3Rスリーアールソリューション株式会社
TEL:092-260-3030 平日 9:00~18:00
メニュー

工業用酸素濃度計の仕組みを解説!微量酸素濃度計についても

工業用酸素濃度計には、気体中の酸素濃度を測定する酸素濃度計と、液中に溶け込んだ酸素濃度を測定する溶存酸素濃度計の2つが存在します。

また、工業用酸素濃度計には5つのタイプがあり、それぞれ仕組みが異なるため、メリット・デメリットを理解しておく必要があります。

本記事では、工業用酸素濃度計の仕組みや、5つのタイプについて解説

加えて、使用時の注意点もお伝えしますので、しっかりチェックしてください。

酸素濃度計資料請求

工業用酸素濃度計とは

工業用酸素濃度計は、

  • 工事現場など、空気中の酸素の割合が少なくなる(酸欠状態)事態を防止する時
  • 工業熱処理プロセスで酸素濃度管理が必要な時
  • 水族館など、水生生物の生育を適切に管理する時
  • 下水処理場で設備の保安管理をする時

などに多く使用されます。

工業用酸素濃度計には、気体中の酸素濃度を測定する酸素濃度計と液中に溶け込んだ酸素濃度を測定する溶存酸素濃度計の2つが存在します。

では、酸素濃度計と溶存酸素濃度計の違いは何か。

順にみていきましょう。

酸素濃度計

酸素濃度計は、気体の酸素濃度を測定する機器のことで、特定の空間やプロセスラインに設置されることが多くあります。

前述した、工事現場など、空気中の酸素の割合が少なくなる(酸欠状態)事態を防止する時や工業熱処理プロセスで酸素濃度管理が必要な時に使用されます。

装置内に入り込んだサンプルガスに含まれる酸素の濃度を測ることで、酸素濃度の測定が可能です。

溶存酸素濃度計

溶存酸素濃度計は液体中に溶け込んだ酸素濃度を測定する機器です。

前述した、水族館など水生生物の生育を適切に管理する時や下水処理場で設備の保安管理をする時に使用されます。

微量酸素濃度計とは

酸素濃度計の導入を考えている方の中には、微量酸素濃度計という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。

微量酸素濃度計とは、Trace Analysis(微量分析)と呼ばれる範囲(1~100ppm)を測定する機器のことを言います。

しかし、微量という言葉に明確な数字はなく、一般的にそう呼ばれているだけで、範囲はメーカーや機器によって異なるので注意してください。

また、最近では超微量酸素濃度計も見かけますが、特に決められた範囲はありません。

工業用酸素濃度計タイプ分けとその仕組み

工業用酸素濃度計には、5つのタイプがあります。

  • ジルコニア式
  • 磁気式
  • 電気化学(ガルバニ電池)式
  • 黄燐発光式
  • レーザー分光式

では、順に仕組みを見ていきましょう。

ジルコニア式

ジルコニア式は、酸素イオンが高濃度から低濃度のイットリア安定化酸化ジルコニウム層を移動した際に発生する起電力により酸素濃度が決定する仕組みです。

高濃度・低濃度のそれぞれの酸素濃度の差が大きいほど発生する電力が高くなり、100%から100万分の1未満(ppmレベル)までの測定が可能になります。

また、ジルコニア式には濃淡電池式と限界電流式の2つが存在します。

濃淡電池式

濃淡電池式は、ジルコニア素子の両面貼り付けた白金電力を加熱し、その両面に酸素濃度に差があるガスを接触させます。

高濃度面で起こる還元反応と、低濃度面で起きる酸化反応で発生する電極間の起電力により酸素濃度を測定できます。

限界電流式

限界電流式は2つの電極のうち、1つの電極の酸素ガス量を制限した場合、飽和減少が起きます。

これを限界電流と呼び、周囲の酸素濃度と比例します。

一定の電圧を与えることで流れる電流値から、酸素濃度の測定が可能になるのです。

ジルコニア式のメリット、デメリットは以下の通りです。

メリット デメリット
・高温箇所に取り付けが可能
・低価格で購入できる
・応答速度が速め
・可燃性ガスの測定が不得意

磁気式

磁気式とは、酸素分子が磁界内で磁化(磁石となる現象)した際に生まれる、引き付ける力を利用して、酸素濃度を測る仕組みです。

磁気式には、

  • 磁気風式
  • 磁気圧(磁気力式)
  • 磁気ダンベル(磁気力式)

の3つがあります。

磁気風式

磁気風式とは、均等でない磁界内で引き込まれた酸素分子の一部が加熱され、磁性を失うことで発生する磁気風の強弱を熱線素子によって検出するタイプです。

磁気圧(磁気力式)

磁気圧とは、均等でない磁界内に窒素、サンプルガス、空気など磁化率が一定の界面を生成し、その界面に働く力を測定することで酸素濃度を測定するタイプです。

磁気ダンベル(磁気力式)

磁気ダンベルとは、磁界内に設置されたダンベルとサンプルガス中の酸素分子の体積磁化率の差によって、ダンベルに生じる力を検出して酸素濃度を測定するタイプです。

磁気式のメリット、デメリットは以下の通りです。

メリット デメリット
・可燃ガスなど混合ガスの測定ができる
・腐食性ガスの測定ができる
・高額である
・衝撃に弱い

電気化学(ガルバニ電池)式

電気化学(ガルバニ電池)式は、電極のアノード側(プラス側)に銀(Ag)、カソード側(マイナス側)に鉛(Pb)の組み合わせで、電解液に水酸化カリウム(KOH)を用いることで作られた電池に流れる電流の酸素濃度を測る仕組みです。

