二酸化炭素濃度が高いと眠くなる?濃度基準や眠気防止方法を解説
オフィスや学校、車内で眠気を感じたことはありませんか?
眠気があると集中力が低下し、作業効率が下がってしまい、悪影響を及ぼしてしまいますよね。
眠気を感じる原因は、二酸化炭素濃度が高いからかもしれません。
一般的に二酸化炭素濃度が1,000ppm~1,500ppm程度、空気中の二酸化炭素が0.1%~0.5%程度になると眠気を感じると言われています。
では、眠気を防止するためにはどうすればいいのでしょうか。
今回は、二酸化炭素が及ぼす人体への影響や法令で定められている二酸化炭素濃度基準、眠気防止方法などを解説します。
ぜひ参考にしてみてください。
目次
二酸化炭素が及ぼす人体への影響
普段生活をする中で二酸化炭素の濃度は意識する機会は少ないですよね。
しかし、二酸化炭素の量によっては人体に影響を及ぼす可能性があります。
二酸化炭素には、人体に以下のような影響を与えることがあります。
- ・眠気が起こる
- ・倦怠感を覚え、集中力が低下する
眠気が起こる
オフィスや学校、車内の二酸化炭素濃度が高まると眠気が強くなります。
眠気を感じるのは、滞在する環境によって血中の酸素濃度が下がり、低酸素状態(酸欠)の状態になるから。
二酸化炭素濃度が高いほど眠気が強くなります。
倦怠感を覚え、集中力が低下する
眠気に加え、二酸化炭素濃度が高い場所でマスクをしている場合には、特に倦怠感を覚えやすいです。
また、二酸化炭素濃度が高いほど集中力も低下し、作業にも影響を及ぼすという研究結果も出ています。
参考:三村 凌央「教室の学習環境と学習効果に関する研究(第 9 報) CO2 濃度変化及び温熱環境が作業性と生理心理量に及ぼす影響 」
倦怠感を覚えたり集中力が低下するのも、酸欠状態が原因です。
法令で定められる二酸化炭素濃度の基準
二酸化炭素濃度は、「ppm」という単位で濃度を表します。
1ppmは0.0001%と同様です。
では、オフィス・学校・車内それぞれの二酸化炭素濃度を見ていきましょう。
オフィス
建築物衛生法の建築物環境衛生管理基準には、オフィス内の二酸化炭素濃度の基準が定められています。
オフィス内の二酸化炭素濃度は、1,000 ppm以下(1㎥に0.1%以下)が基準です。
職場やオフィスで二酸化炭素濃度を整える際には、1,000ppm以下にすることを覚えておきましょう。
参考:厚生労働省「建築物環境衛生管理基準について」
教室
建築基準法により、教室内の二酸化炭素濃度の基準が決まっています。
教室の二酸化炭素濃度の基準は1500ppm以下(1㎥に0.5%)です。
建築基準法は平成15年に改正され、空気調和設備や機械換気設備が義務付けられました。
空気調和設備や機械換気設備を使用する場合にも、建築物衛生法に基づき1500ppm以下に調整する必要があります。
参考:文部科学省「学校環境衛生管理マニュアル」
車
屋外の駐車場に停めている車に関しては、駐車場法施行令によりが100ppm以下が基準とされています。
運転中の車内での二酸化炭素濃度は定められていませんが、二酸化炭素濃度が1,000ppmを超え、濃度が高くなればなるほど人体に影響を与えます。
また、自動車以外でなく、密閉空間になりやすい鉄道車両内でも二酸化炭素濃度に注意しなければなりません。
空気を入れ替える機能がある鉄道車両も多いですが、高すぎると眠気や体調不良につながります。
参考:国土交通省「路外駐車場の換気基準に係る経緯・現状」、「鉄道車両内における二酸化炭素濃度と新型コロナウイルス感染症との関係等に係る情報について 」
眠気を起こす二酸化炭素濃度の基準
調査によると、二酸化炭素濃度が1,500ppmを超えると眠気を覚えやすくなっています。
また、マスク着用時には二酸化炭素濃度が600ppmでも眠気を感じます。
二酸化炭素がマスク内にこもってしまい、マスク内は5,000ppm相当の濃度になり、眠気を感じるのです。
参考:長野県伊那北高校 理数科「室内CO2濃度と眠気・集中力の関係」、三村 凌央「教室の学習環境と学習効果に関する研究(第 9 報) CO2 濃度変化及び温熱環境が作業性と生理心理量に及ぼす影響 」
換気で眠気を防止
二酸化炭素濃度が高いことが原因で眠気を催す場合には、換気をすることで解消できます。
オフィス、学校の教室、車内それぞれの換気方法を解説します。
オフィスの換気方法
オフィスの換気方法は自然換気・機械換気の2つがあります。
自然換気
自然換気とは、窓・ドアなどを開いて空気を循環させることです。
外部の空気と入れ替えることで二酸化炭素濃度を低下できます。
自然換気は1時間に2回程度数分程度、窓やドアを全開にすることで空気を入れ替えられます。
機械換気を行う設備がない場合には自然換気を行いましょう。
また、数枚の窓がある場合には両方方向から空気を取り入れると効率的に換気することが可能です。
もし窓が1枚のみであれば、ドアもあわせて開くと同様の効果が得られます。
しかし、オフィスの気密性能が低い場合には空気の循環が難しい箇所が出てしまいます。
空気がしっかりと入る環境に整えましょう。
機械換気
機械換気とは、換気扇や送風機、排風機、その他機械換気設備で二酸化炭素を排出することです。
