デジタル顕微鏡とは?光学顕微鏡との違いや種類・用途など
微生物や細胞などの詳細な研究を行う際に高性能な機能を有しているため、使い勝手がいいのがデジタル顕微鏡です。
顕微鏡はデジタルタイプ以外にも、可視光線や対物レンズによって検体物を観察する光学顕微鏡があります。
なかにはデジタル顕微鏡の購入を検討しているが、光学顕微鏡との違いがわからずに悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
デジタル顕微鏡と光学顕微鏡の違いを理解することで、各検査機器の特徴や用途が把握できるため、研究業務などの効率化に大きく役立てることができます。
今回は、光学顕微鏡との違いやデジタル顕微鏡の特性や使い方、種類などについて解説します。
今回の内容を参考に、各事務所や研究所に最適なタイプのデジタル顕微鏡を選んでください。
目次
デジタル顕微鏡とは
デジタル顕微鏡は、接眼レンズを使用して覗きこむことなく、搭載されたカメラモニターに映し出された映像を確認できるタイプの顕微鏡です。
従来タイプの光学顕微鏡の特徴でもある「接眼レンズ」を覗きこむ必要がなく、代わりに搭載されたカメラが自動で検体にピントを合わせてくれるため、目への負担を減らしたり作業効率が高まったり、スムーズに研究・観察業務を進められます。
デジタル顕微鏡は別名、デジタルマイクロスコープとも呼ばれており、搭載されているデジタルカメラは高解像度タイプの顕微鏡が一般的。
倍率は低倍率の0倍〜高倍率の5,000倍まで幅広く対応できるほか、さらに高い倍率の顕微鏡になると、1万倍を超えるものも珍しくありません。
現在では、業種・業界を問わずにさまざまな大手の精密機器メーカーや各研究所で利用されています。
精密な研究に向いているデスクタイプから、屋外に持ち出して気軽に研究できるハンディタイプまで、用途ごとに応じて使い分けられるのもデジタル顕微鏡の魅力です。
デジタル顕微鏡と光学顕微鏡の違い
デジタル顕微鏡と光学顕微鏡はどちらも光学レンズを使用して検体物を観察しますが、最大の違いは接眼レンズの代わりに搭載されたカメラの有無です。
前項で解説したように、デジタル顕微鏡には接眼レンズの代わりに解像度の高いデジタルカメラが搭載されているため、レンズを覗きこむ必要がなくなり作業効率を大幅に向上してくれます。
電子モニターに映し出すことにより、検体の状況を複数人でシェアできるのも、デジタル顕微鏡の特徴といえるでしょう。
また、デジタル顕微鏡には、モニターが付いているタイプと付いていないタイプがあります。
一方、光学顕微鏡は光学レンズと接眼レンズの2種類を使用して検体を拡大観察する機器です。
一般的には小学校・中学校・高校などの理科室に置いてあるようなタイプであり、以下のような機器が販売されています。
- 実体顕微鏡:低倍率〜中倍率の観察に使用する
- 倒立顕微鏡:中倍率〜高倍率の観察に適しており、倍率はレボルバで変更するタイプ
- 金属顕微鏡:中倍率〜高倍率の研究に適している
デジタル顕微鏡の種類
光学顕微鏡が主に3種類(実体顕微鏡・倒立顕微鏡・金属顕微鏡)に分類されるように、デジタル顕微鏡も複数タイプに分けることができます。
デジタル顕微鏡は以下の2タイプに分類されます。
- デスクタイプ
- ハンディタイプ
それぞれの特性を把握することで、各研究・検査に最適なデジタル顕微鏡を選べるため、研究業務の作業効率を向上できる可能性も高まります。
各タイプのデジタル顕微鏡を以下で詳しく解説するので、参考にして職場に適した機器を選んでください。
デスクタイプ
デスクタイプのデジタル顕微鏡は、卓上に設置して丁寧に時間をかけながら詳細な研究を行うのに適した顕微鏡です。
従来の電子顕微鏡のように、デジタル顕微鏡をデスク上に設置できるため、必要な資料や書類なども一緒に広げながら詳細な研究を行えます。
また、微生物や化学繊維・物質などの各種検体は、ステージ(台座)の上に置いて観察できるため、長時間・長期間にわたる研究・検査にも適しているといえるでしょう。
そのほか、高倍率によるズーム機能や、USBコードを接続してパソコンに調査対象物の映像映し出せる高性能なデジタル顕微鏡も販売。
なかには持ち運び可能なコンパクトサイズのデジタル顕微鏡もあり、携帯しながらその場に設置できるタイプも利便性が高いです。
また、Wi-Fiに接続してスマホなどの各種デバイスから映像を確認できるタイプも販売されているなど、さまざまな種類のデジタル顕微鏡が販売されています。
ハンディタイプ
