3Rスリーアールソリューション株式会社
TEL:092-260-3030 平日 9:00~18:00
メニュー

酸素濃度計の校正方法2パターン|法令や検査周期・費用についても解説

計測器における校正とは計測器の器差を確認して使用している機器の精度や機能、動作を確認する作業です。

測定器の値と標準機の値を比較し、差異があるかを確認します。

酸素濃度計の値は時間の経過とともにズレていくため、値の確かさを一定に保ち機器の値の信頼性を担保するために、定期的な校正を行う必要があります。

酸素濃度計資料請求

酸素濃度計の校正方法2パターン

酸素濃度計の校正方法には1点校正と2点校正の2種類があります。

いずれの校正方法の場合も酸素濃度が不明確なガスは校正を行う標準ガスとして使用できません。

それぞれ説明していきます。

1点校正

1点校正とは1種類のガスを用いて行う校正のことです。

「スパンガス」のみを用いた1点校正を行う場合は、前回測定したゼロガスに対する出力を使用して、検量線を作成します。

2点校正

酸素濃度計においての2点校正とは酸素濃度の違う2種類のガスを用いて行う校正のことです。

通常、酸素濃度の低い「ゼロガス」と酸素濃度の高い「スパンガス」の2種類のガスを用いる場合が多いです。

ゼロガスに対する出力とスパンガスに対する出力を測定し、これらの2点から検量線を作成します。

酸素濃度計の校正はなぜ必要?重要性について

酸素濃度計をはじめた測定機器において、計測値の正確性は非常に重要です

一方で機器ごとの誤差や経年劣化により正確な値から計測器がずれることはよくあります。

酸素濃度も異物混入や酸素センサーなど部品の経年劣化、などにより測定誤差が大きくなってしまうことも。

信頼性が高い状態で酸素濃度計を使用するには、定期的に校正を実施することで機器の正確性を確認し、異常がある部品などを交換することが大切です。

酸素濃度計測やガス検知システム設置が義務付けられている法令

労働安全衛生法の令第21条第9号において作業環境測定などを行う事業者は、その日の作業を開始する前に、当該作業場における空気中の酸素の濃度を測定しなければならないと決まっています。

第二種酸素欠乏危険作業にあたる作業場においては、酸素だけでなく硫化水素の濃度も測定する義務があります。

また、労働安全衛生規則において毎日の作業の開始前の測定可燃性ガスの発生を確認した場合の常時監視を行うように規定されています。

酸素欠乏症等防止規則の第3条や第5条及び第30条においても、毎日作業の開始前の酸素濃度の測定や酸素欠乏を防止するために必要な措置を行うことが義務付けられています。

 

法令で指定されている作業場の酸素濃度について

酸素欠乏症等防止規則の第5条において、作業を行う事業者が労働者を酸素欠乏危険作業に従事させる場合や請負人に請け負わせる場合は、作業場所の空気中の酸素濃度を18%を以上に保つよう換気しなければなりません。

第二種酸素欠乏危険作業ににあたる場所では、空気中の酸素の濃度を18%以上かつ、硫化水素の濃度を100万分の10以下になるよう換気義務があります。

爆発や酸化等を防止するため換気することができない場合など、作業場の性質上で換気することが著しく困難な場合はこの限りではありません。

また、事業者は換気をする際は純酸素を使用してはいけません

酸素濃度の計測や記録が義務付けられている作業場

酸素欠乏症等防止規則において、以下の場所で大気中の酸素濃度が義務付けられています。

また第2種酸素欠乏危険作業に係わる作業場では硫化水素の測定も義務です。

次に掲げる場所以外にも労働大臣が定めた場所においては計測が義務です。

井戸やたて坑、ピットなどの内部

まず地層に接するか通ずる井戸などの内部では濃度測定が義務付けられています。

例えば井戸や井筒、およびたて坑やずい道、潜函、ピットなどです。

また、

  1. ①上層に不透水層がある砂れき層のうち、含水や湧水がないか少ない部分
  2. ②第一鉄塩類か第一マンガン塩類を含む地層
  3. ③メタンやエタン、ブタンを含む地層
  4. ③炭酸水を湧出しているか、湧出するおそれのある地層
  5. ④腐泥層
  6. ⑤長期間使用されていない井戸の内部

でも濃度計測が義務になっています。

マンホールやピットの内部

次にケーブルやガス管、および地下に敷設される物を収容するためのマンホールピット内部でも濃度計測が必要です。

雨水や河川の流水および湧水が滞留しているか滞留したことのある槽やマンホールなどの内部も計測が義務です。

また海水が滞留もしくは滞留したことのある熱交換器や管、および暗きょやマンホール、溝もしくはピット、海水を相当期間入れてあるか入れたことのある熱交換器等の内部も酸素濃度を計測しなければなりません。

さらに、し尿や腐泥、および汚水やパルプ液など腐敗・分解されやすい物質を入れてあるか入れたことのあるタンクや船倉、および槽や管、暗ょ、マンホールや溝、ピットの内部でも計測が必要です。

