着用努力義務化における自転車用ヘルメットの規格について|安全基準や注意点など
2023年4月1日から施行された自転車のヘルメット着用の努力義務化。外を走る自転車を見ていても、ヘルメットの着用が進んでいるとはまだ言い難い現状です。
今後はヘルメット着用が普及していくと思われますが、着用するのに決まった規格はあるのか気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本記事では自転車用のヘルメットの安全基準について解説するとともに、規格品を着用するメリット、注意点についても解説していきます。
ぜひ、参考にしてください。
目次
自転車のヘルメット着用の努力義務化について
2023年4月1日から、自転車に乗る際のヘルメット着用が努力義務化されました。
これは、自転車事故による死亡や怪我を減らすための取り組みであり、自転車に乗る人々の安全を確保するための重要な政策です。
努力義務化によって、自転車に乗る際にヘルメットを着用しない場合に罰金が科せられるという誤解がありますが、現在は罰則はありません。
ただし、今後罰則が導入される可能性もあるためしっかりと規制に則った行動が重要であり、各都道府県によっては独自の規制を設けている場合もあるので確認が必要です。
自転車に乗る際のヘルメットの着用は、自転車事故による怪我の軽減には非常に重要な役割を果たします。
しかし、より安全なヘルメットを選択するには、適切な規格品を選ぶ必要があります。
自転車用のヘルメットの規格について
自転車に乗る際のヘルメット着用が努力義務化されましたが、着用するヘルメットが規格外の場合でも罰則はありません。
ただし、自転車用ヘルメットにはさまざまな種類があり、それぞれの規格に適合したものの選択が望ましいとされています。
主な規格は下記の通りです。
- ・SGマーク
- ・JCF承認マーク
- ・CEマーク
- ・CPSC
- ・SNELL ほか
以下にてそれぞれ詳しく解説していくので自転車用ヘルメット選びの参考にしてください。
SGマーク
SGマークは、自転車用ヘルメットの安全性を示す日本の規格で、SGは「Safety Goods」の略称であり、安全性が認められた商品に付けられます。
SG規格自体は、日本の法律で定められた規格ではありませんが、多くのヘルメットに採用されているのです。
日本国内では日本産業規格(JIS)が有名ですが、JISと比較してもSGマークの方がより厳しい基準を設けています。
例えば、SGマークの取得には、横からの衝撃や低速度での衝撃に耐える必要があります。
また、ヘルメットの内側には、最低でも5mmのクッション材を使用しなければならず、サイズに合ったフィット感を確保することも求められるのです。
SGマークは、自転車用ヘルメットの中でも高い安全性を求める方にはおすすめの規格マークです。
しかし、他の規格と比べると採用されている商品が少なく、価格も高めの場合があります。
そのため、自分に合った規格や予算に合わせてヘルメットを選ぶことが大切です。
JCF承認マーク
JCF承認マークは、日本自転車競技連盟(JCF)が認定する規格であり、競技用自転車の安全性に対するJCFの認証を受けていることを示します。
JCF承認マークの取得には規定の安全基準を満たす必要がありますが、基本的に検査項目はSGマークと変わりありません。
JCFはヘルメットの頭部への衝撃や負荷に関する基準を設定しており、それらの基準を満たす製品に対してマークが付与され、競技用自転車に乗る際に必要な安全性の確保が可能です。
ただし、JCF承認マークが付いたヘルメットが必ずしも、一般的な自転車の乗車時の着用に適した規格であるとは言えません。
JCF承認マークは、競技用自転車で使用するヘルメットの安全性を保証している規格であり、一般的な自転車ではより厳格な基準を満たす規格が必要とされます。
したがって、市販の自転車に乗車する際の着用ヘルメットは、JCF承認マークだけでなく、適切な規格マークを持つ製品の選択が重要です。
CEマーク
CEマークは欧州での安全基準を示すマークであり、国際的にも広く認知されています。
日本の規格であるSGマーク同様、さまざまな製品の安全性を担保するため対象となる製品は細かく分類されており、自転車用のヘルメットはEN1078とされています。
EN 1078には、ヘルメットが満たすべき基準が記載されており、その内容は、耐衝撃性能、頭部へのフィット感、通気性、視界の確保などです。
CEマークが付いているヘルメットは欧州市場で販売するためには必須のマークですが、日本でも使用されております。ただしCEマークには、China Exportといった中国輸入のCEマークも存在するため、間違えないよう注意してください。
安全基準のCEマークはConformite Europeenneです。
CPSC
CPSC(Consumer Product Safety Commission)はアメリカ合衆国で安全基準を定める機関です。
アメリカ合衆国で販売される自転車ヘルメットには、CPSC規格を満たすことが求められます。
CPSC規格は、衝撃によって起こる頭部への損傷軽減が目的とされ、具体的にはヘルメットは特定の高さからの自由落下に耐えることが要求され、その際に加わる衝撃力が定められています。
