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pH計電極の寿命は何倍も延ばせる!長持ちさせるコツと構造・種類など

pH計はpHの値を計測するために使用される計測機器の一つです。

計測には検出部と呼ばれるpH電極を使用しますが、pH電極には寿命があることをご存知でしょうか。

寿命が短い場合には電極の買い替え頻度が多くなり、結果的に購入コストばかりが膨らんでしまいますよね。

実は、pH電極は使い方や保管方法などの工夫によって寿命を何倍も伸ばすことが可能です。

本記事ではpH電極の寿命を長持ちさせるコツや基本構造・種類について解説していきます。

ぜひ本記事を参考に、pH電極を長持ちさせることで購入コストを抑えてみてください。

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pH計とは

pH計とは、pH(ペーハー)値と呼ばれる水溶液の性質を表した数値を計るための計測機器です。

pH値は主に0~14の間で計測されますが、0に近い数字であればあるほど酸性を表し、14に近い数字であればあるほどアルカリ性を表します。

つまり、pH値の計測により、対象物が酸性なのかアルカリ性なのかがわかるのです。

pHと聞くと肌のpHや土壌のpHを想像する方や、リトマス試験紙での実験を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれませんが、pH計が使用される主な場面は液体のpH値を確認したいときです。

例えば、ある液体のpH値を計測し酸性なのかアルカリ性なのかがわかると、液体に何が溶けているのかが予想できるため、水質の検査などにも使用されています。

pH計とは、水溶液のpH値を計測し酸性なのかアルカリ性なのかを判断するために使用される計測機器であると覚えておきましょう。

pH計の基本構造

pH計は下記の3点から構成されています。

  • 検出部(pH電極)
  • 指示部
  • 標準液

いずれの部分に異常が発生してもpH測定はできませんので、基本構造は重要なポイントです。

以下にて詳しく解説していきます。

検出部(pH電極)

