アルコールチェッカーの仕組みとは?選び方や使用方法も解説
2022年4月からは目視でのアルコールチェックが義務化となり、今後アルコールチェッカーでの飲酒有無の確認が義務付けられる予定です。
アルコールチェッカーをまだ導入していない事業者は、アルコールチェッカーの仕組みや選び方、使用方法を知っておかなければなりません。
この記事では、アルコールチェッカーでアルコールが検知できる仕組みを解説します。
また、アルコールチェッカーの感知センサーの種類や使用方法、さらにアルコールチェッカーの選び方まで紹介しますので、アルコールチェッカー導入予定の事業者の方はぜひ参考にしてみてください。
目次
アルコールチェッカーとは
体内のアルコール濃度を測定する方法は、一般的に「血液採取」と「呼気採取」の2つがありますが、事業所内で使用する場合には、「呼気採取」が用いられることがほとんどです。
事業所内で使用するアルコールチェッカーとは、測定する機器に息を吹きかけることで体内のアルコール濃度を数値化してくれる機器のことを言います。
目視だけでは判断できない少しの飲酒でも検知してくれるため、安全な運転業務を行うために必要不可欠な機器です。
アルコールチェッカーでアルコールが検知できる仕組み
呼気で飲酒の有無を確認するアルコールチェッカーは、どのような仕組みでアルコールを検知しているのでしょうか。
アルコールチェッカーに搭載されているアルコール感知センサーが、呼気に含まれたアルコールを測定する仕組みでアルコールを検知しています。
そもそもアルコールは、飲酒量の20%程度は胃、残りのアルコールは小腸上部から約1~2時間でほぼすべて吸収されます。
吸収されたアルコールは肝臓で分解され、分解しきれなかったアルコールは血液とともに全身をめぐり、再び肝臓に戻って分解が行われる仕組みです。
血液とともに全身をめぐり、肺にたどりついたアルコールの一部が呼気として排出されるため、呼気中にもアルコールが含まれるため、アルコールチェッカーでアルコール成分を検知できる仕組みになるのです。
アルコールチェッカーの感知センサーの種類
アルコールチェッカーには、
- 半導体式ガスセンサー
- 電気化学式(燃料電池式)センサー
上記2つの感知センサーがあります。
では、それぞれの違いを見ていきましょう。
半導体式ガスセンサー
半導体式ガスセンサーとは、センサー表面に付着する酸素量によってセンサー内部の電気抵抗値が変化する仕組みを持つセンサーのことです。
飲酒時にはアルコールの影響で酸素量が減少し、電気抵抗値が低くなります。
つまり、呼気によって電気抵抗値を測定し、電気抵抗値が低いほど体内のアルコール濃度が高いと判定するセンサーであることになります。
半導体式センサーのメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット |
・価格が安い
・小型のため、持ち運びしやすい ・測定時間が短い |
デメリット |
・アルコール以外の成分にも反応してしまう
・測定環境の影響を受けやすい |
電気化学式(燃料電池式)センサー
電気化学式(燃料電池式)センサーとは、呼気に含まれるアルコールを燃料として電気を発生させ、アルコール濃度を測定する機器のことを言います。
電気の発生量が多いほど呼気中のアルコール濃度が高いと判定される仕組みです。
電気化学式(燃料電池式)センサーのメリット・デメリットは以下の通りです。
メリット |
・精度が高い
・耐久性がある ・周囲の環境の影響を受けにくい |
デメリット |
・価格が高い
・測定に時間がかかる ・点検やメンテナンスに費用がかかる |
半導体式センサーと電気化学式(燃料電池式)センサーのメリット・デメリットを考慮し、選択する必要があります。
アルコールチェッカーの使用方法
アルコールチェッカーには、
- 吹きかけタイプ
- ストロータイプ
- マウスピースタイプ
の3つがあります。それぞれの測定方法を紹介します。
①吹きかけタイプ
機器本体の吹き込み口に息を吹きかけ、アルコール値を測定するタイプです。
②ストロータイプ
機器にストローを差し込み、ストローを咥えて息を吹き込み、アルコール値を測定するタイプです。
吹きかけタイプと比較し、息が直接機器にかかるため、精度が高いです。
③マウスピースタイプ
アルコールチェッカー専用のマウスピースを使用し、息を吹き込こむタイプです。
周囲の空気の影響を受けにくいため、精度が高いと言われています。
アルコールチェッカー使用時の注意点
アルコールチェッカーを使用する際には、
- アルコールを含むものを飲食しない
- 日常点検・メンテナンスを行う
という2つの注意点があります。
1つずつ解説していきます。
アルコールを含むものを飲食しない
アルコールチェッカーを使用する前に、アルコールを含むものを飲食すると検知してしまいます。
ビールやチューハイ、養命酒などを飲酒することはもってのほかですが、微量のアルコールを含むエナジードリンクやノンアルコールビールを摂取した場合にも反応する場合があります。
特にノンアルコールビールには注意が必要です。
ノンアルコールビールは、含有アルコール量が1%未満の飲料と定義されています。
ノンアルコールビールを摂取する場合には、「0.00%」と表記のあるものを選ぶようにしましょう。
また、キムチや味噌汁などの発酵食品を喫食した後や、喫煙や歯磨きの後、ミント系ガムを噛んだ後などに反応を起こす可能性もあるため、注意してください。
日常点検・メンテナンスを行う
アルコールチェッカーには寿命があり、永久的に使用できるものではありません。
近年売られているアルコールチェッカーは精度が高く、不具合が起きづらいと言われていますが、日々使用している間に感度は劣化していきます。
アルコールチェッカーの寿命はセンサーの劣化によるもので、製品によりますが「1年〜1年半の使用回数」もしくは「規定回数の使用」となっています。
たとえば、弊社スリーアールソリューションで取り扱っている製品の寿命は約3,000回の使用回数です。
■関連記事:アルコールチェッカーの寿命は何年?買い替え時期も解説!