ビル換気法では一人あたり1時間30㎥が必要換気量だと決められています。
必要換気量であれば、空気の質を良好な状態に保ち、身体に影響を及ぼしにくくなります。
基本的にオフィスでは機械換気設備の設置が定められているため、オフィスでの換気は機械換気が一般的です。
教室の換気方法
教室では、窓を開けたり、換気扇を使用したり、第1種換気方式を使用したりして換気を行います。
第1種換気方式とは、空気の入口と出口にファンなどの機械を設置することです。
学校・クラスによって生徒数・窓の数などが異なるため、それぞれの状況に合わせて換気方法を選びましょう。
生徒が寒く感じすぎる換気には注意が必要です。
車の換気方法
オフィスの換気方法は自然換気・外部循環・内部循環の3つがあります。
自然換気
窓・ドアなどを開いて空気を入れ替える自然換気が有効的です。
400㎡ 以上の窓・ドアを開き、1時間に10回程度換気を行う必要があります。
外気循環
外気循環は言葉の通り、外気の空気を取り入れる方法です。
エアコンのスイッチの近くにある、車外から車内に矢印があるボタンを押せば数分間で空気を入れ替えられます。
二酸化炭素濃度を低下させることはもちろん、酸素濃度を高めることが可能です。
花粉の多い時期や寒い季節以外には、外気循環がおすすめです。
内気循環
内気循環とは、車内の空気を循環させることです。
エアコンのスイッチ付近の、車内でぐるぐる回転する矢印ボタンを押せば内気循環ができます。
花粉の多い時期や寒い季節、トンネル内では内気循環を選ぶといいでしょう。
しかし、内気循環で換気を行うことは難しくなります。
車内温度を調整することで、眠気防止には役立ちます。
換気未実施時の二酸化炭素濃度の変化
換気を行わないと、二酸化炭素濃度は徐々に高くなります。
なぜなら、安静時の息には10,000ppm、軽く動いている時の息には30,000ppm、最大で40,000ppmの二酸化炭素が含まれているからです。
そのため、換気を定期的に行わなければ基準の1,000ppm~1,500ppmをすぐに超えてしまいます。
換気を行わない環境では1時間程度で1,000ppmを超え、4時間で2,000ppm、6時間程度で2,500ppmを超えてしまいます。
また、場合によっては4,000ppmを超える場合もあるのです。
以下は、二酸化炭素濃度による人体に影響をあらわしたものです。
二酸化炭素濃度による人体に影響 | |
1,000ppm |
不快感、眠気(20%程度の人)、意思決定、問題解決能力、集中力の低下
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2,000~3,000ppm |
不快感、眠気、頭痛、めまい、吐き気、意思決定、問題解決能力、集中力の低下(ほとんどの人)
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3,000~4,000ppm |
頭痛、めまい、吐き気、頭がぼんやりする
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4,000~6,000ppm |
頭痛、めまい、吐き気、頭がぼんやりする、過呼吸
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6,000~8,000ppm |
意識レベルの低下、意識喪失の可能性、震え、痙攣
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10,000ppm以上 |
二酸化炭素中毒、死の可能性
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参考:国立保健医療科学院 生活環境研究部 特命上席主任研究官 田島昌樹「建築の空気」
まとめ:二酸化炭素濃度測定器の使用で眠気を防止しよう
そもそも二酸化炭素濃度は人体に影響を及ぼす可能性を示す指標。
法令で定められている濃度は1,000ppmではありますが、屋外の二酸化炭素濃度が向上している影響から、基準値の見直しが議論されています。
そのため、二酸化炭素濃度には十分注意する必要があります。
また、屋外の二酸化炭素濃度は400ppm程度ですが、屋内は換気を怠るとすぐに1,000p~2,000ppmに到達します。
眠気を感じ、集中力がなくなって作業効率が悪くなったり、運転中には居眠りをする可能性が高くなったりする恐れがあります。
さらに、換気不足ではウイルスが滞在し、感染の可能性も高まります。
法令で定められた二酸化炭素濃度を保つためにも、二酸化炭素濃度測定器を使用することがおすすめです。
スリーアールソリューションでは、厚生労働省推奨のNDIR方式・補正機能付きのCO2モニターを販売しています。
CO2モニターは室内の二酸化炭素濃度、温度と湿度をモニターに表示することに加え、換気が必要なタイミングにお知らせしてくれます。
また、基準である1,000ppmを超えていないかのチェックも可能。
スマホよりも小さく、引っ掛けることもできるため、置き場所に困りませんよ。
教育・保育施設やオフィスなどに二酸化炭素濃度測定器を導入し、眠気を防止しましょう。