建設現場の熱中症対策完全ガイド【2026年最新版】義務化・WBGT・おすすめグッズまで解説

建設業では、屋外や高温多湿な環境で作業する機会が多く、熱中症対策は作業員の安全を守るうえで欠かせません。
さらに、2025年6月1日から改正労働安全衛生規則が施行され、一定の暑熱環境で行われる作業について、熱中症のおそれがある労働者を早期に発見するための報告体制や、症状が現れた場合の対応手順を整備し、関係者へ周知することが事業者に義務付けられました。
そのため、建設現場の熱中症対策では、水分や塩分を用意するだけでなく、WBGT(暑さ指数)の測定、作業時間の調整、休憩場所の確保、作業前の体調確認、緊急時の連絡体制まで含めた取り組みが求められます。
本記事では、2026年時点の制度やガイドラインを踏まえながら、建設業で実施すべき熱中症対策と、現場で活用できる熱中症対策グッズについて解説します。
現場の熱中症対策を見直したい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
熱中症とは

熱中症とは、高温多湿な環境に長時間いることなどによって体温調節機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもった状態の総称です。
大量の発汗によって水分や塩分のバランスが崩れるほか、体内の熱を十分に外へ逃がせなくなることで発症します。
屋外だけでなく、風通しの悪い屋内や倉庫、工場、車内などでも発生する可能性があります。特に建設現場では、直射日光、地面や建材からの照り返し、身体を動かすことによる代謝熱、ヘルメットや作業服による熱のこもりなど、複数の要因が重なりやすいため注意が必要です。
熱中症の主な症状
熱中症の初期段階では、次のような症状が現れることがあります。
- めまい、立ちくらみ
- 大量の発汗
- 筋肉痛、筋肉のけいれん
- 手足のしびれ
- 気分の悪さ
症状が進行すると、頭痛、吐き気、嘔吐、強い倦怠感、集中力や判断力の低下などが見られます。
さらに重症化した場合は、呼びかけに対する反応がおかしい、まっすぐ歩けない、けいれんする、意識を失う、体が非常に熱いといった症状が現れることがあります。
本人が「大丈夫」と答えていても、受け答えや動作に異常がある場合は、作業を続けさせてはいけません。速やかに涼しい場所へ移動させ、身体を冷却するとともに、必要に応じて救急要請や医療機関への搬送を行いましょう。
熱中症が発生する主な要因
熱中症の発生には、「環境」「身体」「行動」の3つの要因が関係します。
環境に関する要因
- 気温や湿度が高い
- 直射日光が当たる
- 地面や建材からの照り返しが強い
- 風が弱い、または風通しが悪い
- 急に気温が上がった
身体に関する要因
- 暑さに慣れていない
- 睡眠不足や疲労がある
- 朝食を取っていない
- 発熱、下痢、二日酔いなどの体調不良がある
- 高齢者、持病のある人、肥満傾向の人
行動に関する要因
- 長時間にわたって作業を続ける
- 重量物を運ぶなど身体負荷の高い作業を行う
- 休憩を十分に取らない
- 水分や塩分の補給が不足している
- 通気性の低い服装や保護具を着用している
建設現場ではこれらの要因が同時に発生しやすいため、ひとつの方法だけでなく、複数の対策を組み合わせることが重要です。
2026年に建設業で求められる熱中症対策

2025年6月1日に改正労働安全衛生規則が施行され、職場における熱中症対策が強化されました。
また、2026年3月には厚生労働省によって「職場における熱中症防止対策のためのガイドライン」が策定され、職場で取り組むべき熱中症予防対策が整理されています。
建設業者は、従来の水分補給や休憩に加え、熱中症のおそれがある作業員を早期に発見し、重篤化を防ぐための体制を現場ごとに整える必要があります。
熱中症対策の義務化の対象となる作業
改正労働安全衛生規則において、熱中症対策強化の対象となるのは、次の条件に該当する作業です。
- WBGTが28度以上、または気温が31度以上の作業場
- 連続して1時間以上、または1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれる作業
建設現場では、夏季の屋外作業を中心に、この条件に該当するケースが多いと考えられます。
なお、WBGTが確認できない場合でも、気温31度以上で対象となる可能性があります。現場の安全管理を適切に行うためにも、WBGT測定器を用いて作業場所の暑熱環境を確認することが重要です。
事業者に義務付けられた3つの対応
