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pH計の正しい使い方とコツ!注意点やメンテナンスについても解説

水質の酸性・アルカリ性などを計測するpH計は、水質だけでなく土壌調査や医療関連、食品にも使われています。

現在すでに導入している企業で、pHの値がどうしてもぶれてしまったり、正常な数値がなかなか出ない場合は、使い方に問題がある可能性も。

本記事では、pH計の正しい使い方や測定のコツ、注意点などをまとめてお伝えしていきます。

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pH計とは

pH計はさまざまな水溶液のpHを測るための装置です。

pH計の種類は大きく分けて「コンパクトタイプ」と「ハンディタイプ」の2種類。

コンパクトタイプは自宅などで手軽にpHを測定したい時に便利です。

防水加工を施されていないものが多いので、外で使用する時などは本体に水がかからないよう注意が必要です。

また、基本的に土壌調査ができないものが多いです。

ハンディタイプは機体からコードが伸び、その先に検出機がついています。

コードがあるのでハンディタイプと比較すると、測定したい対象に直接検出器がつけやすく河川などの屋外での調査に向いています

土壌調査に対応しているのものあり、土に刺して使えるように、本体の先に長い棒がついています。

流通型という電極を付けたタイプを選ぶと、pHの変化を見れるためサンプルを連続で測定したい時に便利です。

pH計のタイプによって測定できるサンプルが異なるため、pH計を選ぶ場合は何を測定するかを明確にしましょう。

pH計が活用されている業界や業種

pH計が活用されている業界にはさまざまあります。

どのような業種・使い方があるか、見ていきましょう。

合成繊維の研究開発や染色工程における汗などの影響測定

衣服の合成繊維などの研究や開発などにおいて、汗などの外的要因に対する耐久テストにpH測定が使用されています。

また、汗で染料の変色がないかの変色テストでも人工汗の調合などにpH測定が用いられいています。

そのほか染色液のpH値によって染色の仕上げやスピードに違いが出るため、染色の工程においてもpH測定が使用されているのです。

上下水道の水質管理や排水の水質基準測定

浄水場では、河川などから取り入れた水を塩素殺菌してpHを管理しています。

各家庭や工場へはこの水にアルカリを加えて中性にし、飲み水や工業用水に適した水として供給しています。

日本の水道法では、安全な飲料水の基準として、pH5.8〜8.6の間に収めなければいけません

下水処理場では水処理の各工程、処理後の放流時、および汚泥を洗浄するためのバクテリアの働きに適したpHへの調整や界面活性剤による泡発生の処理などにpH 測定が行われています。

また日本では1960年代、1970年代に工場排水などによる水質汚濁が問題になった影響で、全ての工場で厳しい排水管理が行われ、pHはこれら水質基準の重要な測定項目になっています。

印刷業界や化学・金属鉱業におけるpH調整

印刷業界では、印刷インキの乾燥状態や印刷画像の発色、および鮮明度を一定に保つため、pHを測定し、管理しています。

製紙分野においては、紙料の蒸解や漂白、および調合などの各工程においてpH値を管理して薬品の消費量を少なくし、機器の腐食も防止します。

また、紙自体のpH値も耐久性や乾燥速度に関係するため、品質チェックの項目の一つです。

化学分野においては、プラスチックや肥料、半導体などの電子工学材料やセメント、ガラスなど多くの化学製品の製造において、化学反応の管理にpH測定が行われています。

石油精製では、脱硫工程でpH測定が用いられ、バイオエタノールのpH測定に至っては日本産業規格(JIS)化されています。

さらに金属鉱業分野においても、粗鉱石から金属を採取したり金属精錬する場合に溶解液のpH調整が行われており、さまざまな業界、分野でpH調整がされているのです。

農業・畜産・水産分野での土壌のpH調整

植物はそれぞれ生育に適した土壌のpHがあるため、農業において農作物や土壌・農業用水などの管理にpH測定が使用されます。

畜産関係では、家畜の血液や飼料のpHを測定することで家畜の健康を研究しているほか、人工受精研究のための精液の測定や、食肉・鶏卵の新鮮度テストにもpH測定が行われています。