検出部はpH電極と呼ばれ、pH測定をする際、実際に水溶液に触れることでpH値を計測する重要な役割を担っています。

pH電極にはいくつかの種類があるため、詳しくは次項にて解説しますが、pH計の基本構造の一つである点に変わりはありません。

そして、pH計の基本構造の中で唯一、寿命が存在するのがpH電極であると覚えておきましょう。

万が一、寿命を迎えたpH電極を使用してpH計測を実施すると正確な計測ができません。

一般的なpH電極の寿命は、多くのメーカーの説明書によると6ヶ月での交換を推奨しているようです。

pH測定をする際に重要な役割を担うpH電極ですので、メーカー推奨の寿命を把握しつつ、寿命を伸ばす方法があることを覚えておきましょう。

pH電極の寿命を伸ばす方法については別途、解説していきます。

指示部

指示部は検出部(pH電極)で計測されたpH値を調整し、正確な数値を計測するために必要なものです。

pH計の仕組みとして、計測対象の水溶液とpH標準液の2つのpH電極を入れ込むことでpH値を計測するのですが、その際に2つの液体の電位差を使用しています。

計測した電位差は、そのまま電位差計に入力しても正確な値は得られないため、高入力インピーダンスの増幅器が必要とされています。

この増幅器に値を調整するための抵抗を加えたものを指示部と呼んでいるのです。

標準液

標準液とは、基準となるpH値を満たした液体であり、pH値が変化しにくい緩衝液が用いられています。

計測対象となる水溶液がある一方で、基準となる標準液がなければpH値が高いのか低いのかがわかりません。

また、計測の最中に基準となる標準液のpH値が変動してしまってもいけません。

例えば、標準液にはpH値が7.0の中性のものが使用されることが多くありますが、7.0を基準に高いか低いかによって酸性なのかアルカリ性なのかが判断できます。

実際には自分達の手で標準液の作成も可能ですが、専用の設備が必要なことと手間を考えるのであれば、コスト面も考慮すると市販品の購入がおすすめです。

検出部(pH電極)の種類

前項で検出部(pH電極)に種類があることを解説しましたが、詳しくは4つの種類があります。

  • ガラス電極
  • 比較電極
  • 温度補償電極
  • 複合電極

一般的な検出部(pH電極)はガラス電極、比較電極、温度補償電極がそれぞれ独立しているものがほとんどですが、3つが合わさった複合電極の2種類に大別されます。

以下にてそれぞれについて詳しく解説していきます。

ガラス電極

ガラス電極は下記の3つの構成要素が合わさった電極です。

  • ガラス膜
  • 内部液
  • 内部電極

ガラス膜はガラス管の先端にあり、厚さが0.1~0.3mm程度のpHに反応する特殊なガラスの膜です。

φ10程の球状の非常に薄い膜なので破損しないように細心の注意を払う必要があります。

内部液はガラス管の内部に一定濃度で充満している液体のことを指します。

内部電極は安定した起電力を発生させる電極であり、これがガラス管の中に組み込まれている仕組みです。

この3つが合わさった電極がガラス電極です。

比較電極

比較電極はガラス電極とセットで使用されるものであり、ガラス電極で発生した電位差を測定するために比較対象となる電極です。

測定対象となり水溶液のpH値には一切関係なく、一定の電位が表されます。

比較電極もガラス電極と同様にいくつかの構成要素がありますが、特徴は構成要素の多さにあります。

  • 液絡部
  • 内部液
  • 補充口
  • 比較電極支持管
  • 比較電極内部液
  • 内部電極および電極リード線

ガラス電極の構成要素が3つであったことを鑑みると、比較電極は6つの構成要素があるので、同じ電極でも構成要素が多いと言えるでしょう。

比較電極はガラス電極に対して一定の電位を示す基準を表すため、多くの構成要素が含まれることで基準がブレないようにしているのです。

温度補償電極

温度補償電極は、ガラス電極に発生する起電力に対して、水溶液の温度による変化を補償するための電極です。

しかし、水溶液の温度変化によるpH値の変化と、温度補償は無関係であることに注意しなければなりません。

つまり、補償されるのはあくまで温度であり、pH値の変化ではないことを覚えておきましょう。

そのため、温度補償電極があるからといって計測時の水溶液の温度を記録しないでおくと、計測結果が意味のないものになってしまうため、水溶液の温度の記録は必ず取るようにしてください。

複合電極

複合電極とは、ガラス電極と比較電極、温度補償電極が1つにまとまったものを指します。

1つの電極で3つの電極の役割を担っているため取り扱いが比較的、簡単だとされています。

先端にはガラス膜があり、内部には内部液が充満、そして内部電極、温度補償電極が1本にまとめられているのです。

そして次項で解説するpH電極の寿命を長持ちさせるコツにも通ずる部分として、洗浄が容易である点も覚えておきましょう。

pH電極の寿命を長持ちさせるコツ

pH電極にはメーカー推奨の寿命が存在しますが、多くのメーカーでは6ヶ月での交換が推奨されているようです。

しかし、4つのコツを押さえることでpH電極の寿命は何倍にも伸びます

  • 使用後は電極の洗浄を行う
  • 標準液の校正を行う
  • 電極内部液の点検を行う
  • 電極の乾燥を防ぐため電極洗浄液につけて保管

このコツを実践した結果、2年間買い替えることなく使用し続けられた例も存在しているので、ぜひ参考にしてみてください。

使用後は電極の洗浄を行う

pH電極の使用後は電極の洗浄を行いましょう。

ガラス電極などに汚れが付着した状態のままですと、正確な測定ができなくなったり、測定までに要する時間が伸びたりしてしまいます。

また、付着している汚れの種類によっても洗浄方法に違いがあることを覚えておきましょう。

詳しくは下記を参照ください。

汚れの種類 洗浄方法
懸濁物・粘着性物質・微生物など 純粋または清水で洗浄
油性物質 中性洗剤溶液に浸した後
純粋または清水で洗浄
化学的汚れ 1~2%の塩酸溶液に1~2分浸した後
純粋または清水で洗浄

標準液は清潔なものを使用する

pH計の校正に用いる標準液は清潔なものを使用しましょう

標準液は繰り返し使用可能な消耗品であるため、何度か使用していると電極から発せられる起電力により標準液自体も劣化が進んでしまいます

万が一、劣化の進んだ標準液を使用してpH計の校正を実施した場合、不安定なpH値が検出されるなど、pH電極へ悪影響を及ぼしてしまう可能性もあるのです。

標準液にも使用期限が存在するため、使用頻度があまり多くない場合は使い切りタイプを使用するのもおすすめです。

pH電極の劣化を避けるためにも、pH計の校正に使用する標準液は清潔なものを使用しましょう。

電極内部液の点検を行う

電極内部液の点検の実施もpH電極の寿命を伸ばすためのコツです。

主な点検項目は十分な液量が保たれているかや汚れや気泡が混入していないかの確認になります。

液量が足りないときは電極内部液の補充を実施し、汚れが混入した場合に交換を実施しましょう。

点検を怠りそのまま使用を続けてしまうと、異常な値しか計測できなくなったり、エラー表示が繰り返されたりします。

そして結果的にpH電極の寿命を縮める原因となるため、電極内部液の点検を行うようにしましょう。

電極の乾燥を防ぐため電極洗浄液につけて保管

電極の寿命を長持ちさせるためには、保管の際に電極の乾燥を防ぐために電極洗浄液につけておくことも重要です。

どのメーカーの説明書にも記載はありますが、先端部分の乾燥はpH電極の劣化を早め、寿命を縮めてしまいます。

保管時にはKCL溶液と呼ばれる電極洗浄液につけておくのがおすすめですが、出荷の段階で付属しているキャップ、もしくは容器を移し替えて少量の溶液につけた状態にしましょう。

特に長期的に保管をする際には、溶液の蒸発によって電極部が露出して乾燥してしまうので、定期的に補充をしながら乾燥しないように注意してください。

まとめ:pH計の電極は適切な管理・保管で寿命を延ばし、無駄なコストを抑える

pH計の電極は消耗品であり、適切な管理・保管により寿命を延ばすことが可能です。

万が一、管理や保管の方法などを怠ってしまうと、早期に買い替えを迫られることで購入コストがかかってしまうことになります。

そのため、pH電極の寿命を延ばすことは無駄なコストを抑えることにつながると言えるのです。

ぜひ本記事を参考にしながら、長い間、1つのpH電極を使い続けるようにしてください。

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