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顕微鏡で物体を拡大して観察できる仕組みとは?基本原理から詳しく解説

私たちは、顕微鏡がうつし出す拡大像を利用して、対象を観察しています。

顕微鏡には、人間が肉眼では確認できない微細な物体や生体の特徴を観察するために、特徴や原理の異なる顕微鏡が存在します。

それぞれの原理や用途をつかめば、適切な顕微鏡の導入につながるでしょう。

本記事は、顕微鏡が物体を拡大する仕組みについて、顕微鏡の種類ごとにわかりやすく解説した記事です。顕微鏡の観察法についても言及しています。

本記事を参考に、顕微鏡が物体を拡大する仕組みを把握しましょう。

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顕微鏡が物体を拡大する仕組みとは?

顕微鏡とは、人間の目では確認できない微細な特徴を観察するための装置です。

顕微鏡は、主に光または電子線の特性を利用して物体の拡大像を得ています。

そして、「倍率」「分解能」「コントラスト」という3つの要素を利用して、観察対象の微細な特徴を確認しているのです。

まずは、顕微鏡が物体を拡大する3要素について確認していきましょう。

必要な要素 特徴
倍率
実物よりもどのくらい拡大されているかを示す比率
倍率が高いほど、観察対象は拡大される
分解能
観察対象の細部を確認するために必要な要素
分解能が不十分な場合、サンプルの細部はぼやけて見えない
コントラスト
明暗や彩度の差
適度なコントラストが観察対象の微細な違いを見やすくする

倍率とは、観察対象の実物よりもどのくらい顕微鏡が拡大しているかを示す比率です。

目に見えない微細な特徴を確認するためには、倍率を高めて観察対象を拡大しないといけません。

ただし、顕微鏡の倍率を高めるだけではサンプルの拡大像がぼやけてしまうため、細かい特徴がわからなくなってしまいます。

観察対象の細部まではっきりと観察するためには、「分解能」が必要です。

分解能とは、物と物を分離して観察できる最短距離を指します。

分解能が不十分な状態で倍率を高めてもサンプルの細かい形状は確認できません。分解能以上に拡大することを無効倍率と呼びます。

顕微鏡の観察では、分解能と倍率が釣り合ってはじめてサンプルの細部を確認できるのです。

そして、拡大像をより見やすくするために必要な3つ目の要素がコントラストです。

コントラストとは、明暗や彩度の差を意味します。明暗や彩度がはっきりしていると、微細な違いを認識しやすくなります。

顕微鏡は、倍率、分解能、コントラストの3要素を利用して物体を拡大しているのです。

光学顕微鏡の仕組み

光の特性を利用した顕微鏡を光学顕微鏡と呼びます。

ここでは光学顕微鏡の概要や原理、性能についてみていきましょう。

光学顕微鏡の仕組み・原理

光学顕微鏡では、光の特性と同時に、対物レンズと接眼レンズという2つの凸レンズを利用して、観察対象の拡大像を得ています。

光学顕微鏡は、対物レンズ、接眼レンズ、照明、光路の4つの構造で成り立っています。

対物レンズとは、観察対象のすぐ近くにあるレンズで、接眼レンズは私たちが覗き込むレンズです。

観察対象にコントラストを与えるのが照明であり、光の通り道が光路です。

光学顕微鏡では、光の特性を利用して対象を観察しますが、光を通さない観察対象や無色透明のサンプルも存在します。そのため、観察対象に合わせた特殊な観察法が必要となるのです。

代表的な観察法がこちらです。

観察法 特徴 用途
明視野観察 観察対象に照明を透過させて観察する
または、反射した光を観察する観察法
血液検査
病理検査など
暗視野観察 光を当てずに、散乱した光を利用する観察法
観察対象に直接光を当てないため、観察視野は暗くなる
微生物の観察
細胞の観察
段差や凹凸の検出など
位相差観察 光の「回折」と「干渉」を利用した観察法
観察対象を染色する必要がないため、生きたままでも観察可能
培養細胞の観察など
微分干渉観察 光が観察対象を透過した際に生じる、光の進む距離の違い(光路差)を利用した観察法
明暗のコントラストによって細部を観察する
無色透明の観察対象
細胞などの生体など
蛍光観察 蛍光色素や蛍光タンパク質を使って観察部分を強調して観察する手法 細胞内にあるDNAやRNAの観察
タンパク質の観察など
偏光観察 観察対象の偏光特性によって生じるコントラストを利用した観察法 岩石や鉱石の観察
光磁気ディスクの観察
痛風検査など
変調コントラスト観察 観察対象の高低差を明暗のコントラストに変換する観察法
観察対象を立体的に捉えられる
プラスチック容器を使用できる
精子や卵細胞の観察など
反射照明観察 自然光をそのまま利用する観察法
透過された観察対象を、反射鏡や対物レンズを使って拡大する
岩石や鉱石の観察
微生物の観察など
分散観察 観察対象をインデックスオイルに封入して観察する手法 アスベストの観察