対象作業を行う事業者には、主に次の対応が義務付けられています。
1.報告体制の整備
熱中症の自覚症状がある作業員や、熱中症のおそれがある作業員を見つけた人が、現場責任者などへ速やかに報告できる体制を整備します。
誰に、どのような方法で報告するのかを明確にし、連絡先や連絡手順を作業員全員に周知しておくことが必要です。
2.対応手順の作成
熱中症のおそれがある作業員を確認した場合に備え、あらかじめ対応手順を作成します。
対応手順には、次のような内容を盛り込みます。
- 作業から離脱させる
- 涼しい場所へ移動させる
- 衣服を緩めて身体を冷却する
- 一人にせず、状態を継続して確認する
- 必要に応じて医師の診察や処置を受けさせる
- 緊急連絡先や搬送先医療機関を確認する
体調が回復したように見えても、自己判断で作業へ復帰させないことが重要です。
3.関係者への周知
整備した報告体制や対応手順は、掲示、朝礼、書面、社内連絡ツールなどを活用し、関係する作業員へ周知します。
現場に複数の会社が入る場合は、元請会社だけでなく、協力会社や一人親方を含めた関係者間で情報を共有することが大切です。
「グッズを配るだけ」では十分ではない
空調ウェアや冷却グッズ、水分、塩分補給用品を配布することは有効な対策です。しかし、それだけで法令上必要な対応をすべて満たせるわけではありません。
熱中症対策では、次のような仕組みを組み合わせる必要があります。
- 作業環境の測定
- 作業員の体調確認
- 作業時間と休憩時間の調整
- 水分・塩分を補給できる環境の整備
- 異常を早期発見するための声かけ
- 緊急時の報告・対応体制の整備
- 熱中症に関する教育
熱中症対策グッズは、こうした管理体制を補助するための手段として活用しましょう。
建設現場で実施すべき具体的な熱中症対策

建設現場では、現場の環境や作業内容に合わせて対策を組み合わせることが重要です。
ここからは、2026年時点で押さえておきたい具体的な熱中症対策を紹介します。
WBGT(暑さ指数)を測定する
熱中症の危険性を判断するときは、気温だけではなく、WBGT(暑さ指数)を活用します。
WBGTとは、気温、湿度、日射や地面からの照り返しなどの輻射熱を考慮した指標です。気温が同じでも、湿度や日差し、風の状態によって身体が受ける熱ストレスは異なります。
そのため、建設現場では一般的な温度計だけでなく、黒球を備えたWBGT測定器を使用し、実際の作業場所に近い環境で測定することが望まれます。
測定結果は確認するだけで終わらせず、あらかじめ現場の運用ルールと結び付けておきましょう。
- 一定のWBGTを超えたら休憩回数を増やす
- 作業時間を短縮する
- 身体負荷の高い作業を中止または延期する
- 日陰や屋内で行える作業へ切り替える
- 作業員への声かけや体調確認を増やす
WBGTの測定と、測定結果に応じた行動基準をセットで決めることが重要です。
作業時間と休憩時間を調整する
気温やWBGTが高い時間帯に、身体負荷の高い作業を集中させないようにします。
早朝など比較的涼しい時間帯へ作業を移動できる場合は、工程を調整することも対策のひとつです。また、炎天下で連続して作業させず、定期的に休憩を取れるようにします。
休憩時間や回数は一律ではなく、次の条件を考慮して決めましょう。
- WBGTや気温、湿度
- 直射日光や照り返しの有無
- 作業内容と身体負荷
- 着用している作業服や保護具
- 作業員の体調や暑さへの慣れ
工程の遅れを避けるために休憩を減らすと、熱中症による作業中断や労働災害につながる可能性があります。安全を優先した作業計画を立てましょう。
涼しい休憩場所を確保する
休憩場所は、直射日光を避けられるだけでなく、身体にこもった熱を下げられる環境であることが重要です。
可能であれば、冷房を備えた休憩所や車両を用意します。冷房設備の設置が難しい場合は、テント、日よけ、送風機、スポットクーラー、ミストなどを活用しましょう。
休憩場所には、次のものを用意しておくと安心です。
- 飲料水や経口補水液
- 塩分補給用品
- 保冷剤や氷
- 冷却用のタオル
- 身体を横にできるスペース
- 緊急連絡先と搬送先の情報
水分と塩分を計画的に補給する
のどの渇きを感じてから水分を取るのではなく、作業前や休憩時に定期的に補給できるようにします。
大量に汗をかく作業では、水だけを大量に飲むのではなく、塩分を含む飲料や食品を適切に利用することも必要です。
ただし、持病や服薬状況によっては水分や塩分の摂取に注意が必要な場合があります。健康上の制限がある作業員については、本人や産業医などと事前に確認しておきましょう。