ハンディタイプのデジタル顕微鏡は、野外調査などで気になる検体物を発見した場合でも、その場で簡易調査・観察できる対応力の高い機器です。
現場研究・調査などを頻繁に行う職業の場合、虫眼鏡やルーペを使用する感覚で比較的簡単に研究を行えます。
持ち運ぶことのできない検体が現場から発見された際でも、ハンディタイプのデジタル顕微鏡を使用すれば簡易的な研究・検査・観察が可能です。
対応力と携帯性が高く、さまざまな場所に持ち運べるため、現場検証・調査・測量などシーンでも活用できます。
一方、ハンディタイプは、簡易的な調査・観察を目的に開発されたデジタル顕微鏡であるため、デスクタイプ型のような本格的な調査には不向きです。
デジタル顕微鏡の選び方
デジタル顕微鏡は、前項で解説したとおり「デスクタイプ」と「ハンディタイプ」に分類できます。
そのほかデジタル顕微鏡を選ぶ際には、主に以下の項目を意識して選ぶと良いでしょう。
- 屋内外研究などのそれぞれの使用用途
- モニターの有無、画素数、倍率などの機能性・性能
- 給電方式や使用目的
目的や使用用途にそぐわない機能を備えた顕微鏡を選んでしまうと、使い勝手が悪かったり研究に時間がかかったりして効率が悪くなります。
実用性の高いデジタル顕微鏡を選ぶためにも、ぜひ以下の選定要素を参考にしてください。
屋内研究や屋外研究などの用途によって選ぶ
デジタル顕微鏡を選ぶ際には、屋内研究所や屋外研究所などの各種研究場所にそれぞれ適した機器があるため、用途ごとに応じたタイプを選ぶと作業効率が向上します。
屋内研究所やオフィスなどで使用する場合は、卓上に設置しながらの長時間調査に対応したデスク型を選択すると、詳細な研究データを採取できる可能性が高いです。
また、デスク型のデジタル顕微鏡のなかには、パソコンに接続してさらに大きなモニターで映像を確認できる機器も販売されているため、複数人のチームでディスカッションしながら研究を進めることもできます。
一方、屋外研究をメインに進める職場の場合は、ハンディタイプを選ぶことで観察場所を問わずに簡易的な研究・検査が行えます。
モニター画像の解像度、高倍率ズーム、精度などの全体的な性能はデスクタイプに比べてやや低いです。
しかし、ハンドタイプのデジタル顕微鏡はコンパクトに作られているため取り回しも軽く、操作性に優れています。
屋内、屋外によって、それぞれデジタル顕微鏡を選ぶ際に考慮すべき要素も変わってくるため、事前に用途を整理しておきましょう。
機能面や性能面による違いで選ぶ
デジタル顕微鏡を選ぶ際は、モニターの有無や倍率の違いなどの各種機能面や細かな性能の違いによって使用感が大きく異なるため、事前に機器の仕様をしっかりと確認することが大切です。
機能面や性能面によっては、レンズの観察倍率を自動で調節してくれるデジタル顕微鏡もあり1日に多くの検体を観察できたり、ステージよりも大きな検体を観察できたり、研究の幅を広げてくれるタイプの機器も販売されてります。
また、検体を自動測量するほかに自動記録、簡易的なレポート作成機能を搭載している高性能な機器も販売されているので、デジタル顕微鏡ごとの細かな性能などの違いも確認しましょう。
給電方法と使用目的を考慮して選ぶ
デジタル顕微鏡の給電方式は、屋外研究に適している電池式や充電式のバッテリータイプと、屋内研究向けの電源コード式に分かれているため、利用シーンの多い機器を選ぶことが大切です。
電池式・充電式バッテリータイプや電源コード式以外にも、「USB給電式」のデジタル顕微鏡があり、パソコンに接続して電源とモニターをシェアできるタイプも販売されています。
バッテリータイプであれば屋内外問わず使用できるため、研究・検査現場が毎回異なるような業種の方に適している機器です。
パソコンを使いながらの研究・検査が多い場合はUSB給電式が向いているなど、給電方式と使用目的の相性も考慮しながら選びましょう。
そのほか、バッテリーの連続稼働時間や、使用されている電池の入手のしやすさなども購入前に確認しておくと安心です。
デジタル顕微鏡の価格相場
デジタル顕微鏡は、デスクタイプとハンディタイプなどのタイプによる違いや、そのほか機能面や性能などの違いに応じてピンキリの価格で販売されているため、一様に価格相場を明言できません。
ハンドタイプのデジタル顕微鏡の場合、デスクタイプと比較して簡易的に製造されているため、10,000円以下で購入できる機器も豊富に揃っています。
一方、自動記録、測量・計測、レポート作成、自動ズーム機能などの高性能型として開発されたデスク型のデジタル顕微鏡のなかには、10万円以上するデジタル顕微鏡も珍しくないです。
