重曹水のpHの値とは?効果的な使用方法や注意点も紹介
生ゴミの消臭効果や油汚れ、排水口の消臭や掃除等に重曹水は便利です。
しかし重曹水を使用したのに、汚れが落ちない、臭いが取れないなどの経験をされた方も多いのではないでしょうか。
重曹水の効果があまり感じられない場合には、重曹水のpH値を意識して使用することで解決できるようになります。
そこで本記事では、重曹水のpHについて解説していきます。
また、重曹水の効果を高める方法や使用方法、注意点についても紹介していきます。
本記事を読むことで重曹水のpHを知り、より効果的に重曹を使いこなせるようになるため、参考にしてください。
とくに汚れや消臭に関する製品の研究や開発担当者は、知識として必須です。
目次
重曹水はそもそもアルカリ性?酸性?
重曹水はアルカリ性です。
アルカリ性が洗浄効果を発揮するのは、酸性の汚れに対してです。
そのため、水アカや石鹸カス、尿石、電気ポットなどミネラル成分が固まった白い汚れなど、アルカリ性の汚れを落とす場合には、重曹は効果を発揮しません。
酸性の汚れには、油汚れや黒カビ、たばこのヤニなどがあります。
重曹水を使用する場合には、酸性系の汚れに使用しましょう。
重曹水のpH値はどのくらい?
重曹を水に溶かした場合のpHの値は、約8.0〜9.0の弱アルカリ性になります。
pHは、0〜14の値で水質レベル(酸性濃度やアルカリ性濃度)を表すために使用するための表記です。
0〜6.0を酸性、6.0〜8.0を中性、8.0〜14をアルカリ性と表します。
さらに細かく、8.0〜11.0の値を弱アルカリ性、3.0〜6.0を弱酸性と分けています。
重曹水は、約8.0〜9.0の弱アルカリ性であるため、3.0〜6.0の弱酸性の汚れを除去するのに効果的です。
反対に0〜3.0の酸性の汚れには、重曹水のpHの値が低いため、汚れが落ちにくくなります。
このように重曹水の水質や、汚れの酸性・アルカリ性を理解しておくことで、「なぜ重曹水を使ったのに汚れが落ちないのか?」といった疑問が解決できます。
重曹水のpH値を上げて掃除を効率化させる方法
重曹水のpH値を把握したうえで使用することが大切ということを先述しました。
そこで、弱酸性の重曹水では酸性の汚れを落とすことができないのか、疑問を抱かれる方もいることでしょう。
実は、重曹水のpH値を上げてアルカリ性にする方法があります。
水に溶かした重曹水を鍋で加熱することでpH値があがるのです。
重曹(NaHCO₃)は加熱することで二酸化炭素(CO2)が排出され、炭酸ナトリウム(Na₂CO₃)になります。
加熱した重曹水は、約11.0程度のアルカリ性濃度まで上げることができます。
加熱した重曹水を使用することで、酸性よりの油汚れなどを中和して汚れを落とすことができます。
重曹水の使用例
掃除で活躍している重曹水ですが、どの掃除場所に使用されているのか。こちらの内容について、ここでは紹介していきます。
また重曹水は、掃除だけでなく消臭効果についても期待できます。
重曹は、酸性の悪臭に対し中和して無臭に働く特性があるためです。
そのため、重曹は掃除以外でも消臭剤として使用されています。
以降では、清掃や消臭効果のある重曹水の使用例について紹介していきましょう。
汚れ落としに
重曹水が使用される例として、多くは汚れを落とすために使用されています。
主に以下のような場所です。
- ・お風呂:皮脂汚れ、手アカ、ぬめり
- ・キッチン:コンロまわりの油汚れ、排水口のぬめり
- ・換気扇:油汚れ
- ・フローリング:手アカ、皮脂汚れ
- ・トイレ:黒カビ、ぬめり、尿石
- ・壁紙:たばこのヤニ、油汚れ、クレヨンの落書き
- ・カーペット・ソファー:皮脂汚れ
このような掃除が必要な汚れ箇所に、重曹水は使用されています。
重曹水を使用する場合には、霧吹きスプレーなど重曹水を汚れ箇所に吹き付け、10分程放置してから雑巾などで拭き取ると汚れがスルスルと取れます。
重曹水の使用方法については、酸性の汚れに対し重曹水(アルカリ性)が中和するのをしばらく待ってから、拭き取ることが大切です。
生ゴミや汗臭い匂いの消臭に
重曹水は、酸性の悪臭を放つ生ゴミや汗臭さなどの匂いの消臭にも効果を発揮します。
生ゴミや汗臭さのような酸性の匂いに触れると、中和反応を起こして無臭の中性に変化させる役割があるためです。
以下のような箇所で重曹水は、消臭効果として活躍しています。
- ・排水口
- ・生ゴミ
- ・下駄箱
- ・クローゼット
- ・靴
- ・ソファー
- ・カーペット
- ・布団
このような酸性の臭いが発生する箇所で、重曹水は消臭効果として使用されています。
またアンモニア臭といったトイレの嫌な匂いは、アルカリ性の臭いになるため重曹水の消臭効果はありません。
重曹水を消臭として使用する場合には、酸性の臭いが発生する箇所に使用しましょう。