メリット、デメリットは以下の通りです。

メリット デメリット
・可燃性ガスの影響を受けづらい
・低価格で購入できる
・微量酸素でも測定できる
・携帯しやすい
・水酸化カリウムを使用している
・測定環境の影響を受けやすい
・寿命がある

黄燐発光式

まず、黄燐(おうりん)とは、 暗い所でりん光を発する猛毒のろう状固体のことを言います。

※りん光:物質がなんらかの原因で光を発する現象、またはその光そのもの。

黄燐は常温大気圧下で平衡した際に、蒸気を放出します。

発生した蒸気は酸素と反応することにより、三酸化燐へと変化します。

この過程の中で発生した光エネルギーの量の測定で、酸素濃度を測ることが可能です。

また、黄燐は猛毒で第3危険物に指定されているため、測定器の取り扱いや測定環境には十分な注意するようにしましょう。

メリット、デメリットは以下の通りです。

メリット デメリット
・Ppbレベルの測定が可能
※Ppbレベル:十億分の1を単位とする比率
・測定レンジが狭い

レーザー分光式

レーザー分光式は、言葉の通り、レーザーが測定対象のガス濃度を測ります。

測ったガス濃度をサンプルガスに照射し、検出した光の波長を信号に変換することで酸素濃度を測ることができます。

メリット、デメリットは以下の通りです。

メリット デメリット
・腐食性ガスや刺激性ガスの測定ができる
・高圧、高温環境下でも測定できる
・高額である
・測定可能レンジが狭い

圧力や温度など電気化学(ガルバニ電池)式酸素センサーに与える影響について

電気化学(ガルバニ電池)式酸素センサーには、さまざまな環境が影響を与えます。

順に解説します。

圧力

電気化学(ガルバニ電池)式酸素センサーは大気圧下で使用しますが、その上で3つの影響を受けます。

1つ目は、センサーの圧力が突然変化すると、物理的損傷が起きる可能性があることです。

例えば、拡散膜とカソード層に漏れが生じることにより、電解質液がプロセスに漏れ、損傷を起こしてしまいます。

2つ目は、サンプルガスの圧力が流量に影響を与えることです。

サンプルガスが酸素センサーハウジングを通って流れることができる仕組みと同じように、サンプルベント圧力は入口圧力よりも低くある必要があります。

3つ目は、圧力パルスと信号出力の増加です。

ポンプは時々圧力パルスを引き起こす可能性があります。

※パルス:極めて短い時間だけ流れる電流。

パルスは圧力を増加または減少させることにより、酸素の分圧を増加します。

結果、酸素の読み取り値が高くなってしまいます

温度

サンプルガスは隔膜を通過して拡散します。

拡散の速度はサンプルガスの圧力だけでなく、温度にも影響を与えます。

もしガス温度が低くなれば、拡散速度が遅くなり、応答が遅くなります。

また、高温状態が続けば電解質の消費が速くなり、センサーの寿命が短くなる可能性もあるのです。

水分

通常、水蒸気は電気式化学センサーに影響を与えません。

しかし、液体が蓄積すれば、センサーへの酸素の拡散が妨げられ、センサーの機能に影響を与える可能性があります。

炭化水素

ヘキサンやベンゼンなどの炭化水素液体がセンサーで凝縮すると、膜を物理的に覆い酸素がセンサーに入らず、センサーが測定できなくなる可能性があります。

GPRとXLTセンサーの違い

まず、GPRとは地中レーダーのことを指し、地中の様子を画像化するために使用されます。

空洞や岩盤、考古学的な人工物、地下水位など、さまざまな場面で使用されます。

次にXLTセンサーとは、エネルギー分散型 X 線分析装置のことを言い、元素分析や元素分布を測定するために使用する場合が多いです。

つまり、GPRは地中の様子を画像化するもの、XLTセンサーは分子単位のものを測定するものだということがわかります。

サンプルガスの温度が変化している場合の対処方法

サンプルガスの温度が変化していると、正しい測定ができません。

そのため、分析器の前に0.5~1 mの1/8”ステンレス鋼コイルを配置し、サンプルガスの温度を平衡させる必要があります。

もし極端に温度が変動する場合には、コイルを冷水のバスタンクに配置しましょう。

工業用酸素濃度計取り扱い上の注意点

1.落下させたり、衝撃を与えたりしない

本体が破損し、使用できなくなる場合があります。

2.高温時に出し入れを行わない

ヒートショックによる破損の恐れがあります。

また、火傷などの危険もありますので、注意してください。

3.接続部の温度に注意する

高温になると端子部分が破損して使用できなくなる恐れがあります。

また、火傷の危険性もありますので、注意する必要があります。

まとめ:工業用酸素濃度計の仕組みを理解して、正しく使用しよう

気体中の酸素濃度を測定する酸素濃度計と液中に溶け込んだ酸素濃度を測定する溶存酸素濃度計などの工業用酸素濃度計は、さまざまな場所で使用されます。

その工業用酸素濃度計には、5つのタイプがあり、それぞれ仕組みが異なることがわかりました。

メリットとデメリットを参考にしながら、どのような仕組みをもつ工業用酸素濃度計を導入するのが適切かを検討してください。

工業用酸素濃度計を使う際の注意点についてもよくチェックした上で、正しく活用しましょう。

酸素濃度計資料請求
pagetop