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温泉のpH値が人に与える効果|温泉分析書の見方や温泉法改正について

各温泉の温泉分析表などで必ず書かれる項目のひとつ、「pH値」。
pH値とは水溶液の中に含まれる水素イオン濃度を表す指数のこと。値は0から14まであり、基準になる中性が中間の7です。

7から0に向かって数字が小さくなるほど酸性になり、逆に7から14に向かって数字が大きくなるほどアルカリ性(塩基性)になります。

温泉のpHは泉質と同じくらい人の肌に大きな効果をもたらします。

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温泉によってpH値が変化する理由

温泉は「十湯十色」という言葉があるくらい種類が豊富で、厳密に言えば2つとして同じ泉質の温泉はありません。

温泉によって湧き出る元の山の性質や土の種類などで温泉として流れてくる水溶液の成分は異なるため、pH値をはじめ温度や浸透圧も各温泉によって異なります。

各温泉の性質は法で必須項目を定期的に調査し、適切な方法で公開することが義務付けられているのをご存じでしょうか?

一般の方でも知ることができるので、情報が公開されている「温泉分析表」の見方もご紹介します。

温泉分析書の見方

温泉分析表とは文字の通り温泉の成分を分析して成分の表示をしている表です。

温泉に含まれている塩分や硫黄などの成分や温度、浸透圧など専門機関によって分析された温泉成分を詳しくまとめられた書面なので温泉の性質が一目でわかるようになっています。

  • 温泉の施設内への掲示
  • 都道府県知事の登録を受けた分析機関が実施
  • 掲示内容を都道府県知事に届け出ること

が義務付けられており、温泉分析書は10年以内のものが有効とされています。

温泉法改正に伴う温泉分析の義務化について

2007年の温泉法改正によって、衛生上の観点や温泉利用者の温泉への信頼の観点から、温泉利用事業者には成分の定期的な分析が義務付けられています。

また温泉分析表は温泉施設内の表示が義務化されています。

大きく変わったポイントは10年ごとの分析が必須になったこと

他にも必須項目があるので紹介していきます。

10年ごとの分析が必須に

環境省の資料「温泉法改正のあらまし」によると、改正温泉法によって温泉成分の10年ごとの分析と、その結果に基づいた掲示内容の更新が義務付けられています。

10年は温泉分析表に表示されている分析終了年月日からカウントします。

2000年1月1日以前に前回の温泉成分の分析を行っている場合は、2009年までに温泉成分の分析とその結果に基づいた内容の掲示が必要です。

分析年月日が不明な場合も2009年までに温泉成分の分析と、その結果に基づいた内容の掲示をする義務があります。

また、2000年1月1日以降に前回の温泉成分分析を行っている場合は、温泉分析表に表示されている分析終了年月日から10年以内に温泉成分の分析と、その結果に基づいた内容の掲示をしなければなりません。

温泉分析の義務項目

  1. 温泉名
  2. 温泉の泉質
  3. 源泉および温泉を公共の浴用または飲用に供する場所における温泉の温度
  4. 温泉の成分
  5. 温泉の成分の分析年月日
  6. 登録分析機関の名称および登録番号
  7. 浴用または飲用の禁忌症
  8. 浴用または飲用の方法および注意
  9. 温泉に水を加えて公共の浴用に利用する場合はその旨およびその理由
  10. 温泉を加湿して公共の浴用に利用する場合はその旨およびその理由
  11. 浴槽等で使用された温泉を再び浴槽等で使用する場合はその旨(ろ過を実施している場合はその旨も含む)およびその理由
  12. 温泉に入浴剤を加え、または温泉を消毒して利用する場合は入浴剤の名称または消毒の方法およびその理由

温泉の泉質が変化した場合の対応について

温泉の泉質が変化した場合でも温泉法上の温泉に変わりはないので、利用許可の取り消しの必要はありません。

しかし、禁忌症等の掲示内容を変更する必要があるので、変更内容を各都道府県知事に届ける必要があります。

pHが高いアルカリ性(塩基性)の温泉の特徴や傾向

ナトリウムやマグネシウム、カルシウムなどを含んでいるとアルカリ性の温泉になります。

日本では比較的多い泉質で、塩分が主成分となっているため、基本的には飲むと塩味がしますが、塩分濃度が濃い場合やマグネシウムが多い場合は苦味を感じることがあります。

一般的には、pH値が9または10以上から強アルカリ(塩基性)性の温泉です。

pHが高いアルカリ性(塩基性)の温泉が人に与える効果

アルカリ性(塩基性)は皮脂汚れを落とす石鹸などと同じpH値。アルカリ性(塩基性)の温泉は、肌の皮脂や油分を溶かして皮膚の汚れを落とす効果があります。

皮脂汚れが落ちることにより肌を綺麗でスベスベに柔らかく整えてくれるので、アトピー体質や敏感肌の人が症状を緩和できる効果があるほか、湯冷めしにくいのが特徴です。

一方で特にpHが10を超える強アルカリ性の温泉は、皮脂の油分が溶かされすぎて肌がカサカサになることもあるため、入浴後はシャワーや掛け湯などでしっかり体の湯成分を洗い流し、入浴後は化粧水などで保湿ケアをしたほうが良いでしょう。