重曹水の使用注意点
重曹水の使用方法や特性について紹介してきましたが、重曹水を使用する場合の注意点についても知っておきましょう。
汚れが落ちない、効果を感じないといった場合には、重曹水の使い方が間違っている可能性があります。
ここから紹介する重曹水の注意点を参考にしてみてください。
重曹をたくさん入れても効果は無い
重曹水を作る際には、粉末状の重曹を水に溶かして使用します。
重曹を多く入れたほうが効果が高まると勘違いしがちです。
重曹を多く入れたところで、pH値は変化しません。アルカリ性濃度が高くならないということです。
重曹を入れ続けると水に溶けずに重曹の粉が白く残ってしまいます。
汚れを落とすはずが、重曹の粉が白く粉末状に残り、反対に汚れてしまいます。
重曹水の効果を高めるためには、先述した重曹水を加熱してpH値を上げて使用しましょう。
重曹水を使用した煮込み洗いの注意点
頑固な油汚れのタオルやふきんなど、重曹水に浸しても汚れが取れない場合があります。
このような場合には、鍋の中にタオルやふきんを入れて煮込むと重曹の洗浄効果が高まって汚れが落ちる可能性があります。
ただし、重曹水を加熱する際、高い温度で煮込み過ぎないよう注意が必要です。
高い温度で煮込んでも、重曹水の効果は上がりません。約60℃の温度が重曹の効果が高まる温度とされています。
重曹水を加熱する場合は、約60℃を目安に加熱しましょう。
また重曹水を加熱すると、アルカリ性の濃度が約11.0まで上がります。
濃度の高まった重曹水を直接手で触れると肌荒れの原因になるので注意が必要です。
使用する場合には、手袋を装着するなど肌荒れ対策を施しましょう。
アルカリ性の汚れには使用しない
重曹水はアルカリ性です。そのためキッチンやお風呂場の石鹸カスや水アカの汚れ、トイレの黄ばみ汚れなどのアルカリ性の汚れに対しては、重曹水は洗浄効果を発揮しません。
重曹水は、酸性の汚れや臭いに対し、中和して効果を発揮します。
そのため重曹水を使用しても汚れが落ちない、臭いが消えないといった場合には、対象物がアルカリ性であることを疑いましょう。
トイレなどアンモニア臭やアルカリ性の汚れには、酸性の洗剤や消臭剤を使用すると効果的です。
アルカリ性の汚れや消臭には、クエン酸やフルーツミックス酸などが効果あります。
pHを測定して最適な重曹水を使用する
重曹水を使用する場合には、酸性の汚れや臭いに対して使用することが大切です。
しかし、使用する箇所が酸性なのか、アルカリ性なのか、判断することは難しいことでしょう。
また重曹水を加熱することで、pH値を高めることでより頑固な油汚れの酸性汚れを落とすと紹介しました。
ここでも重曹水のpH値どの程度上がったのか、目視で確認することは難しいでしょう。
汚れ箇所や重曹水のpH値を把握することができれば、重曹をより効果的に使用することができます。
そのため方法として、pHを計測する機器を使用することです。
pH値を計測する機器を使用することで、さまざまな場所のpH値がすぐに測定可能です。
この場所の汚れは、酸性なのか、アルカリ性なのか、また、重曹水のpHの値はどのくらいなのか。
pHを計測することで、汚れに対して必要な重曹水の濃度や使用場所を把握できます。
重曹水を使用した掃除や消臭を行う場合には、pH値を把握することで無駄なく効果的に使用できるようになります。
まとめ:pHや性質を理解し、重曹水を上手に活用しよう
本記事では、重曹水のpH値を紹介すると同時に重曹水の効果的な使用方法や注意点について紹介してきました。
重曹水は、アルカリ性の洗剤や消臭剤として、掃除や消臭として使用が活躍されています。
しかし、重曹水を使用しても汚れが落ちない。臭いが取れない。など効果を感じないと悩む方も多いです。
理由は、重曹水のpH値を把握した使用をしていないことが考えられます。
重曹水のpHは、8.0〜9.0の弱アルカリ性です。
そのため、弱酸性の汚れや生ゴミ、油汚れの臭いなど酸性の悪臭対策に効果を発揮します。
また頑固な油汚れといった酸性の汚れに対しては、重曹水を加熱することでpHを上げることができます。
弱アルカリ性の洗浄力からpHが約11.0ほどのアルカリ性へと変化するからです。
汚れが落ちない場合には、注意点に気をつけながら、重曹水を加熱する方法を試してみてください。
このように重曹水を使用する場合には、pHを把握しておくことで、効果的に重曹水を使用できます。
しかし、重曹水のpHを把握するためには、pHを測定しなければなりません。
pHを測定するためには、pH測定機器を使用してください。
重曹水を効果的に使用するために、計測機器でpHを測定しましょう。
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