また、管理者から一方的に補給を呼びかけるだけでなく、現場に飲料を配置し、作業員が補給しやすい状態を整えることが大切です。
作業開始前に体調を確認する
熱中症は、当日の気温だけでなく、睡眠不足、疲労、食事、飲酒、発熱、下痢などの体調にも影響されます。
朝礼や点呼の際に、次のような項目を確認しましょう。
- 睡眠を十分に取れたか
- 朝食を取ったか
- 発熱、下痢、吐き気などがないか
- 前日の飲酒が残っていないか
- 強い疲労感がないか
- 熱中症リスクに関係する持病や服薬がないか
健康管理シートやデジタルツールを使用して記録する方法もあります。ただし、数値を記録すること自体を目的とせず、異常が見られた場合に作業内容を変更する、休ませる、責任者へ報告するといった判断につなげることが重要です。
単独作業をできるだけ避ける
熱中症は、初期段階では本人が異常に気付かなかったり、判断力が低下して正しく報告できなかったりする場合があります。
高温環境での単独作業はできるだけ避け、複数人で互いの体調を確認できる体制を整えましょう。
単独作業を避けられない場合は、定時連絡、無線、スマートフォン、ウェアラブル機器などを活用し、一定時間ごとに状態を確認できる方法を設けます。
作業員同士で声をかけ合う
熱中症のおそれがある作業員を早期に発見するためには、周囲からの声かけが有効です。
次のような変化が見られた場合は、本人の申告を待たずに作業を中断させましょう。
- 返事が遅い、受け答えがおかしい
- ふらついている
- 急に作業効率が落ちた
- ぼんやりしている
- 顔色が悪い、または異常に赤い
- 大量に汗をかいている、または暑いのに汗をかいていない
「具合が悪ければ自分で申告する」という運用だけでは、発見が遅れる可能性があります。現場全体で互いの変化を確認する意識を持ちましょう。
暑熱順化を行う
暑熱順化とは、身体を徐々に暑さへ慣らしていくことです。
梅雨明け直後や、長期休暇明け、新しく現場へ入った直後などは、暑さに十分慣れておらず、熱中症のリスクが高くなることがあります。
暑さに慣れていない作業員については、最初から通常と同じ作業量を任せるのではなく、作業時間や身体負荷を抑えながら、段階的に作業量を増やしていきましょう。
暑熱順化には個人差があるため、日数だけで一律に判断せず、本人の体調や作業経験を確認することも必要です。
作業服や保護具を見直す
建設現場では、安全上の理由からヘルメットや保護具を外せない場合があります。そのため、保護性能を確保しながら、できるだけ熱がこもりにくい装備を選ぶことが大切です。
- 通気性や速乾性に優れた作業服を選ぶ
- 空調ウェアを活用する
- 遮熱性のあるヘルメット用品を使用する
- 冷却ベストやネッククーラーを活用する
- 汚れや目詰まりによって通気性が低下していないか確認する
なお、空調ウェアは高温多湿の環境や、十分に水分を補給できていない状態では効果が限定される場合があります。着用しているから安全と判断せず、WBGT管理や休憩、水分補給と組み合わせましょう。
熱中症発生時の対応を訓練しておく
対応手順を作成していても、作業員が内容を理解していなければ、緊急時に行動できません。
朝礼や安全教育の際に、次の内容を定期的に確認しましょう。
- 異常を感じた場合の報告先
- 熱中症のおそれがある人を見つけた場合の連絡方法
- 休憩所や冷却用品の場所
- 救急車を呼ぶ判断
- 現場の住所や進入口
- 搬送先となる医療機関
特に、広い現場や出入口が複数ある現場では、救急車をどこから誘導するのかまで決めておくと、搬送時の混乱を抑えられます。
熱中症のおそれがある作業員を発見した場合の対応
作業員に熱中症が疑われる症状が見られた場合は、早期の対応が重要です。
- 直ちに作業を中止させる
- 冷房のある場所や日陰など、涼しい場所へ移動させる
- 衣服を緩め、首、脇の下、足の付け根などを冷やす
- 意識がはっきりしていて、自力で飲める場合は水分や塩分を補給させる
- 一人にせず、状態を継続して確認する
- 必要に応じて救急車を要請し、医療機関へ搬送する
意識がない、受け答えがおかしい、自力で水分を飲めない、けいれんしている、身体が非常に熱いといった場合は、重症の可能性があります。
無理に飲み物を飲ませず、速やかに救急車を要請してください。
また、体調不良者を一人で帰宅させることは避けましょう。症状が悪化する可能性があるため、医療機関の受診や付き添いを含めて対応します。
建設現場で活用できる熱中症対策グッズ
