対象企業に入っているの?」などの不安に感じられた方はこの記事をよく読み、対応するようにしてください。

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