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食塩水のpH値は濃度によって違う?理由や測定方法について解説

水に塩を溶かすだけで生成可能な食塩水ですが、pH測定に食塩水を用いたとき、下記のような経験をしたことはありませんか?

  • 食塩水のpH値が安定しない
  • 食塩水は中性であるはずなのに、酸性やアルカリ性を示すことがある

実は、食塩水はpH測定が非常に難しい水溶液のひとつとされています。

そこで本記事では、食塩水のpH値について解説するとともに、pH値の測定方法やポイントについて解説していきます。

普段からpH測定を実施する方や、これからpH測定をする方のpH計選びについて、ぜひ参考にしてみてください。

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食塩水のpHについて

食塩水のpHは、水に塩を溶かすだけでそれ以外の不純物は含まれていない液体であることから、pH値が7.0を示す中性となります。

そもそもpH値は、得られた数値に応じて水溶液が酸性なのかアルカリ性なのかを示す物差しです。

pH値が0.0〜6.9までを酸性と判断し、7.1〜14.0までをアルカリ性と判断しています。

pH値自体は水溶液に含まれる水素イオンの濃度によって数値が変化しますが、例えば、水は元素記号に直すとH2Oと表記されます。

実は、H2Oの中には、H+(水素イオン)とOH–(水酸化物イオン)が存在し、2つのイオンのバランスによって水溶液の液性が決まっているのです。

今回、例にとった水は2つのイオンのバランスが同じであるため中性と判断されます。

食塩水も同様に、理論上は2つのイオンのバランスが同じであるため中性と判断されるのです。

食塩水のpH値は濃度により変化する

pH値にばらつきのある食塩水ですが、実は食塩の濃度によってpH値が変化します。

もちろん、食塩水は中性であることが大前提ですが、pH測定を実施したときに酸性やアルカリ性を示したことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここでは、食塩を用いた場合の濃度別のpH値を解説するとともに、小学校の理科の研究でよく用いられていたリトマス紙の色の変化から食塩水の液性を解説していきます。

補足として食塩には、硫酸マグネシウムや塩化マグネシウム、塩化カリウム、炭酸マグネシウムなど、さまざまな分子が含まれているので、あくまで参考のデータとご理解ください。

濃度が1%〜10%の場合

食塩の濃度が1〜10%の場合を以下の表に示します。

濃度 pH値 赤色リトマス紙 液性
1%〜4% 6.9 変化なし 中性
5% 7.5 変化なし 中性
6%〜10% 7.5 変化なし 中性

基本的にリトマス紙を用いて確認すると、濃度が1%〜10%の間では中性を示します。

厳密に言えば、pH値が6.9~7.5の幅はあるため完全なる中性とは言えないかもしれませんが、リトマス紙を用いた際に色の変化がないことから中性と判断できるのではないでしょうか。

このように、食塩の濃度が1%〜10%では液性に大きな変化はないといった結果が出ております。

濃度が11%〜26.5%の場合

一方で濃度が11%〜26.5%の場合は以下の表のような結果を示します。

濃度 pH値 赤色リトマス紙 液性
11%〜15% 7.9 極めてわずかに
青色
アルカリ性
16%〜20% 8.1 わずかに青色 アルカリ性
21%〜25% 8.4 うす青色 アルカリ性
25%〜26.5% 8.4 うす青色 アルカリ性

1%〜10%のときはリトマス紙を用いて確認したときに、色の変化がなく中性と判断されていたものが、濃度が11%〜26.5%になると、アルカリ性を示すように変化します。

