騒音計はデータロガー付きがおすすめ!その理由や選び方などについて解説
自動車など乗り物の走行音、話し声などの生活音、工事現場の音など、普段発生する音は想像以上に大きく、騒音となっている可能性があります。
騒音が発生すると騒音トラブル等問題が起きてしまう可能性は大いにあります。
騒音トラブルを避けるためにおすすめしたいのが、騒音計の活用です。
さまざまな騒音計がありますが、その中でもデータロガー付き騒音計を使用することを推奨します。
では、データロガーとは何なのでしょうか。
また、データロガー付き騒音計がおすすめな理由は何なのでしょうか。
選び方もあわせて解説します。
目次
騒音計の種類と特徴
騒音計には、
- 簡易騒音計
- 普通騒音計
- 精密騒音計
の3つがあります。
では、その3つの騒音計の特徴はどのようなものなのでしょうか。
順にみていきましょう。
簡易騒音計
簡易騒音計とは、騒音レベルを確認できる機器です。
細かく騒音のレベルを確認することはできませんが、屋内・屋外の騒音レベルがどの程度なのかが知りたい場合に便利です。
簡易的な騒音計であるため、価格も2,000円前後なものが多く、コストを抑えられます。
簡易騒音計の中でも、ライトが搭載されていたり、データを記録してくれたりなどさまざまな機能がついたものもあります。
ただし、機能が多くついたものはその分価格がアップしますので、注意してください。
普通騒音計
普通騒音計とは、主に屋外の環境騒音測定ができる機器です。
事務所や工場、工事現場、住宅地などの測定に向いています。
簡易騒音計より精密ではありますが、比較的簡単に測定するものとされています。
また、簡易騒音計より精度が高いため、10万円以上と高額となることが特徴です。
また、普通騒音計はJIS・計量法に基づいて基本仕様が製造されています。
JISとは日本の工業標準、計量法は国際基準のことです。
詳細は以下の通りです。
JIS | |
器差 | ±1.5dB |
目盛り誤差 ※基準の±10dBの範囲 |
±0.3dB |
目盛り誤差 ※基準の±10dBの範囲以外 |
±0.6dB |
レンジ切り替え誤差 |
0.7dB |
周波数の範囲 |
20 ~8kHz |
計量法 | |
レベル直線性の誤差 ※入力レベルの 10 dB 以内の変化 |
±0.5dB(±0.8dB) |
レベル直線性の誤差 |
±1.1dB(±1.4dB) |
周波数の範囲 |
20 ~8kHz |
精密騒音計
精密騒音計とは、研究・実験を目的に使用する機器です。
普通騒音計と比べてdBの精度が高く、周波数の範囲が広いため、より正確に騒音レベルを知りたい場合に使用されます。
また、通常の騒音計はどうしても実際の騒音レベルと検知した数値にばらつきがあらわれてしまいます。
精密騒音計であれば、ばらつきが少ないため、より正確だと言えるのです。
細やかな測定ができるため、価格は高め。
20万円以上が相場となります。
精密騒音計もJIS・計量法に基づいて基本仕様が製造されています。
詳細は以下の通りです。
JIS | |
器差 | ±0.7dB |
目盛り誤差 ※基準の±10dBの範囲 |
±0.2dB |
目盛り誤差 ※基準の±10dBの範囲以外 |
±0.4dB |
レンジ切り替え誤差 |
0.5dB |
周波数の範囲 |
20 ~12.5kHz |
計量法 | |
レベル直線性の誤差 ※入力レベルの 10 dB 以内の変化 |
±0.3dB(±0.6dB) |
レベル直線性の誤差 |
±0.8dB(±1.1dB) |
周波数の範囲 |
16kHz |
データロガーとは?特徴や用途など
データロガーとは、電圧や温度などを測定・記録する機器のことです。
データロガーは数時間だけでなく、1日、数日、数週間、機器によっては数年も記録できることが特徴。
長期間にわたる多くの記録ができることが、データロガーの大きなメリットです。
加えて、コンピューターに接続せずとも測定・記録できるため、場所問わず使用できることも特徴のひとつです。
記録したデータはUSBやケーブル、無線LANでパソコンに移行することもできます。
また、初期装備の計測ユニットだけでなく、多数の計測ユニットを取り入れ、拡張することも可能。
他機器であればチャンネルの拡張はできないため、データロガーは非常に便利です。
機器を買い足す必要もないため、経済的だとも言えます。
そして、操作が簡単であることも特徴的です。
データロガーは複数人で使用するため、操作が複雑であれば属人化の恐れがあります。
誰でも使用できるデータロガーであれば作業効率がアップするでしょう。
騒音値(デシベル)の基準について
騒音の大きさ(騒音値)はデシベル(dB)という単位で表します。
どの程度の音が騒音となるのか理解しておかなければ、騒音計で測定しても対策できません。
以下は騒音値の基準です。
うるささのレベル | 人々への影響レベル | 騒音値(デシベル) | 騒音が発生した場所と距離、大きさの程度 |
非常にうるさい | 聴覚機能の低下・異常 | 120デシベル | 飛行機付近 |
110デシベル | 2m付近で聞く自動車のクラクション | ||