密閉されていたボイラーたタンクなど内壁が酸化されやすい施設

相当期間に密閉されていた鋼製のボイラーやタンク、および反応塔や船倉など内壁が酸化されやすい施設では計測が義務です。

ただし、内壁がステンレス鋼製のほか内壁の酸化を防止措置が講ぜられているものはその限りではありません。

石炭や亜炭および硫化鉱や鋼材、くず鉄や原木、チップ、乾性油、魚油など空気中の酸素を吸収する物質を入れてあるタンクや船倉、ホッパーなど貯蔵施設の内部でも計測が必要です。

また、天井や床、および壁や格納物が乾性油を含むペイントで塗装され、そのペイントが乾燥する前に密閉された地下室や倉庫、タンクや船倉などの通風が不十分な施設の内部でも計測しなければなりません。

さらにヘリウムやアルゴン、および窒素やフロン、炭酸ガスなどの不活性の気体を入れてあるか入れたことのあるボイラーやタンク、反応塔、船倉などの施設の内部でも計測の義務があります。

食品の栽培や貯蔵をしている倉庫や醸造槽、冷蔵庫など

穀物や飼料の貯蔵、果菜の熟成や種子の発芽、きのこ類の栽培のために使用しているサイロやむろ、および倉庫や船倉ピットなどの内部では計測が必要です。

また、しようゆや酒類、もろみをはじめとした発酵する物を入れているか、入れたことのあるタンクやむろ、醸造槽の内部でも計測しなければなりません。

さらに、ドライアイスを使用して冷蔵や冷凍、水セメントのあく抜きを行っている冷蔵庫や冷凍庫、および保冷貨車や保冷貨物自動車、船倉や冷凍コンテナーの内部でも濃度計測が義務付けられています。

酸素濃度の計測や記録が義務付けられている7つの項目

酸素濃度測定測定において義務付けられているのは以下の項目です。

事業者が前項の規定による測定を行ったときは、そのつど次の事項を記録して、これを三年間保存しなければななりません。

  1. 測定日時
  2. 測定方法
  3. 測定箇所
  4. 測定条件
  5. 測定結果
  6. 測定を実施した者の氏名
  7. 測定結果に基づいて酸素欠乏症等の防止措置を講じたときは、当該措置の概要

計測器の設置や危険場所の周知義務について

作業を行う事業者は濃度測定の結果、可燃性ガスが存在して爆発または火災が生ずるおそれのある場合は、必要な場所に、可燃性ガスの濃度の異常な上昇を早期に把握するために必要な自動警報装置を設置する必要があります。

また、ずい道などの建設作業を行うときは、落盤や出水、およびガス爆発や火災、など非常時に関係労働者にこれを速やかに知らせるため、上記の自動警報器などの設備を設けたうえで関係労働者に対し、その設置場所を周知させる必要があります。

義務付けされている自動警報装置の場所や機能は、まず入出口から危険箇所までの距離が100メートルに達した場所で、必要な機能はサイレンや非常ベルなどの警報用の設備です。

また、危険箇所までの距離が500メートルに達した所においては警報設備の他に電話機などの通話装置の設置が義務付けられています。

この電話装置は坑外と坑内の間において通話することができることが必須です。

酸素濃度計の適切な校正周期とは

酸素濃度計の校正周期の目安は約1年と言われています。

しかし、使用環境によっては1年たたないうちにセンサーが消耗し、突然機能しなくなることもあります。

電源のオンオフに関わらずセンサーの大半は使用していなくても劣化していくため、使用頻度に関わらず定期的な校正が必要です。

酸素濃度計の校正方法で使用する道具について

校正で使用するものは以下になります。

  1. 酸素標準ガス
  2. 銅またはステンレス製の配管
  3. 基準器

また、使用する酸素標準ガスはO2ガスと不活性ガスであるN2ガスだけから構成される酸素濃度が保証されたガスのことを言います。

標準ガスの濃度は酸素濃度計の最小測定レンジである100PPMレンジ以上の20~80%の濃度が推奨されています。

酸素濃度計の校正にかかる費用はいくら?

酸素濃度計の校正は、校正において部品の一部である「ワグニット」を交換するのですが、ワグニットを交換した後のみ検査するか前と後検査するかの検査回数各企業により金額に差が出ます。

ある会社の例では、新品ワグニットに交換した後のみ検査する場合は37,ooo円

そのうち校正試験代は24,500円でワグニット代は12,500円です。

一方で取り替える前のワグニットと、新品ワグニットへの交換後の2回、検査実施する場合は58,5oo円

そのうち校正試験代は46,000円でワグニット代は12,500円です。

酸素濃度計の校正には高い技術が必要で費用も高いので、酸素濃度計をはじめとしたガス検知器を年間レンタルで貸し出すサービスをする会社もあります。

まとめ:法令を守り正しい方法や周期で酸素濃度計を校正し安全を保ちましょう

酸素濃度計の校正は大きく1点校正と2点校正があり、より正確性を求める場合は2点校正をおすすめします。

また、酸素欠乏症の発生が心配される場所においては、法令で明確に酸素濃度の計測が細かく義務付けされています。

正しい機器や方法で、法律で定められた計測事項を守り安全な現場管理をしていきましょう。

酸素濃度計資料請求
pagetop