寿命を迎えるまで、できるだけ不具合を起こさず正常に作動させるためには、日常点検や定期メンテナンスが必須です。
それでは、具体的にどのような点検・メンテナンスをすればいいのかを見ていきましょう。
日常点検
日常点検では、以下の内容を確認してください。
毎日の確認 |
・電源が入るか |
・損傷がないか |
週1回以上の確認
|
・酒気を帯びていない者が使用した場合に、アルコールを検知しないか
|
・アルコールを含有する液体又はこれを希釈したものを、
口内に噴霧した上でアルコール検知器を使用した場合に、アルコールを検知するか |
定期メンテナンス
定期メンテナンス方法は機器によって異なります。付属の説明書をよく読み、正しくメンテナンスしましょう。
たとえば、表示画面やセンサー部のお手入れです。
アルコールで除菌せず、乾いた柔らかい布などで拭くようにしましょう。
アルコールチェッカーの選び方
安全な運転業務を行うために使用が義務化されるアルコールチェッカーは、さまざまなメーカーから販売されています。
では、どのようにアルコールチェッカーを選べばいいのでしょうか。
測定精度で選択する
運転業務を安全に行うために使用するアルコールチェッカーですから、できるだけ精度の高いものを選ぶべきでしょう。
アルコールチェッカーでのアルコールチェックを怠ったとしても罰則はありませんが、酒気帯び運転や酒酔い運転を行った場合、運転者にも事業者にも罰則が科せられます。
万が一のことがないように、精度の高い電気化学式(燃料電池式)センサーを選ぶことをおすすめします。
前述したように、アルコール以外の成分に反応することは少ないため、精度が高いと言えるでしょう。
価格は少し高くなりますが、精度の高さを重視するならば電気化学式(燃料電池式)センサーを選んだ方がよいです。
タイプで選択する
アルコールチェッカーには、据え置きタイプ・携帯タイプがあります。
それぞれの特徴を見て、事業所や使用主に合うタイプを選びましょう。
据え置きタイプ
据え置きタイプは、事業所や営業所などに設置して使用するタイプです。
搭載している感知センサーの交換ができるため、中長期的に使用できます。
しかし、据え置きタイプは大きく重たいものが多いので、場所を移動して手軽に測定するといったことはできません。
携帯タイプ
携帯タイプは、かばんやポケットに入るほど小さく、持ち運びがしやすいタイプです。
出張時や直行直帰時など、事業所の据え置きタイプでアルコールチェッカーを使用できない場合に便利です。
しかし、使用回数が決まっているものが多く、買い替えの必要があります。
機能面で選択する
多くのメーカーから販売されているアルコールチェッカには、さまざまな機能が搭載されていることがあります。
例えば、クラウド保存タイプ。
Bluetoothでスマートフォンと連携し、アルコールチェックの結果や日時、場所、氏名、顔写真をクラウド上に保存できます。
出張や直行直帰など、遠隔地で検査をした場合でも、管理者は結果をすぐに確認できるため、非常に便利です。
これ以外にも、専用ソフトやパソコンと接続して検査結果を保存・管理できるタイプや、プリントアウト機能がついたタイプなど、さまざまな機能を持つアルコールチェッカーが製品化されています。
アルコールチェックは管理も大切であるため、保存・管理ができるタイプを選ぶのもよいかもしれません。
まとめ:アルコールチェッカーの仕組みを理解して正しい運用を!
アルコールチェッカーは、搭載されているアルコール感知センサーが、呼気に含まれたアルコールを測定するという仕組みでアルコールを検知していることがわかりました。
また、アルコールチェッカーには半導体式センサー電気化学式(燃料電池式)センサーがあり、使用環境などによって選択する必要があります。
アルコールチェッカーは、安全な運転業務を行うために欠かせないものです。
精度やタイプ、機能を考慮し、それぞれの仕組みや特徴を理解してアルコールチェッカーを選び、運用するように心がけましょう。