また、ヘルメットの側面や後頭部、前頭部なども含めた全体的な保護力も評価されます。
CPSC規格を満たすヘルメットは、ヘルメットに記載されたマークによって判別することができ、貼付されたステッカーにCPSCのマークが記載されているのです。
CPSC規格を満たさないヘルメットはアメリカ合衆国では販売できないため、自転車に乗る際にはCPSC規格を満たすヘルメットを選ぶことが重要です。
CPSC規格を満たすヘルメットを着用することで、自転車事故による頭部損傷を軽減することが期待できます。
SNELLほか
SNELLは、アメリカの非営利団体であるSnell Memorial Foundationによって定められた自転車ヘルメットの安全基準であり、厳しい耐衝撃性、安定性、および制動性のテストを含んでいます。
なぜなら、SNELLのテスト自体がより高いレベルの保護を提供するように設計されています。
SNELLの認定を受けたヘルメットは、CEやCPSCよりも高い安全性が期待できますが、より高い基準を持つために、厳格なテストを通過しなければならないため高価な素材や技術が必要になる可能性があります。
そのため、SNELLの規格を満たすヘルメットは一般的に高価な傾向がある一方で、安心して着用できるヘルメットの一つです。
自転車でヘルメット着用の努力義務化後に規格外のヘルメットを着用すると
今回の2023年4月1日から自転車においてヘルメットの着用が努力義務化されましたが、努力義務化に伴って罰則規定は設けられておらず、規格外のヘルメットを着用した場合でも罰金が課せられることは現状ありません。
しかし、ヘルメットの目的は事故時の頭部保護にあります。
規格外のヘルメットは安全性が低く、保護能力が劣る可能性があります。
そのため、自転車でのヘルメット着用は、自己防衛のためにも安全なヘルメットの選択が必要です。
何のためにヘルメットを着用するのか?をしっかり考えましょう。
自転車で着用するヘルメットの主な規格の基準
自転車で着用するヘルメットの規格はいくつかの種類がありましたが、どの規格も基本的には検査の種類や合格の基準が同じように設定されています。
例えば、SGマークとJCF承認マークの検査基準が同様であるのと同じように、海外で使用されている規格も基本的に検査項目や合格の基準に変わりはありません。
実際には、より厳しい規格も存在しますが、最低限の安全性を確保するために規格を設けているので、どの規格でも大きく違いはないでしょう。
日本国内で流通しているヘルメットでも様々な規格の承認が下りている製品ばかりであり、中には規格の承認がない製品もあるので、その多くは販売元に責任のもと販売がされています。
自転車で着用するヘルメットを規格品にするメリット
自転車で着用するヘルメットには、前述したように各種の規格が存在します。
様々な規格がありますが、規格に準拠することで、下記のようなメリットがあります。
- 条件が有利になる保険がある
- 規格によって保証サービスが充実している
それぞれについて解説していきます。
条件が有利になる保険がある
自転車での事故による怪我や死亡に備え、自転車保険に加入することが一般的です。
しかし規格外のヘルメットを着用している場合、保険会社から保証が受けられない場合があります。
規格外のヘルメットが十分な保護機能を持っていないと判断されるためです。
一方、規格品であるヘルメットを着用している場合は、規格に合格した品質が保証されているため、保険会社からの保証を受けやすくなります。
さらに保険会社によっては、規格品を着用していることを条件にした保険商品も存在するため、規格品のヘルメットを着用することで、保険に関する条件が有利になる場合があることを覚えておきましょう。
規格によって保証サービスが充実している
規格品のヘルメットを着用することで、保証サービスが充実していることもあります。
例えば、規格に準拠したヘルメットを着用している場合、ヘルメットの損傷や交換時期についてアドバイスを受けることができます。
また、メーカーによってはヘルメット着用時に、ヘルメットに問題があった場合、保証が受けられる場合もあるのです。
さらに、規格品であるヘルメットは、製品自体に対して信頼性が高く、耐久性や安全性に優れているため、長期間の使用が可能です。
そのため、規格品のヘルメットを着用することで、自転車での安全性を高めるだけでなく、長期的なコスト面でも有利になる場合があることを理解しておきましょう。
まとめ:自転車でヘルメット着用の努力義務化への対応は規格品で行いましょう
現状、2023年4月1日から施策されている自転車のヘルメット着用努力義務化において、着用するヘルメットの種類に決まりはありません。
そのため、安全基準を示す一つの指標である各種規格を取得していないヘルメットを着用したとしても、罰金が課せられる心配はないです。
しかし、規格品のヘルメットを着用している場合、自分の身の安全を確保する点でも重要であり、保険や保障で特典を受けられる場合がある点を覚えておきましょう。
スリーアールソリューションではSG規格のヘルメットやオプション品などを取り扱っています。製品の詳細についてはこちらをご覧ください。