自転車ヘルメット義務化は全国の都道府県が対象!条例や補助制度も解説
道路交通法の改正に伴い、2023年4月から自転車ヘルメットの着用が全国で義務化されます。
しかし、自転車の利用方法については、これまで各都道府県の条例によって細かい内容が異なるため別々の対応が求められていました。
そのため「自分の住んでいる地域は自転車ヘルメットの着用が義務なの?」と疑問を抱いている方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで本記事では、自転車ヘルメットの着用義務化について、対象地域や注意点について詳しく解説します。都府県の事例も6つ紹介します。
さらに自転車ヘルメットの購入補助制度についても言及していますので、自転車ヘルメットの着用義務化について知りたい方はぜひ参考にしてください。
目次
自転車ヘルメット着用が全国の都道府県で義務化
自転車ヘルメットの着用義務化について、開始年月日や概要を確認しましょう。
道路交通法の改正によって2023年4月から着用が義務化される
自転車ヘルメットの着用が義務化されるのは、2023年4月1日からです。
改正前は13歳未満の幼児や児童のいる保護者に対して、自転車ヘルメットを着用させるよう努力義務がありましたが、改正後は自転車を利用するすべての人が対象となります。
道路交通法 (自転車の運転者等の遵守事項) |
第63条の11 第1項 第2項 第3項 |
自転車ヘルメットの着用義務化には、自転車乗車中の交通事故による死亡事故を減らす狙いがあります。
自転車事故の種類には、自動車との衝突、自転車同士の衝突、自転車単独の衝突などがありますが、いずれも運転者が自動車の車体や路面といった体より硬い物に体を打ちつけるのが特徴です。
そのため、自転車ヘルメットを着用しない場合、頭部に大きな外傷を負う可能性が高くなり死亡事故につながる可能性も高いのです。
ここで、警察庁交通局が作成した「令和3年における交通事故の発生状況等について」を確認してみましょう。
同資料の「自転車関連交通事故の状況」によると、2021年にヘルメットを着用せずに事故で亡くなった方は合計336人。主な損傷部位は、頭部が195人で58%、胸部が40人で11.9%。頚部が27人で8.0%と頭部がもっとも高い数値です。
また、ヘルメットを着用していた場合と着用していなかった場合で比較すると、非着用の方は着用者に比べて致死率が約1.6倍も上昇するというデータが出ています。
こうした背景もあり、自転車事故による死亡事故を防ぐのはもちろん、大切な体を守るために自転車ヘルメットの着用対象が拡大されたのです。
参考:警察庁公式サイト|令和3年における交通事故の発生状況等について
ヘルメットの着用義務化は全国の都道府県が対象
自転車ヘルメットの着用義務化は、全国の都道府県が対象です。
これまでも各都道府県自治体の議会によって、自転車の安全対策を盛り込んだ条例が定められてきました。条例は、一般的に定められた地域において効力を発揮します。
一方、今回の道路交通法改正は国が制定した法令に関する改定のため、全国の都道府県が対象です。
また、自転車ヘルメット着用は努力義務と定められています。自転車を運転するドライバーに対して、「自転車ヘルメットを着用するよう努力すること」が義務付けられるのです。
努力義務とは、「~するよう努めるもの」「~するよう努めなければいけない」と決められており個人の努力を義務付けるもの。違反しても罰則を科せられることはありませんが、自分の大切な体や周りの家族友人を心配させないためにも、特段の事情がない限り自転車ヘルメットは着用しましょう。
自転車ヘルメット義務化について都道府県の条例も確認
お住まいの地域によっては、道路交通法以外にも都道府県の条例によって自転車ヘルメットの着用が義務となっている地域があります。
自転車ヘルメットの着用以外にも、自転車保険への加入を義務と定めている地域もありますので、お住いの地域の条例も確認しておきましょう。
参考までに6つの都府県の条例を記載します。
東京都
東京都は、「東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」において、自転車ヘルメットの着用について以下の内容を定めています。
- ・自転車利用者は、反射材、自転車ヘルメットなどの交通事故の被害を軽減する器具を利用するよう努める
- ・保護者は、監護する18歳未満の者に対して、自転車ヘルメットの着用や反射材を利用させるなどの対策を行うよう努める
- ・高齢者の親族または同居している者は、自転車ヘルメットの着用や反射材の利用について助言するよう努める
同条例によって、自転車利用者や保護者に対して、自転車保険への加入が義務付けられています。未加入者への罰則は規定されていませんので、条例違反であっても罰則を科せられることはありません。
その他に、自転車利用に関して努力義務と定められている主な内容がこちらです。
- ・自転車の安全で適正な利用に必要な知識や技能を習得すること
- ・安全基準を満たす自転車を利用すること
- ・指針に従った自転車の点検整備
参照:都民安全推進部|東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例の概要
大阪府
大阪府は「大阪府自転車の適正な利用の促進に関する条例」において、自転車ヘルメットの着用について以下のように定めています。