建設現場の熱中症対策グッズには、身体を冷却するものだけでなく、暑熱環境を測定するものや、休憩環境を改善するものなどがあります。
- WBGT測定器
- 空調ウェア
- 冷却ベスト、ペルチェ式冷却ウェア
- ネッククーラー、冷却タオル
- 保冷剤、氷のう
- ヘルメット用遮熱用品
- スポットクーラー、送風機
- ミストファン
- 経口補水液、スポーツドリンク
- 塩分補給用品
- ウェアラブル型の体調管理機器
どの製品を選ぶ場合も、製品を導入しただけで熱中症を完全に防げるわけではありません。
現場のWBGTや作業内容を確認し、休憩、水分補給、体調管理、緊急時対応などと組み合わせて使用しましょう。
建設現場のWBGT管理におすすめの黒球式熱中症指数モニタ
建設現場の熱中症対策では、作業員の感覚や天気予報だけに頼らず、実際の作業場所におけるWBGTを確認することが重要です。
スリーアールソリューションでは、直射日光や地面からの照り返しなどの輻射熱を検知できる、黒球式の熱中症指数モニタを取り扱っています。
ヘルメットに装着できる「3R-BHM02」
黒球式熱中症指数モニタ 3R-BHM02は、黒球式センサによってWBGT、気温、湿度を測定できる携帯型の熱中症指数モニタです。
ヘルメットへの装着に対応したバンドが付属しており、作業員の頭部に近い位置で暑熱環境を確認できます。
WBGTに応じて「注意」「警戒」「厳重警戒」「危険」の4段階で警告を表示。アラーム音でも危険度を知らせるため、作業中に画面を常に確認できない場面でも、熱中症リスクの把握に役立ちます。
- 黒球式センサでWBGTを測定
- ヘルメット装着用バンド付き
- 4段階の警告表示とアラーム機能
- JIS B 7922:2023準拠
- 精度区分クラス2
粉塵や水しぶきに強いIP65モデル「3R-BHM04」
黒球式熱中症指数モニタ 3R-BHM04は、黒球式センサでWBGT、気温、湿度を測定できる、防塵・防水性能IP65の熱中症指数モニタです。
粉塵が発生しやすい場所や、水しぶきがかかる可能性のある現場でも使用しやすく、建設現場、工場、倉庫、屋外イベントなど、幅広い環境での暑熱管理に活用できます。
3R-BHM02と同様に、WBGTに応じた4段階の警告表示とアラーム機能を搭載。数値だけでなく、表示と音によって危険度を直感的に確認できます。
- 黒球式センサでWBGTを測定
- 粉塵や水しぶきに強いIP65
- 4段階の警告表示とアラーム機能
- JIS B 7922:2023準拠
- 精度区分クラス2
3R-BHM02と3R-BHM04の選び方
作業員が身に着け、頭部付近の環境を測定したい場合は、ヘルメット装着用バンドが付属する3R-BHM02が適しています。
一方、粉塵や水しぶきが発生する現場で使用する場合は、防塵・防水性能IP65を備えた3R-BHM04がおすすめです。
| 製品 | 主な特徴 | おすすめの用途 |
|---|---|---|
| 3R-BHM02 | ヘルメット装着用バンド付き | 作業員が携帯し、頭部付近のWBGTを確認したい現場 |
| 3R-BHM04 | 防塵・防水性能IP65 | 粉塵や水しぶきが発生する建設現場、工場、屋外作業 |
現場環境や使用方法に合わせて、適したモデルをお選びください。
まとめ:2026年の建設業ではWBGT管理と緊急時の体制整備が重要

建設現場では、直射日光や地面からの照り返し、身体負荷の高い作業、保護具の着用などによって、熱中症のリスクが高くなります。
2025年6月1日からは、一定の暑熱環境で行われる作業について、熱中症のおそれがある作業員を早期に発見するための報告体制、症状が現れた場合の対応手順、関係者への周知が事業者に義務付けられました。
2026年の建設業における熱中症対策では、次の取り組みが重要です。
- WBGTを測定し、数値に応じて作業内容を調整する
- 定期的に休憩し、水分と塩分を補給する
- 作業前に体調を確認する
- 暑さに慣れていない作業員の負荷を軽減する
- 作業員同士で声をかけ合う
- 熱中症発生時の報告・対応手順を整備する
- 冷却用品やWBGT測定器を適切に活用する
熱中症対策グッズは、現場の安全管理を支える有効な手段ですが、グッズだけに頼るのではなく、測定、休憩、体調管理、緊急時対応を組み合わせることが大切です。
スリーアールソリューションでは、ヘルメットへ装着できる黒球式熱中症指数モニタ 3R-BHM02と、防塵・防水性能IP65を備えた黒球式熱中症指数モニタ 3R-BHM04を取り扱っています。
建設現場や工場、倉庫などのWBGT管理を検討されている方は、使用環境に合った製品をご確認ください。