また、水産分野においても水のpHは海産物の健康や成長に大きな影響を与えるため、養殖漁場の水質測定においてpH値は重要な測定項目です。

漁場や養殖魚などに異変があった場合も、pH測定が行われます。

さらに中央市場などにおいても魚の新鮮度チェックのにもpH測定が使用されます。

医療機関や医薬・化粧品、食品開発

試薬の調整でもpH測定を行なっていますし、医療研究や健康診断、治療の目安として血液や尿など体液のpH測定も行なっています。

また虫歯研究においてもpH値は重要であり、一般的に口の中がpH5.2以下になると歯が溶けはじめるとわかっています。

また食品開発においてもパンや酒、チーズなど酵素作用を利用して製造する食品でpH測定が用いられます。

酵素の働きはpHに影響され、それぞれで適したpHで最も効率よく発酵するからです。

また一般の食品でも味や 安全性 を測る際にpH測定が行われます。

pH計の正しい使用方法

pH計は正しく使用することで、正確な数値を測り、人々が安心して暮らせます。

本項目で、pH計の正しい使用方法をインプットしてください。

溶液の温度を一定にする

溶液のpH値は温度によって変化します。

そのためpHの測定の際は溶液の温度を予め決めて、検査溶液だけでなく、標準液も測定試料も温度を一定に保ち検査するなど、正確な温度管理は必要です。

温度を一定に保つ道具として、恒温槽や温度補償機能を用いたメーターがあります。

恒温槽のみ使用する場合は、標準液とサンプルを恒温槽で25℃±0.2℃に保って校正した後に測定。

また、温室で作業を行うことで、空間自体を一定の温度にして作業する方法もあります。

電極をよく洗浄し、気泡を取り除く

よく洗浄された電極を使い、 内部液や電極表面に気泡が付着している場合は取り除きましょう。

電極が汚れていると、正常な数値が測れないため注意が必要です。

比較電極内部液について

検査前に比較電極内部液の補充口をあらかじめ開けておき比較部の内部液を充分に入れておきましょう。

また、比較電極内部液がサンプルの方に流出するため、比較電極内部液の液面はサンプルの液面より高い位置にしておきましょう。

液絡部分と温度補償電極は液面より下になるように設置してください。

pH計の値の基準や数字の見方

pH値とは水溶液の酸性やアルカリ性の度合いを数値化したもので、水溶液の性質を表す単位です。

0から14まで値があり、3未満が酸性、3以上6未満が弱酸性、6以上8以下が中性、8を超えて11以下が弱アルカリ性、11を超えるものがアルカリ性を表しています。

pH計測定のコツ

pH計は数値で測定結果が表示され、分かりやすいのが特徴です。

しかし測定するごとに数値が変わり、測定が定まらないする場合があり、正確な測定にはコツがいくつかあります。

定期的に測定前に校正する

校正とは測定器の誤差を正す作業で、pH計にも必要です。

測定器は環境によっても数値にズレが発生するため、定期的な校正が必要になります。

比較する水質が大きく違う場合は、残渣(ざんさ)を無くすために測定前にも校正が必要です。

安定しない場合は30秒、1分、3分と安定するまで待つ

測定値が上下する場合は30秒、1分、3分と安定するまで待ってから結果を確認しましょう。

各時間帯でランダムになる場合は各時間帯の平均値を見みると良いです。

濃度は低いものから高いもを測定する

水溶液サンプルを複数測定する場合は、残渣の軽減のため濃度の低いものから高いものを測定しましょう。

pH計の使用上の注意

粘度が高い溶液の場合は可動スリーブ構造のpH計を使う

塗料などの粘度が高いサンプルの場合は溶液が液絡部に詰まる可能性があるため、普通のph計では故障する危険が高まります。

そのため粘度が高い溶液を測定する場合は、可動スリーブ構造のph計を使うのがおすすめです。

また、薬品や油は電極を痛めやすいので注意が必要です。

pH計の数値が安定しない場合の対処法

pH計の数値が安定しないトラブルには要因がさまざまあり、各トラブルごとにチェックポイントがあります。

中性からアルカリ性溶液のpH値が徐々に低下してしまう場合

大気中のCO2が溶け込むことにより、pHが低下している可能性があります。

pH計の調整後すぐに測定することで解決することが多いですが、どうしても難しい時は窒素やアルゴン雰囲気で測定するとよいでしょう。

純水のpHが安定しない場合

pH計の原理的に、純水のような低導電で低緩衝能の液体は測定が難しい傾向にあります。

また、内部液がサンプルへ流れ出すことが計測器の原理上必須なので、この微量の内部液によってpHが安定しないこともあります。

pHを正確に測りたい場合は、低導電率でも測定できる電極を使うのがおすすめです。

撹拌しながら測定すると値が不安定になってしまう場合

サンプルのpH値を均一にするために、基本的にはゆっくりと撹拌することが大切です。

なかなか安定しない場合は、ゆっくりと2分から3分攪拌した後、静置させてから測定することをおすすめします。

pH計のメンテナンス方法

pH計のメンテナンス方法を記しますので、毎回正しい数値を測り、pH計自体も長持ちさせられるようにしてください。

pH計を使用しない時は電極に湿らせたキャップをする

電極は乾燥に弱いため、使用しない時は電極にスポンジを湿らせた専用のキャップをしましょう。

この場合の注意点として、電極を水に浸してはいけません。

ガラスの電極には交換できない内部液が入っていますが、水に浸すとpHガラス応答膜から内部の液成分が徐々に流出し、内部液のpHが変化してしまいます。

電極をこまめに清掃する

不斉電位不良となり測定できなくなるため、電極が汚れた場合は洗浄が必要です。

液落部分が汚れている場合とpHガラスの応答膜が汚れている場合があり、それぞれ洗浄の方法が異なるので注意が必要です。

pHガラス応答膜は、一般的な水溶液のサンプルなら純水とメラニンスポンジで軽くこすって汚れを落とします。

油分や強アルカリ、およびタンパク質などの特殊サンプルの場合は、サンプルを分解・溶解できる性質の洗浄液で洗浄します。

有機溶媒や酸、たんぱく質分解剤など各水溶液に適したものを使用してください。

液落部は一般的には1mol/L程度の塩酸につけて汚れを溶かして落とします。

測定液の種類によっては、pHガラス応答膜と同じく適した洗浄液を使用します。

洗浄後は内部液を取り換え、半日程度、純水に浸しましょう

内部液をこまめに交換する

内部液は環境の変化によって影響を受けてしまうため、1か月に1度は全交換しましょう

また、電極の洗浄をした場合などは交換時期を待たずに、すぐに交換しましょう。

交換する場合は内部液をすべて出した後、少量の新しい内部液で共洗いして新しい内部液を補充します。

内部液は3mol/Lほどの塩化カリウム溶液の場合が多いですが、この溶液は0℃になると析出してしまう欠点があります。

そのため、保管温度にも注意して、気温が下がった日に使用する場合は必ず使用前に点検しましょう。

まとめ:注意点やコツを押さえた上でpH計を正しく使用しましょう

pH計はさまざまなサンプルのpH 測定ができ、多くの業界や分野で活用されています。

しかし、値が安定しないなどトラブルが発生することもあるため、使い方にはコツや注意点があります。

正確な計測にはこのコツや注意点を踏まえ、正しく使用することが大切です。

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