また、色の濃さを見ても濃度によってばらつきがあるため、アルカリ性の強さも濃度が濃くなればなるほど強くなると言えそうです。

ちなみに、26.5%は飽和溶液となるため、これ以上、濃度が濃くならないことを意味します。

食塩水のpH測定に必要な加水分解の知識

食塩水のpH値が変化するひとつの要因として濃度が挙げられますが、他にも加水分解の知識を身につけておかなければなりません。

加水分解とは、水溶液と物質が反応することによって引き起こされる分解反応のことです。

食塩水に関わる部分としては塩の加水分解になります。

塩の加水分解は、水に塩が溶けていく最中に水の分子と反応を起こし、酸と塩基(アルカリ)に別れる反応のことです。

ここでは塩の種類によう加水分解を通じて、酸の強弱と塩基の強弱の関係からわかる液性について解説していきます。

強酸と強塩基

強酸と強塩基では、液性は中性となります。

なぜなら、酸と塩基がどちらも強い状態であるため、バランスが保たれているからです。

例えば、塩化ナトリウムですが、塩化ナトリウムははそもそも加水分解が起こりません。

これは加水分解ではなく、ナトリウム原子と塩素原子に電離するだけとなります。

そのため、液性は中性を示すのです。

強酸と弱塩基

強酸と弱塩基では、液性が酸性となります。

なぜなら、塩基よりも酸が強い状態であるからです。

例えば、塩化亜鉛が挙げられますが、水と混ざることで強酸である水酸化亜鉛と弱塩基である塩化水素に加水分解されます。

そのため、液性は酸性を示すのです。

弱酸と強塩基

弱酸と強塩基では、液性がアルカリ性となります。

なぜなら、酸よりも塩基が強い状態にあるからです。

例えば、炭酸水素ナトリウムが挙げられますが、水と混ざることで弱酸である炭酸と強塩基である水酸化ナトリウムに加水分解されます。

そのため、液性はアルカリ性を示すのです。

弱酸と弱塩基

弱酸と弱塩基では、液性が中性となります。

こちらも強酸と強塩基と同様にどちらかが強いといった状態ではないため、中性を示すのです。

しかし、そもそも弱酸と弱塩基では水に溶けないため、加水分解が発生せず、液性は中性を示します。

食塩水のpH測定方法

食塩水のpH測定方法は、通常の水溶液と同様に3つの測定方法があります。

  • 指示薬による測定
  • 測定試験紙による測定
  • ガラス電極を使用する測定

以下にてそれぞれの測定方法を解説していきます。

指示薬による測定

指示薬による測定は、pH値によって色が変化する薬品を液体に加えてpH値を測定する方法です。

具体的には、試験対象となる水溶液に薬品を加えることで色を変化させ、pH値ごとに色の違う色見本と比較することでpH値を測定します。

指示薬には下記の種類があります。

  • BTB溶液
  • フェノールフタレイン溶液
  • ムラサキキャベツ液

種類ごとに液性が示す色が違うため、指示薬を使用する際はどの色がどの液性を示すのかについて確認しましょう。

測定試験紙による測定

測定試験紙による測定は、指示薬をあらかじめ試験紙に染み込ませて乾燥させたものを使用して行う測定方法です。

使用する際は試験紙を水溶液に浸け、変化した試験紙の色と色見本をを比べながらpH測定を実施します。

主な試験紙の種類は下記の通りです。

  • リトマス紙
  • pH試験紙(万能試験紙)

リトマス紙は赤と青があり、小学校の理科の実験で使用した方も多いのではないでしょうか。

また、pH試験紙(万能試験紙)は、リトマス紙よりも詳細にpH値が調べられる試験紙です。

細かなpH値までは調べられないことを覚えておきましょう。

ガラス電極を使用する測定

ガラス電極を使用する測定は、pH測定専用の測定機器を用いた測定方法です。

測定機器はpH計と呼ばれ、ガラス電極と比較電極がセットになって使用されます。

測定の原理はガラス電極と比較電極の間に生じる電位差を用いて、pH値を0.00〜14.0までデジタルで表示します。

そのため、pH値を正確に測定したい場合におすすめの測定方法です。

様々な分野でpH測定をする際はガラス電極を用いることがほとんどですので、ガラス電極を使用する測定方法については、ぜひ覚えておきましょう。

食塩水のpH測定における3つのポイント

食塩水のpH測定において、値をなるべく正確に測定するために下記の3つのポイントがあります。

  • 測定に合わせた電極を使用する
  • 水道水ではなく純水を使用する
  • 測定開始までなるべく空気に触れないようにする

それぞれについて解説していきます。

測定に合わせた電極を使用する

食塩水のpH測定をする際は、食塩水に適したpH電極を使用して測定をしましょう。

ただでさえpH値にばらつきが出やすい食塩水のため、なるべく食塩水の測定に適しているとされるpH電極の選択は、正確なpH測定を実施するために重要なポイントです。

各メーカーのpH電極の中には塩水用のpH電極が販売されています。

スリーアールソリューション株式会社では各社のpH電極を取り扱っていますので、まずはカタログダウンロードページより、カタログのダウンロードをしてみてください。

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水道水ではなく純水を使用する

食塩水のpH測定では、水道水ではなく純水を使用する点も重要なポイントです。

なぜなら、水道水の場合少なからず不純物が混入しているため、食塩を溶かしたときに不純物と混ざり合うことで、正確なpH値が得られなくなってしまうからです。

一方で純水の場合は、水道水と違い不純物が含まれていないため、食塩を溶かしても不純物と混ざることがないため、限りなく中性に近いpH値が得られます。

食塩水のpH測定を正確に実施するためにも、不純物が含まれていない純水を使用して測定を実施しましょう。

測定開始までなるべく空気に触れないようにする

測定開始まで溶液をなるべく空気に触れないようにするのも重要なポイントです。

水道水には不純物が含まれているため純水を使用して測定を実施する、という点については前項で解説しましたが、同様の考え方で、空気に触れてしまうと少なからず不純物が混入してしまいます。

たとえ純水を使用していたとしても、空気中から不純物が混入してしまうと、正確なpH測定結果が得られなくなる可能性があります。

そのため、測定開始まではなるべく空気に触れないようにしてください。

まとめ:食塩水のpH測定はポイントを抑えて、適切なpH計を選択しましょう

食塩水のpH測定は、濃度や加水分解の原理から正確な測定が難しいとされています。

しかし、測定のポイントを抑え、適切なpH計を選択して測定を実施すれば、測定の精度は上げられます。

本記事では、食塩水のpH測定のポイントや適切なpH計の選択について解説してきました。

ぜひ参考にしながら、食塩水のpH測定を実施してみてください。

また、スリーアールソリューション社ではpH計の選択についてサポートもさせていただいておりますので、わからないことがあれば気軽にご相談ください。

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