低価格のデータロガーで計測に問題はないのか?特徴や機能も解説
産業分野において各分野のさまざまなデータを収集する際に使用されるデータロガー。温度を計測するものから電圧の測定をするものまで種類が豊富にあります。
使用するデータロガーを選択する際、環境に応じて適切な種類を選択しなければならないのはもちろんですが、可能な限り低価格のデータロガーを購入したいと考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
データロガーは種類が豊富なために、価格帯は非常に幅広く、何を基準に選択したら良いか迷う方も多いはず。
本記事では低価格のデータロガーについて解説するとともに、製品の特徴や低価格データロガーに関わる機能について解説します。
低価格のデータロガーを購入したとしても、実際に使用する際に必要な機能が満たされていなかったなどの失敗が起こらないよう、ぜひ参考にしてみてください。
目次
データロガーについて
そもそもデータロガーとは、温度や電圧に加え、CO2や絶対圧などのデータをリアルタイムに監視及び記録する装置です。
計測・記録されたデータは、手動で書き留める必要がなく、正確なデータを長期間に渡って記録できるため、実験や工業現場などで幅広く利用されています。
例えば、保管に温度管理が必要な医療材料などの倉庫では温度ロガーを使用し、24時間記録を取り続けています。
そのため、計測・記録したい対象に合わせてデータロガーを選択し、種類を選択する必要があるのです。
低価格帯のデータロガーについて
データロガー自体の種類は非常に豊富であることから、価格帯の幅も広くなっています。
価格帯の違いによる種類の違いは主に計測したい対象によって異なります。
当然、特殊な環境で特殊な対象を計測したい場合はデータロガーの価格は高くなるのです。
一般的に低価格帯のデータロガーも展開されているのは下記の種類です。
- ・温度データロガー
- ・温湿度データロガー
- ・電圧ロガー
それぞれのデータロガーについて解説していきます。
温度データロガー
温度ロガーは、温度を計測するためのデータロガーです。
主に食品を冷蔵・冷凍している倉庫や輸送時の温度管理などの場面で使用されます。
温度ロガーの仕組みは、温度計測用のセンサーを接続し、温度変化を定期的に計測・記録しているのです。
実際には、計測したい温度範囲や計測の間隔、保存する期間などさまざまな設定が可能です。
温湿度データロガー
温湿度ロガーとは、温度と湿度を同時に計測が可能なデータロガーです。
主に、野菜を植えているビニールハウスや食品を加工する工場など、温度に加えて湿度も一定に保つ必要のある場所で使用されます。
温度ロガーは温度計測用のセンサーのみであったのに対し、温湿度ロガーは温度計測用のセンターと湿度計測用のセンサーの両方が接続されています。
上述した仕組みのもと、温度と湿度の変化を定期的に計測・記録しているのです。
設定を変更することで温湿度の範囲や計測間隔、保存期間などさまざまな設定が可能です。
電圧ロガー
電圧ロガーとは、電圧を計測するためのデータロガーです。
主に太陽光電池の研究開発や大型プラントなど、電圧を定期的に計測しなけらばならない場面で使用されます。
温度や温湿度ロガーと同様に電圧ロガーには電圧計測用のセンサーが接続され電圧変化を定期的に計測・記録されるのです。
当然、設定を変更することで電圧の測定範囲や測定の間隔、データの保存期間が変更可能です。
低価格帯のデータロガーの特徴
低価格帯のデータロガーにはいくつかの特徴があります。
- ・使い捨てタイプ
- ・USBタイプ
- ・PDF形式でレポートを出力
ここでは低価格帯のデータロガーの特徴を以下にて解説していくので、無駄に高額なデータロガーを選択しないためにも参考にしてください。
使い捨てタイプ
使い捨てタイプのデータロガーは、安価で手軽に使用できるため、一度きりの計測であれば手軽に利用できます。
しかしながら、一度レポートを出力してしまうとその後のデータ計測・保管ができないため、長期間の計測には不向きです。
また、使い捨てタイプのデータロガーは、測定範囲や測定精度が限られていることが多いため、計測の目的によっては適さない場合もあります。
そのため、輸送管理の際に片道だけデータを計測したい場面などでの使用を想定すると良いでしょう。
USBタイプ
USBタイプのデータロガーは、測定したデータを直接パソコンに転送できるため、手軽にデータの取得ができます。
また、USBタイプのデータロガーは多くの場合専用ソフトウェアが付属しており、パソコンと接続することでデータの解析やグラフ表示などの機能を使用でき利便性が高いです。
使い捨てタイプとは違い、内蔵された電池が消耗しない限りは何度でもデータの計測や記録が可能な点も特徴です。