目的や使用用途に応じて、細かくデジタル顕微鏡を探すことにより50,000円前後の比較的安価なデスクタイプを探すこともできるため、それぞれの業務に適した機器を選ぶようにしましょう。
なお、日頃から観察などの研究業務を頻繁に行なったり各種欠かすことのできない研究業務の効率化を図ったり、高性能なデジタル顕微鏡を求める際は価格が高くなってしまいます。
しかし同時に、使用頻度が高ければハイスペックな機能を備えた機器を購入した方がコストパフォーマンスも高くなるため、日頃からのデジタル顕微鏡の使用頻度なども考慮しながら選ぶと、大きな失敗がありません。
デジタル顕微鏡の使用に向いている事業者
デジタル顕微鏡は、屋外での研究などに適したハンディタイプや詳細な研究に向いているデスクタイプの機器など、幅広い事業者に対応できます。
各事業で行う研究内容に合わせて、最適なデジタル顕微鏡を選ぶことにより日々の業務もスムーズに進ため、ぜひ参考にしてください。
屋外のあらゆる状況に対応できるデジタル顕微鏡を使用したい事業者
屋外で発生するさまざまな状況を考慮して、あらゆるフィールドで研究・観察を行いたい事業者には、ハンドタイプのデジタル顕微鏡が適しています。
ハンドタイプのデジタル顕微鏡であれば、電池式・充電式のバッテリー駆動型の機器をあらゆる屋外場に持ち運びできるため、緊急性の高い研究にも柔軟に対応うできるでしょう。
また、使用前後のバッテリー状況を意識しながら使用することで、重要な場面での電池切れの発生を心配する必要もありません。
万が一バッテリー残量の確認ミスで電池が切れても、デジタル顕微鏡ケースなどのポータブルセット一式の中に予備電池やモバイルバッテリーなどを用意しておくことで防げます。
ハンドタイプのデジタル顕微鏡は、あらゆる状況下でも柔軟に対応できるため、屋外研究・観察が比較的多い事業者に適している機器です。
屋内で詳細な研究などが行えるデジタル顕微鏡を使用したい事業者
屋内で長時間にわたる詳細な研究などを行いたい事業者は、卓上に設置しながら検体をじっくりと研究・観察できるデスクタイプのデジタル顕微鏡がおすすめです。
デスクタイプのデジタル顕微鏡は、一般的にはコード式電源により卓上に設置しながら、詳細なデータを多く収集する目的でハイスペックに作られています。
そのため、ハンディタイプよりも取り回し性が劣る反面、大画面モニターに検体映像を投影しながらチームディスカッションできたり自動ズーム機能などのあらゆる高性能な機能を有していたり、高度な研究・観察に適した機器なのです。
そのほか、顕微鏡メーカーによっては検体を置くためのステージ(台座)をカスタマイズして、各研究目的に応じた性能を追加できる機器もあります。
また、ステージタイプによっては検体の大きさに関係なく観察できる機器もあるため、研究したい検体が多岐にわたる場合は確認しておきましょう。
デスクタイプのデジタル顕微鏡は、屋内研究で詳細な情報収集や観察を行いたい事業者に適している機器であり、各メーカーによっても備える性能が異なるので、研究内容に応じた種類を選ぶと作業がスムーズです。
まとめ:スリーアールソリューションでは様々な用途でデジタル顕微鏡を導入しています
弊社スリーアールソリューション株式会社でも、ワイヤレスタイプや液晶モニター付き、頭皮血流観察用などのさまざまなデジタル顕微鏡を導入しています。
以下では、スリーアールソリューションで提供しているデジタル顕微鏡の実用例を紹介いたします。
導入事例 | ||
事業者 | 製品名 | 用途 |
アートネイチャー様
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育毛サロンにてカウンセリングに使用
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Felico様 | 3R-WM401WIFI WIFI接続ワイヤレスデジタル顕微鏡 200倍 |
ヘッドスパのカウンセリング時に頭皮を観察
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自社ネジ製造 | オートフォーカスマイクロスコープ VIEWTY | ネジの溝が均等に製作されているか、溝とワークの接触部分が均等かの確認 |
そのほか多数導入事例があります。
アダプタやステージ、ストラップなどの周辺アイテムも取り扱っております。
今回ご紹介したデジタル顕微鏡と光学顕微鏡の違いや、各事業者に適した機器の選び方などを参考に、最適な顕微鏡を選んで研究を充実させてください。