また、温泉の成分だけで肌の皮脂汚れが落ちるため、体を洗う際は肌をゴシゴシと強く洗いすぎないように気をつけてください。

日本にあるpHが高いアルカリ性の温泉

長野・白馬八方温泉

長野県の北アルプスにある白馬八方温泉は、pHは11.2と日本随一の強アルカリ性(塩基性)の温泉です。

温泉が超塩基性の岩体を経て湧出ることからアルカリ性になると言われていますが、強アルカリ(塩基性)性である明確な理由はわかっていません。

また、日本で唯一溶存水素が含まれている温泉でもあります。

埼玉県・都幾川温泉

埼玉県の都幾川温泉は一軒宿の「とき川」で入ることのできる強アルカリ性(塩基性)の温泉です。

pHは11.3で、日本一のアルカリ性(塩基性)の温泉として「高校化学Ⅰ」の教科書にも掲載されています。

泉質は ナトリウムやカルシウム、および炭酸やメタケイ酸イオン濃度が高いのが特徴です。

神奈川県・飯山温泉

神奈川県の厚木市にある飯山温泉はpHは11.3で、泉温が17.5~18.5℃と低いことが特徴です。

pHが低い酸性の温泉

一般的に酸性の温泉は硫黄や塩酸や硫酸、および緑礬(りょくばん)、明礬(みょうばん)などの成分が温泉に含まれ、火山地帯の火山性の温泉で見られます。

そのため欧州をはじめとした海外では酸性の温泉はほとんどなく、日本独特の泉質です。

一般的にpH値が2以下の温泉を強酸性の温泉と呼ばれています。

pHが低い酸性の温泉が人に与える効果

殺菌力や抗菌力が高いことが特徴で、皮膚の菌を殺すことができることから尋常性乾癬(かんせん)やニキビ、水虫をはじめとした皮膚病などに効果があるとされています。

病気を治したり、体調を整えたりすること目的に温泉地に長く滞在する「湯治」をするために酸性の温泉を訪れる人もいます。

一方で尋常性乾癬(かんせん)やアトピー性皮膚炎はすべての乾癬患者に酸性の温泉の効果が期待できるとは限らず、逆効果になってしまう場合もあるため、入湯を検討している場合は医師への相談しましょう。

日本にあるpHが低い酸性の温泉

 秋田県・玉川温泉

秋田県にある玉川温泉は、日本一の強酸性泉として知られる温泉地域。pH値は1.13で、レモンを遥かに超える強酸性です。

また単一源泉の湧出量の日本一を誇り毎分約9000リットルの源泉が湧いています。

泉質名は日本でもめずらしい塩酸が主成分の温泉で飲むこともできますが、源泉をそのまま飲むと酸が強すぎて歯が溶ける恐れも。

そのため、飲料水にするときは、源泉を2倍に希釈した温泉水を採取し、それを更に5~8倍程度薄める必要があります

北海道・川湯温泉 

北海道にある川湯温泉は日本屈指の強酸性の温泉が湧き出る温泉地帯です。

宿や施設ごとに自家源泉を所有しているので、各温泉ごとに泉質も異なります。

酸性の温泉にしてはアルミニウム成分が少ないのが特徴で、飲むとレモン水のような柑橘系の味がします。

また、酸性の温泉にはめずらしく硫酸塩泉系統の特徴もあるため、浴後は肌がサラサラに。

一部の温泉施設ではではpH値が1.7と強酸性のものもあります。

群馬県・草津温泉 

群馬県にある草津温泉は、全国的にも有名な温泉地です。

江戸時代に作られた温泉番付では、当時の最高位である東の大関に位置付けられていました。

温泉の自然湧出量は毎分3万2300リットル以上と日本一の湧出量です。

草津温泉内の温泉は酸性で、中でも万代鉱源泉はpH1.7と強酸性です。

pHが中性の温泉の特徴や傾向

pH6以上から7.5未満の温泉が一般的に中性の温泉と呼ばれています。

水道水はpH6.5で牛乳はpH 7、汗がpH7から8なので、普段の生活に最も身近な性質の温泉といえます。

また、日本の温泉で最も多いのが中性の温泉です。

温泉のpHが中性の場合

肌のpH値とほぼ同じなので肌への刺激が少なく、敏感肌など肌が弱く荒れやすい人でも比較的安心して入ることができます。

また、他の酸性やアルカリ性の温泉と比較して禁忌症も出にくいので、入湯による体調の変化を心配する方は中性の温泉を選ぶことをおすすめします。

まとめ:10年ごとの温泉分析を行うことで、適切なpH表記や衛生管理を行いましょう。

日本には各地に温泉地があり、各温泉地や温泉ごとにpH値をはじめ性質が大きく違います。

そのため、温泉まわりなどを楽しむ観光客も多く、特に人気な温泉は温泉街として地域活性の中心地となっています。

一方で温泉法改正で10年ごとに国が指定した専門業者による温泉分析が義務となり、またその測定に応じた掲載の変更も必須です。

温泉の泉質が変わったからといって温泉の利用許可が取り下げられる訳ではありません。

温泉施設を営業する方は、10年に一度は必ず温泉分析を行い、温泉分析表の表示内容を適切に更新してください。

観光客や旅行客への信頼性・安全性を確保し続けるよう心がけましょう。

 

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