光学顕微鏡の性能

光学顕微鏡を利用すると、数十倍から1,500倍ほどの大きさにまで観察対象を拡大できます。

大きさでいえば、1mm(ミリメートル)から0.2μm(マイクロメートル)の観察対象まで確認可能です。

1mmは1,000μmを指します。つまり、0.2μmは0.0002mmとなり、人間の目で捉えられない微細な特徴も観察できます。

繰り返しになりますが、適切な観察のためには倍率と分解能の両方が備わっていないといけません。

そのため、光学顕微鏡の分解能を超える対象を観察したい場合は、電子顕微鏡を利用することになります。

光学顕微鏡の歴史

光学顕微鏡とは、光の特性を利用して観察対象の拡大像を得る顕微鏡です。

17世紀後半にオランダのアントニー・レーウェンフックが単式顕微鏡を開発しました。そして、イギリスのロバート・フックが、複式顕微鏡を開発したといわれています。

1枚のレンズで作成された単式顕微鏡の倍率は200倍以上に達しており、精子や微生物の発見につながるなど当時としては画期的な発明でした。

その後、光学顕微鏡は分解能の発展や新たな観察手法の発案により、より微細な観察を可能にしていきます。

19世紀のジョージ・エアリーの研究により分解能に限界があると判明しましたが、さまざまな観察対象を拡大できるため、現在も幅広い分野で活用されている顕微鏡です。

電子顕微鏡の仕組み

電子顕微鏡の概要や原理について確認しましょう。

電子顕微鏡の仕組み・原理

電子顕微鏡では、高電圧によって電子を加速させ、光源(電子銃)から放出します。

電圧の高さに比例して電子が加速されていく仕組みです。電子を加速させる電圧を加速電圧と呼びます。

放出された電子を、電磁石を利用した収束レンズで収束させて観察対象に当てます。

電子顕微鏡は、基本的に電圧を高くすると分解能が高まり、解像度も向上します。

しかし、電子顕微鏡に必要な電圧は、数kVから数百kVと高電圧です高電圧発生装置はもちろん、冷却装置や顕微鏡内を真空に保つ構造が必要となります。

そのため、電子顕微鏡は非常に高価です。

一方、後述する走査型電子顕微鏡では、加速電圧が適切ではない場合、電子がサンプルの深い位置にまで到達してしまいます。

その結果、反射された電子の入射位置と反射位置が離れてしまい、表面の微細な観察ができなくなるのです。

他にも、サンプルが絶縁物の場合、加速電圧が高いとサンプルの表面に帯電するといった問題も発生します。そのため、走査型電子顕微鏡では適切な加速電圧に保つことが重要です。

透過型電子顕微鏡(TEM)の仕組み・原理

透過型電子顕微鏡(TEM)では、サンプルに電子線を透過させます。

電子線には、サンプルの構造や構成成分によって、透過後の電子の密度が変わるという性質があります。

サンプル透過後の電子線を、対物レンズ、中間レンズ、拡大レンズで専用の蛍光版に誘導します。すると透過した電子の数によって蛍光版の明度に差が生じるのです。そして蛍光版をカメラで撮影することで、拡大像を画像にして観察します。

電子線を透過させなければ、蛍光版に電子線を誘導できないため、サンプルを薄く切って透過できるようにするといった準備が必要です。

走査型電子顕微鏡(SEM)の仕組み・原理

走査型電子顕微鏡(SEM)と透過型電子顕微鏡(TEM)の違いは、透過型がサンプルに電子線を「透過」させるのに対して、走査型は主に「反射された電子」または「二次電子」を用いる点です。

二次電子とは、サンプルの表面近くから発生する電子を指し、サンプルの微細な凹凸を反映するという特徴があります。

走査型電子顕微鏡では、観察対象に当てて反射した電子線や二次電子を検出器で観測して、観察対象の拡大像を得るのです。

私たちは、反射した電子線や二次電子を通して、サンプル表面の情報を集めてサンプルの形状を把握します。

電子顕微鏡の歴史

電子顕微鏡とは、電子線の特性を利用して観察対象の拡大像を得る顕微鏡です。

電子線は、光学顕微鏡で利用される可視光線よりも波長が短いため、光学顕微鏡よりも微細な観察が可能です。

電子顕微鏡の歴史は光学顕微鏡に比べると浅く、はじめに電子顕微鏡が発明されたのは1930年代前半のドイツと考えられています。その後1939年にシーメンス社により透過型電子顕微鏡(SEM)が商用開発されました。

その後、電子顕微鏡の開発は進み、透過型電子顕微鏡(TEM)や走査型電子顕微鏡(SEM)が企業や研究機関の現場に導入されています。また、環境制御型(低真空)電子顕微鏡などの開発が現在も行われています。

電子顕微鏡は、物理、医学、生物、化学といった精密な測定を必要とする分野に導入されています。

顕微鏡の仕組みを正しく理解することで適切な顕微鏡選びにつながる

顕微鏡が物体の拡大像を得る仕組みを理解すると、適切な顕微鏡選びにつながります。

高倍率で高分解能を持つ顕微鏡は優秀ですが、その分非常に高価です。

目的や用途に合わせて顕微鏡を導入すれば、出費を抑えた上で適切な観察が可能になるでしょう。

ぜひ本記事で身につけた知識を生かして、適切な顕微鏡を選択してください。

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