製品によっては専用の防水バックが用意されていたりするため、水のかかる環境でもデータの収集ができます。
PDF形式でレポートを出力
低価格帯のデータロガーの多くは、PDF形式でレポートを出力できる機能を備えています。
この機能により、計測結果をわかりやすくまとめたレポートの作成が可能です。
レポートがPDFで出力されるため、情報の共有が簡便である一方で、データの解析などの際には出力されたPDFからのデータの読み込みが煩雑になってしまう可能性もあります。
レポートを出力するだけで良いのか、それとも出力されたデータの解析が必要かどうかによってデータロガーの選択をすると良いでしょう。
価格に関わるデータロガーの機能
低価格帯のデータロガーは、高価格帯のデータロガーに比べて機能が限定されている場合があります。
価格に関わる主な機能として、下記のものが挙げられます。
- ・計測可能なデータの種類
- ・チャンネル数
- ・データストレージ
機能が豊富であれば価格が高くなりますが、データロガーにおいて価格に直接的に影響のあるポイントを挙げています。
それぞれ解説していきます。
計測可能なデータの種類数
データロガーは温度や湿度、電圧などさまざまな物理量の計測が可能が可能ですが、データロガーによっては特定のデータのみしか計測できない製品もあります。
一方で、複数のデータを同時に計測できるものもあります。
価格が高くなるほど、計測できるデータの種類数が増えることがあります。
例えば、温度と湿度を同時に計測できるデータロガーの場合、価格が高くなるほど、計測できる温度と湿度の範囲が広がり、精度も高くなります。
しかし、単体で温度しか計測できないデータロガーは、比較的低価格で販売されているのです。
そのため、計測可能な対象が1つしかないのか、それとも複数の対象を計測したいのかによって違いがある点を覚えておきましょう。
チャンネル数
チャンネル数は、データロガーが同時に計測できる場所や物理量の数を表します。
例えば、チャンネルが4つあるデータロガーは、同時に4つの場所や物理量の計測が可能です。
価格が高くなるほど、チャンネル数が増えることがあります。
また、チャンネル数は使用目的に応じて選択する必要があります。
例えば、工場内で多数の機器の状態を同時に監視する場合は、多数のチャンネルを持つデータロガーが必要です。
一方で、一般家庭で温度や湿度を計測する場合は、チャンネル数が少ないデータロガーでも十分です。
そのため、使用を想定している環境においてどの対象をいくつ、何箇所で計測するかによってデータロガーのチャンネル数を選択すると良いでしょう。
データストレージ
データロガーのデータストレージは、計測データを保存するための容量を表します。
データロガーによって保存できるデータの時間や数が異なっており、一般的に市販されているUSBメモリと同様に保存可能なデータ容量も、製品によって異なります。
基本的には前述したように、計測可能なデータ数に応じて価格は上昇する傾向ですが、計測可能なデータ数が多くなればなるほど、必然的に保存しなければならないデータも増えるため、データストレージの大きさも価格が上昇する要因の一つとして考えられるのではないでしょうか。
そのほかにデータストレージの容量は計測する期間や頻度によって変化させる必要がありますが、一般的にはデータロガーのストレージ容量は、数時間から数か月までの計測データが保存できるように設定されています。
そのため複数の種類のデータの計測、長期間の計測を行う場合は、ストレージ容量が大きいものを選択する必要があるのです。
また、データロガーによっては、データのオーバーライト機能を搭載しているものもあります。
これは、データストレージの容量が限られている場合に、古いデータを自動的に上書きして新しいデータを保存する機能です。
オーバーライト機能がない場合は、データが一杯になると計測が停止してしまいます。
データストレージの形式についても留意が必要です。
データロガーによっては、専用のソフトウェアを使用してデータのダウンロードが必要な場合もあります。
一方で、USB接続で直接パソコンに保存できるデータロガーもあるため、使用方法や設定方法によっては、データの保存・管理がしやすいものを選ぶことが重要です。
まとめ:低価格にとらわれず必要な機能が揃ったデータロガーを選択しましょう
低価格帯のデータロガーでも、十分な機能を持ったものがあります。
しかし、価格と機能・仕様はトレードオフの関係にあり、必要な機能や計測条件に合わせて適切なデータロガーの選択が重要です。
また、使用方法や設定方法にも留意することで、データロガーを効率的な活用が可能です。
適切なデータロガーを選択し、正確なデータ計測を行い、より高度な分析や研究につなげましょう。
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