- ・保護者は、監護する未成年者に対して、反射器材の備え付けや自転車ヘルメットを着用させるよう努める
- ・高齢者が自転車を利用する際は、自転車ヘルメットを着用するよう努める
大阪府は、自転車保険の加入を義務と定めていますので注意しましょう。
未加入者への罰則規定は設けられていないため、自転車保険に加入していなくても罰則を科せられることはありません。
自転車利用に関して、努力義務と定められている主な内容がこちらです。
- ・自転車の点検および整備
- ・夜間帯に利用する場合は、自転車の側面に反射器材を備える
埼玉県
埼玉県は「埼玉県自転車の安全な利用の促進に関する条例」において、自転車ヘルメットの着用について以下のように定めています。
・児童または生徒の保護者は、自転車ヘルメットの着用と自転車交通安全教育を行うことを努力義務とする
・高齢者の家族は、自転車ヘルメットの着用と自転車交通安全教育を行うことを努力義務とする
同条例には「自転車利用者は、自転車損害保険等に加入しなければならない」という旨の条文が記載されており、自転車利用者の自転車保険への加入は義務です。なお、未加入者への罰則規定はありません。
その他に、埼玉県が「自転車利用者の責務」として定めている内容がこちらです。
- ・法令の遵守と自転車の安全利用
- ・交通事故防止の知識の習得
- ・定期点検整備等の交通安全対策
- ・盗難防止のための施錠等の防犯対策
参照:埼玉県|埼玉県自転車の安全な利用の促進に関する条例について
愛知県
愛知県は「自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」において、2022年10月1日から、自転車利用者に対してヘルメット着用を努力義務として定めています。
交通事故による被害者保護のため、自転車保険への加入は義務となっていますので注意しましょう。
同条例によって努力義務と定められている主な内容がこちらです。
- ・自転車の点検整備等
- ・自転車の安全で適正な利用に関する教育の推進
参照:愛知県|自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例について
岐阜県
岐阜県は「岐阜県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例」において、2022年10月1日より、ヘルメットの着用を努力義務と定めています。自転車利用者全員が対象です。
自転車保険の加入は義務となっていますので注意しましょう。未加入者への罰則規定はありません。
同条例によって努力義務と定められている主な内容がこちらです。
- ・自転車の定期的な点検整備
- ・タイヤへの反射器材を装着するなどの交通防止に必要な対策を実施する
参照:岐阜県|岐阜県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例について
群馬県
群馬県は「群馬県交通安全条例」において、自転車ヘルメットの着用について以下のように定めています。
- ・自転車利用者は、自転車ヘルメットを着用するよう努めなければならない
- ・保護者は、監護(監督・保護)している未成年者に対して、自転車ヘルメットを着用させるよう努めなければならない
- ・小学校就学の始期に達するまでの者を乗車させるときは、自転車ヘルメットを着用させるよう努めなければならない
自転車保険への加入は義務となっていますので注意しましょう。上記の群馬県の公式サイトには、自転車保険に加入しているかチェックできる「自転車保険加入チェック表」が掲載されていますので、気になる方はチェック表で確かめてみてください。
都道府県によっては自転車ヘルメットの補助制度あり
都道府県によっては、自転車ヘルメットの購入に関する補助制度を設けています。
例えば愛知県半田市では、半田市に住所を有し住民基本台帳に記録されている児童生徒および高齢者を対象に、購入補助を公募していました。(参考:半田市自転車乗車用ヘルメット着用促進事業費補助制度について)
2022年2月末まで自転車ヘルメット1個につき購入費用の1/2(上限2,000円)の補助を実施。現在、申請期間は終了していますが2023年も継続予定と公式サイトでアナウンスされていますので該当する方は確認してみましょう。
自転車ヘルメットは必要経費になりますので、お住まいの市区町の公式サイトや市役所に問い合わせてみて補助制度がないか探してみてください。
ただし、補助を受けるためには安全基準を満たした自転車ヘルメットを選ぶことを要件とする地域が多くあります。また、予算に達すると予告なく公募終了ということもあり得ますので担当窓口などに確認しておきましょう。
都道府県の条例も確認して自転車ヘルメット着用義務化に対応する
自転車ヘルメット着用が義務化されるのは2023年4月1日から。
着用していなくても罰則を科せられることはありませんが、大切な体を守るために早めに自転車ヘルメットを用意しましょう。
また、条例違反を防ぐためにお住まいの地域の条例も確認することをおすすめします。
自転車ヘルメットの購入補助がないか確かめておくと、費用の負担を抑えて自転車ヘルメットを購入できるでしょう。
自転車ヘルメットの着用義務化に対応して、日常生活で自転車を安全に利用してください。