100デシベル |
1m付近で聞く液圧プレス 電車通過時のガード下 |
||
我慢できない程度 | 90デシベル |
5m付近で聞く犬の鳴き声 5m付近で聞くブルドーザー うるさい工場内 大声の歌 |
|
80デシベル |
電車の車内 1m付近で聴くピアノ 1.5m付近で聞く布団をたたく音 |
||
うるさい | 大声でないと会話できない程度 | 70デシベル |
2m付近で聞くセミの鳴き声 うるさい事務所内 うるさい街中 携帯電話の着信音 |
大きい音だが、大きな声を出せば会話できる程度 | 60デシベル |
1m付近で聞く洗濯機や掃除機の音 車内 |
|
うるさくはない | 普通の会話ができる程度 | 50デシベル |
うるさくない事務所 室外機 換気扇 |
会話に支障がない程度 | 40デシベル |
図書館 静かな住宅地 |
|
静か | 小さく聞こえる程度 | 30デシベル |
ささやく声 郊外の深夜 |
ほとんど聞こえない | 20デシベル |
葉っぱが触れる音 |
騒音計はデータロガー付きがおすすめの理由
簡易騒音計・普通騒音計・精密騒音計と3つの騒音計の中で、用途に合わせて選ぶことができたでしょうか。
騒音計には、3つの種類以外にも選ぶポイントがあります。
それは、データロガー付きであるか否かです。
前述の通り、データロガーは長期間にわたって記録できる機能がついています。
騒音レベルを表示させる機能だけでなく、記録機能がついていれば、いつ発生するかわからない騒音に対応できます。
もし記録機能がついていない場合は目で数値を確認し、測定データをメモしたり写真で保存したりしなければなりません。
そのため、手間が減り効率的に測定と記録、そしてデータ分析ができるデータロガー付き騒音計を選べばいいでしょう。
騒音計にデータロガーがなくてもいいケース
記録機能がついているデータロガー付き騒音計は、場合によっては必要のない場合があります。
例えば、工場や住宅街、工事現場など常に音が発生している場所の測定をする場合です。
騒音を簡単に測定し、一時的に知りたい場合は、記録機能がなくともまかなうことができます。
しかし、複数回測定する場合や、時間によって音の大きさが変わる場合などには、データロガー付き騒音計を選ぶことをおすすめします。
データロガー付き騒音計の選び方や機能
データロガー付き騒音計の選び方・機能は以下の通りです。
- 精度で選ぶ
- 測定レンジで選ぶ
- 付帯機能で選ぶ
- 記録時間とデータ保存回数で選ぶ
順にみていきましょう。
精度で選ぶ
まず1つ目の選び方は、精度をチェックすることです。
普通騒音計を選ぶなら±1.5dB~1.0dBがおすすめです。
日々の環境騒音を測定するために必要な精度となります。
精密騒音計を選ぶなら±0.7dB~±0.5dBがおすすめです。
研究・実験を目的に測定し、より正確に知りたい場合に必要な制度です。
測定レンジで選ぶ
次に、測定レンジで選ぶことも大切です。
住宅街での話し声や、自動車・電車・飛行機などの走行音、工事の音など幅広い音を測定したい場合には30dB~130dBを選びます。
話し声など小さな音から、飛行機などの大きな音まで測れるため、便利な測定レンジだと言えます。
ただし、となりの部屋から聞こえる話し声など小さすぎる音には対応できないので、注意してください。
付帯機能で選ぶ
データロガー付き騒音計には、記録以外にもさまざまな機能が付帯されているものがあります。
例えば、重みつけ機能。
重みつけ機能には、周波数重みつけ・時間重みつけの2種類があります。
周波数重みつけは、A特性・C特性など周波数によって音の処理時に補整します。
騒音計では、人間が感じる音を是正するためのA特性が使われることが多いです。
時間重みつけは、人間が聞く実際の音の反応時間に近い変動を表すFastが使用されてるものです。
2種類の重みつけ機能がついたものを選びましょう。
これ以外にも、ホールド機能があります。
ホールド機能とは、決めた数値を固定表示できる機能です。
例えば、騒音レベルを決定して数値を固定しておけば、数値を超えた場合にチェックできます。
機器によっては数値を超えた場合にアラームがなる機能もあります。
また、最大値ホールドでは最大値の固定表示ができるため、非常に便利な機能です。
記録時間とデータ保存回数で選ぶ
長時間測定し、何度も記録したい場合には、記録時間・データ保存回数の多さで選ぶようにしましょう。
少ないと測定したい音を記録できない場合がありますので、注意が必要です。
騒音データを記録・管理することで騒音トラブル等を防ぐ
データロガーの機能がついてる騒音計を使えば、時間によって騒音レベルが変化しても記録することができます。
音が発生した際にチェックし、自分で記録する必要がないため、効率的に騒音レベルを測れることが大きなメリットとなるでしょう。
もし音が発生した際にチェックできなければ、どの程度の騒音かわからず騒音トラブルに巻き込まれる可能性もあります。
数時間、1日、数日、数週間、そして数年間など長期間記録できるデータロガー付き騒音計を選び、騒音トラブル等が起きないようにしましょう。