pHとは？数値の読み方やpH計算の公式も解説【化学基礎】

pHは水溶液の性質を測る指標で、上下水道の水質管理をはじめ、医療品や化粧品の開発、印刷の際のインクの管理など液体を扱う様々な分野で活用されている指標です。

今回はpHとは何かを解説するとともに、pHを求める計算に使える公式も紹介します。

化学基礎の分野からpHについて知りたい方は、ぜひお読みください。

pHとは

pHとは、水素イオン指数であり、溶液中の水素イオン（H+)の濃度を示し、液体がどれほど酸性やアルカリ性（塩基性）なのか、または中性に近いのかを示す単位です。

中性とされる水は電気が発生していない、いわゆる「H2O」の状態ですが、この中性の状態の水溶液にはプラスの電気である水素イオン（H+)とマイナスの電気である水酸化物イオン（OH-)も含まれます。

この2つのイオンは水溶液によって量が変化し、このふたつのイオンの濃度をかける値は一定です。

つまり、水素イオン（H+)と水酸化物イオン（OH-)は片方が多くなればもう片方が少なくなる関係性ということです。

そのため、水素イオン（H+)が多い時は酸性、水酸化物イオン（OH-)が多い時はアルカリ性（塩基性）、ふたつのイオンの比率が同じ場合は中性になります。

 

pH計の数値の意味と読み方

pH値は通常0から14の範囲で表され、基準になる中性が中間の7です。

7から0に向かって数字が小さくなるほど酸性の度合いが高くなり、逆に7から14に向かって数字が大きくなるほどアルカリ性（塩基性）の度合いが高くなります。

家庭用洗剤や温泉の温泉分析書などではpHの範囲に応じて以下のように表記されています。

pH<3.0 　　　酸性
3.0≤pH<6.0　弱酸性
6.0≤pH≤8.0　中性
8.0<pH≤11.0　弱アルカリ性（塩基性）
11.0　強アルカリ性（塩基性）

pHは「ピーエイチ」「ペーハー」と読みます。

「ピーエイチ」はpHを英語読みしたもので「ペーハー」はドイツ読みです。

従来は「ペーハー」と呼ばれていましたが、1957年、昭和32年に読み方が「ピーエイチ」に統一されました。

しかし、「ピーエイチ」に統一されてからも学校の現場などではしばらく「ペーハー」読みが教えられていたため、「ペーハー」読みが馴染み深い方も多くいらっしゃいます。

pHの値それぞれの水溶液の特徴

pHの値は水素イオン（H+)と水酸化物イオン（OH-)の割合によって0から14まで変化し、pHの値が大きくなるとアルカリ性（塩基性）になり低くなると酸性になります。

水溶液がそれぞれ酸性やアルカリ性（塩基性）、および中性になると何が起きるのか、それぞれの水溶液の特徴について述べていきます。

pH値が大きくなりアルカリ性（塩基性）の水溶液の特徴　　　　

pH値が大きくなり水酸化物イオン（OH-)が多くなると、水溶液はアルカリ性（塩基性）になります。

pH11以上の高濃度のアルカリ性（塩基性）溶液はタンパク質に対して変質させ加水分解させるなど腐食性があるほか、脂肪を鹸化させる性質があります。

そのため、洗濯用洗剤をはじめとした人から発生する汚れを洗う洗剤は一般的にアルカリ性（塩基性）です。

pH値が小さくなり酸性の水溶液の特徴

pH値が小さくなり水素イオン（H+)が多くなると、水溶液は酸性になります。

酸性の水溶液にマグネシウムや亜鉛などの金属を入れると水素が発生します。

これは酸性の水溶液の中にある水素イオン（H+)が金属原子から電子を受け取ることで水素原子・水素分子へと変化していくからです。

【化学基礎】pHの計算方法

pHは水素イオン（H+)の量によって決まりますが、これらは化学式によって計算で求めることができます。高校の化学基礎でも履修される内容です。

計算方法の基礎は高校数学Ⅱで履修されるlogの計算方法を応用して求められ、水溶液の性質にしたがって計算方法があります。

pH計算の公式

pH計算において重要な公式が６つあるのでご紹介します。

①pH = -log_10（H⁺)

②pOH = -log_10（OH^–）

③（H⁺)(OH^–)= 1.0×10^-14

④pH + pOH = 14

⑤(H⁺) = c×m×α（cは水溶液のモル濃度、mは価数、αは電離度）

⑥(OH- )= c×m×α（cは水溶液のモル濃度、mは価数、αは電離度）

 

logの使い方

pH計算において以下のLog公式が前提になっています。簡単なので軽く頭に入れておきましょう。

Log10A+Log10B=Log10AB

Log10A-Log10B=Log10 A/B

Log10 10^−A=A

pHを測れる測定機器

pH値を導くための計算方法をご紹介してきましたが、もちろん計算ができなくても、調べたい水溶液につけるだけでpH値を計測できるpHメーターがあります。pHメーターの種類によって特徴や使用される現場も異なります。

コンパクトタイプのpHメーター

まるで大きな体温計のようなコンパクトなタイプのpHメーターは、小さく基本的には電池式なので電源コードも必要ありません。

また、一般的にはハンディタイプよりも価格が安価です。そのため、ハンディタイプよりもより手軽にpH値を計測することができます。

センサー部分に直接液体をつけると、液晶の部分にpHの値が表示されます。

ハンディタイプのpHメーター

水溶液を計測する部分と数字が出る液晶機器部分が別れ、コードで繋がっている形のpHメーターです。

コンパクトタイプのpHメーターより比較的高価ですが、小数点2位以下の値が知れるなど、より正確なpH値を知ることができます。

食品加工品の調査や管理、および河川や工場排水の調査、農業園芸土壌の管理など、より正確な値の計測が必要な調査や管理などで使用されます。

まとめ：pHの測定が必要な場合は数値を正しく理解し、適切な測定器を使用する

pH値は自分で計算せずともpHメーターで知ることは可能ですが、計算方法や原理を知ることでpHメーターが示す値についてより深く分析することができます。

そのため検査をする際はpH値の原理を軽くでもいいので調べてから検査を行うことをおすすめします。

また、pH計の種類によっても計測できる値の正確さや使い勝手が変わるので、それぞれの現場や調べたいものの種類によって適切な計測器を使用しましょう。